×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
点こそ取られなかったものの押され気味の試合展開に呻る仲間を宥め苦笑する。
わざとらしい挑発に乗りかかった染岡を宥めると、フィールドから足を踏み出した。
前半戦、勢いはあったが責めあぐねている仲間に、予想通りだと内心で呟く。
むしろここまで持ったほうが意外で、意地を張り続けて不調を隠す仲間に眉根を寄せた。
僅かな休憩の間に水分を補給し和気藹々と話す仲間を尻目に一人で佇んでいると、言葉通り前半は傍観するだけだった瞳子が動く。
漸くかとタオルで汗を拭き瞳を眇めると、一瞬だけ目があった気がした。
「───聞いてみんな。後半の作戦を伝えるわ」
唐突な発言に息を呑む仲間を他所に瞳子は続ける。
冷静ゆえに冷たくも見える眼差しで彼らを見詰め、ゆっくりと口唇を開いた。
「染岡君、風丸君、壁山君。あなたたちはベンチへ下がって」
『ええっ!?』
本人たちだけでなく、他の面々も合わせて驚きの声を上げる。
だが彼らの反応を一切気にすることなく淡々とした空気を保った彼女は、そのまま続けた。
「空いたスペースは残りのメンバーでカバーして。宜しくね」
「なんで俺が下げられなきゃいけないいけないんだ!?」
「監督の考えがわかりません!ただでさえ厳しい状況なのに」
「俺、さっき転ばされたからっすか?」
「勝つための作戦よ」
指名されたメンバーが噛み付く中、一言だけ言い放った瞳子は踵を返してもとの場所へと戻ろうとしている。
その様子を眺め、ひっそりと笑みをかみ殺す。
気分としては『お見事』と拍手したいくらいだ。
もっともそれをすれば冷め切った眼差しで睨みつけられそうなのでする気はないけれど。
他のメンバーと違い全く動揺していない円堂に気がついた一之瀬が寄ってきて、こそりと耳元で囁いた。
「・・・守、機嫌が良さそうだね?」
「ああ。一哉、どうやらあの人は信頼できるみたいだ」
「どうして?」
「あの人が指名した奴らを見て気がつかないのか?」
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。仲間である一哉が気がつかなかった部分にあの人は気がついた。大した観察眼だ」
ふふっと小さく笑みを浮かべると、柳眉を顰めた一之瀬は瞳子が指名した仲間たちに視線をやった。
憤懣隠せぬ染岡と、納得いかないと渋い顔をする風丸、そして情けなく眉を下げた壁山には共通点がある。
前半の試合だけで気がついたなら、彼女は相当観察眼があり、先ほどの容赦ない監督命令が『勝つため』には必要なものだと判断できる人物のようだった。
これが『勝つため』だけの判断なのか、それとも彼らの将来までも慮ったものかはわからないが、それは後々判断すればいい。
とりあえずは気がついただけでも上出来で、彼女が『監督』としての能力に優れているのは理解できた。
それに『監督命令』が下ったのなら、円堂も彼らを納得させられる。
「待ってください、これでは戦えません」
「いいえ、これで戦うのよ」
「しかしっ」
「後半。始まるわよ」
引き止められ一瞬だけ足を止めたものの、聞く耳持たないと下がった瞳子に鬼道は唇を噛んで俯いた。
当然と言えば当然の反応だろう。
七人はサッカーをするのにはぎりぎりの人数で、普通なら有り得ないシチュエーションだ。
いくら天才ゲームメイカーと呼ばれていてもはじめての経験だろう。
「まったく、一体何を考えているんだ」
呻るように囁いた弟の姿に破願すると、円堂は後ろから肩を叩いた。
びくりと体を震わせて顔を上げた鬼道に瞳だけで微笑むと、戸惑っている仲間に視線を向ける。
「俺は監督の意見に賛成だ」
「姉さん!?何をっ」
「どういう意味だ、円堂!お前、俺たちが居なくてもいいっていうのか!?」
「圧倒的不利な立場を理解していながら、どういうつもりだ?」
「キャプテンも俺が転がされたから駄目って言うんすか?」
勢いづいて詰め寄る三人に瞳を細めると、緩く首を振った。
ここまで来ても何も明かさない彼らの意地は呆れればいいのか感心すればいいのか微妙なところだ。
どちらにせよ自分たちの良かれと思った行動の結末を予想していないのは確かで、ひょいと肩を竦める。
隠したがっているようだったから言わなかったのに、口に出さなければ結局片はつかないらしい。
鬼道の肩から手を放すと、気の荒い犬のように吠え立てる染岡に無造作に近づく。
そしてそのままとんと足首を蹴った。
「っ!!?」
ほんの少し強めに力を入れただけで、途端に足首を押さえて蹲った染岡に仲間たちが息を呑む。
同じように風丸と壁山も患部に直接触れれば、堪えられないと顔を歪んでしゃがみ込んだ。
「『それ』が理由だ」
「・・・お前ら、怪我をしていたのか」
「もしかしてこの前の宇宙人戦の時か?」
「なんで黙ってたんだ?」
「───言えなかったんだよ。最強のチームを目指している俺たちに自分たちが必要だって知ってるからな」
「姉さんはいつから気がついて・・・」
「最初からだよ。日常の些細な動きでも見ていれば判る。もっとも三人とも上手く隠していたから、お前らは気づけなかったみたいだけどな」
悔しげに唇を噛み締めた三人の前に視線を合わせると、黒縁のお洒落眼鏡の奥から一人一人の瞳を見詰める。
こんなところで負けたくないと全身で訴える彼らに苦笑すると、ぽんぽんと頭を撫でてやった。
そして肩の力が抜けたところで諭すために口を開く。
「あのな、お前ら。この試合は意地を通して無茶する試合じゃないぞ」
「でも、こんなところで負けていたら地上最強のチームなんて」
「聞け、風丸」
焦る幼馴染の肩に手を置き、青緑色の瞳を覗きこむ。
幼い頃から変わらない綺麗な瞳に微笑みかけると、大丈夫、自信たっぷりに頷いた。
「焦らなくていい。どうせ無理しなくちゃいけない場面なんてすぐに出てくる。大人と子供の体力や力の差を舐めちゃいけない。自分では自覚できないところで確実に体力を削られて、本当に無理しなきゃいけないときに動けないなんて目にあいたくないだろ?だから、この試合は俺たちに任せておけ」
「だがフォワードの俺や守りの要の壁山、俊足の風丸が抜けても大丈夫なのか?」
「ったく、はっきり言わなきゃ理解できないか?今のお前らじゃ足手まといになるだけだ。なんで監督が態々お前らをベンチ入りさせたと思ってるんだ?お前らを守る意味合いもあるかもしれないけどな、動きの悪いお前らが居たままだと全体のプレイに支障が出ると判断したからだ」
「・・・俺たちが足手まといっすか?」
「そうだ。繰り返すけど、無理をしなきゃいけない場面は絶対に出てくる。でもな、それはあいつらとの試合じゃないのは確かだろ?怪我をしたなら直すのも選手の務めだ。無理しなきゃいけない場面で動けないのが一番最悪なパターンだ。だからお前らはそのときまでに少しでも傷ついた体を癒しておけ。───それ以上無理をするなら、冗談じゃすまないダメージを受ける羽目になるかもしれない」
真剣に訴えれば、三人は黙り込み俯いた。
少しばかりきつい言い方になったが仕方ない。ここで引いてもらえなければ彼らの将来にも影響するかもしれないのだ。
今はまだ、少しの違和感で済んでいるが、このまま大人との対戦を続けたら蓄積したダメージが取り返しのつかない部分まで亀裂を残す可能性があった。
目上の人間とプレイしたことがなければ判らないだろうが、年長の相手とやりあうときは無意識に力以上を発揮しようとするものだ。
完璧に壊れてから後悔なんてしたくないし、させたくもない。
「円堂、それ言い方がきつすぎ」
「・・・土門」
「けど円堂の言いたいことは判った。お前らもそうだろ?俺も概ね円堂の意見に賛成だ。こんなとこで潰れるなんて馬鹿みたいだ」
「それに少しは俺たちを信用してよね。お前らのためにも絶対に勝ってみせるよ、ね、守!」
絶妙のタイミングでフォローに入ってくれた土門に視線だけで礼を言うと、照れたように顔を背けた彼は円堂に抱きつこうとしている一之瀬の襟首を掴んだ。
急に襟を掴まれた為首を絞められる結果になった一之瀬は、涙目で土門に噛み付く。
「痛いだろ、土門!」
「お前は何かって言うと円堂に抱きつく癖は止めとけ。円堂はこう見えて女の子なんだし」
「こう見えては余計な、土門」
「いて!?いてててててて!!!」
笑顔で頬を抓りあげると、涙目になった土門が悲鳴を上げた。
頬を赤くして情けない顔をする土門に自然と笑いが起こった。
目尻に涙を湛えて笑う染岡は、先ほどまでの鬼気迫る表情と一転して苦笑する。
笑ったことで張っていた気が抜けてしまったのだろう。
「判った。俺たちは今回の試合は見ていることにする。俺たちを足手まといとまで言ったんだ、絶対に負けるなよ」
ぐっと拳を突き出してきた染岡に、同じようにして拳を合わせる。
「任せとけって。お前らは少しでも回復に専念してろ。あの監督がどんな人かまだはっきり判っていないんだ、休めるうちに休んどけ」
「ああ」
素直に頷いてくれた染岡に内心で胸を撫で下ろした。
心配そうにこちらを見ている風丸の頭をもう一度撫で、壁山にも大丈夫と力強く告げる。
SPフィクサーズは本当の敵じゃない。例え負けたとしても危険はないだろう。
もっとも負けるつもりで試合に臨む気など欠片もないけれど。
好戦的に口角を持ち上げると、背後に揃う仲間に手を上げる。
「じゃあ、勝ちに行きますか」
返された返事は元気が良く、取り戻せた調子に笑みを深めた。
わざとらしい挑発に乗りかかった染岡を宥めると、フィールドから足を踏み出した。
前半戦、勢いはあったが責めあぐねている仲間に、予想通りだと内心で呟く。
むしろここまで持ったほうが意外で、意地を張り続けて不調を隠す仲間に眉根を寄せた。
僅かな休憩の間に水分を補給し和気藹々と話す仲間を尻目に一人で佇んでいると、言葉通り前半は傍観するだけだった瞳子が動く。
漸くかとタオルで汗を拭き瞳を眇めると、一瞬だけ目があった気がした。
「───聞いてみんな。後半の作戦を伝えるわ」
唐突な発言に息を呑む仲間を他所に瞳子は続ける。
冷静ゆえに冷たくも見える眼差しで彼らを見詰め、ゆっくりと口唇を開いた。
「染岡君、風丸君、壁山君。あなたたちはベンチへ下がって」
『ええっ!?』
本人たちだけでなく、他の面々も合わせて驚きの声を上げる。
だが彼らの反応を一切気にすることなく淡々とした空気を保った彼女は、そのまま続けた。
「空いたスペースは残りのメンバーでカバーして。宜しくね」
「なんで俺が下げられなきゃいけないいけないんだ!?」
「監督の考えがわかりません!ただでさえ厳しい状況なのに」
「俺、さっき転ばされたからっすか?」
「勝つための作戦よ」
指名されたメンバーが噛み付く中、一言だけ言い放った瞳子は踵を返してもとの場所へと戻ろうとしている。
その様子を眺め、ひっそりと笑みをかみ殺す。
気分としては『お見事』と拍手したいくらいだ。
もっともそれをすれば冷め切った眼差しで睨みつけられそうなのでする気はないけれど。
他のメンバーと違い全く動揺していない円堂に気がついた一之瀬が寄ってきて、こそりと耳元で囁いた。
「・・・守、機嫌が良さそうだね?」
「ああ。一哉、どうやらあの人は信頼できるみたいだ」
「どうして?」
「あの人が指名した奴らを見て気がつかないのか?」
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。仲間である一哉が気がつかなかった部分にあの人は気がついた。大した観察眼だ」
ふふっと小さく笑みを浮かべると、柳眉を顰めた一之瀬は瞳子が指名した仲間たちに視線をやった。
憤懣隠せぬ染岡と、納得いかないと渋い顔をする風丸、そして情けなく眉を下げた壁山には共通点がある。
前半の試合だけで気がついたなら、彼女は相当観察眼があり、先ほどの容赦ない監督命令が『勝つため』には必要なものだと判断できる人物のようだった。
これが『勝つため』だけの判断なのか、それとも彼らの将来までも慮ったものかはわからないが、それは後々判断すればいい。
とりあえずは気がついただけでも上出来で、彼女が『監督』としての能力に優れているのは理解できた。
それに『監督命令』が下ったのなら、円堂も彼らを納得させられる。
「待ってください、これでは戦えません」
「いいえ、これで戦うのよ」
「しかしっ」
「後半。始まるわよ」
引き止められ一瞬だけ足を止めたものの、聞く耳持たないと下がった瞳子に鬼道は唇を噛んで俯いた。
当然と言えば当然の反応だろう。
七人はサッカーをするのにはぎりぎりの人数で、普通なら有り得ないシチュエーションだ。
いくら天才ゲームメイカーと呼ばれていてもはじめての経験だろう。
「まったく、一体何を考えているんだ」
呻るように囁いた弟の姿に破願すると、円堂は後ろから肩を叩いた。
びくりと体を震わせて顔を上げた鬼道に瞳だけで微笑むと、戸惑っている仲間に視線を向ける。
「俺は監督の意見に賛成だ」
「姉さん!?何をっ」
「どういう意味だ、円堂!お前、俺たちが居なくてもいいっていうのか!?」
「圧倒的不利な立場を理解していながら、どういうつもりだ?」
「キャプテンも俺が転がされたから駄目って言うんすか?」
勢いづいて詰め寄る三人に瞳を細めると、緩く首を振った。
ここまで来ても何も明かさない彼らの意地は呆れればいいのか感心すればいいのか微妙なところだ。
どちらにせよ自分たちの良かれと思った行動の結末を予想していないのは確かで、ひょいと肩を竦める。
隠したがっているようだったから言わなかったのに、口に出さなければ結局片はつかないらしい。
鬼道の肩から手を放すと、気の荒い犬のように吠え立てる染岡に無造作に近づく。
そしてそのままとんと足首を蹴った。
「っ!!?」
ほんの少し強めに力を入れただけで、途端に足首を押さえて蹲った染岡に仲間たちが息を呑む。
同じように風丸と壁山も患部に直接触れれば、堪えられないと顔を歪んでしゃがみ込んだ。
「『それ』が理由だ」
「・・・お前ら、怪我をしていたのか」
「もしかしてこの前の宇宙人戦の時か?」
「なんで黙ってたんだ?」
「───言えなかったんだよ。最強のチームを目指している俺たちに自分たちが必要だって知ってるからな」
「姉さんはいつから気がついて・・・」
「最初からだよ。日常の些細な動きでも見ていれば判る。もっとも三人とも上手く隠していたから、お前らは気づけなかったみたいだけどな」
悔しげに唇を噛み締めた三人の前に視線を合わせると、黒縁のお洒落眼鏡の奥から一人一人の瞳を見詰める。
こんなところで負けたくないと全身で訴える彼らに苦笑すると、ぽんぽんと頭を撫でてやった。
そして肩の力が抜けたところで諭すために口を開く。
「あのな、お前ら。この試合は意地を通して無茶する試合じゃないぞ」
「でも、こんなところで負けていたら地上最強のチームなんて」
「聞け、風丸」
焦る幼馴染の肩に手を置き、青緑色の瞳を覗きこむ。
幼い頃から変わらない綺麗な瞳に微笑みかけると、大丈夫、自信たっぷりに頷いた。
「焦らなくていい。どうせ無理しなくちゃいけない場面なんてすぐに出てくる。大人と子供の体力や力の差を舐めちゃいけない。自分では自覚できないところで確実に体力を削られて、本当に無理しなきゃいけないときに動けないなんて目にあいたくないだろ?だから、この試合は俺たちに任せておけ」
「だがフォワードの俺や守りの要の壁山、俊足の風丸が抜けても大丈夫なのか?」
「ったく、はっきり言わなきゃ理解できないか?今のお前らじゃ足手まといになるだけだ。なんで監督が態々お前らをベンチ入りさせたと思ってるんだ?お前らを守る意味合いもあるかもしれないけどな、動きの悪いお前らが居たままだと全体のプレイに支障が出ると判断したからだ」
「・・・俺たちが足手まといっすか?」
「そうだ。繰り返すけど、無理をしなきゃいけない場面は絶対に出てくる。でもな、それはあいつらとの試合じゃないのは確かだろ?怪我をしたなら直すのも選手の務めだ。無理しなきゃいけない場面で動けないのが一番最悪なパターンだ。だからお前らはそのときまでに少しでも傷ついた体を癒しておけ。───それ以上無理をするなら、冗談じゃすまないダメージを受ける羽目になるかもしれない」
真剣に訴えれば、三人は黙り込み俯いた。
少しばかりきつい言い方になったが仕方ない。ここで引いてもらえなければ彼らの将来にも影響するかもしれないのだ。
今はまだ、少しの違和感で済んでいるが、このまま大人との対戦を続けたら蓄積したダメージが取り返しのつかない部分まで亀裂を残す可能性があった。
目上の人間とプレイしたことがなければ判らないだろうが、年長の相手とやりあうときは無意識に力以上を発揮しようとするものだ。
完璧に壊れてから後悔なんてしたくないし、させたくもない。
「円堂、それ言い方がきつすぎ」
「・・・土門」
「けど円堂の言いたいことは判った。お前らもそうだろ?俺も概ね円堂の意見に賛成だ。こんなとこで潰れるなんて馬鹿みたいだ」
「それに少しは俺たちを信用してよね。お前らのためにも絶対に勝ってみせるよ、ね、守!」
絶妙のタイミングでフォローに入ってくれた土門に視線だけで礼を言うと、照れたように顔を背けた彼は円堂に抱きつこうとしている一之瀬の襟首を掴んだ。
急に襟を掴まれた為首を絞められる結果になった一之瀬は、涙目で土門に噛み付く。
「痛いだろ、土門!」
「お前は何かって言うと円堂に抱きつく癖は止めとけ。円堂はこう見えて女の子なんだし」
「こう見えては余計な、土門」
「いて!?いてててててて!!!」
笑顔で頬を抓りあげると、涙目になった土門が悲鳴を上げた。
頬を赤くして情けない顔をする土門に自然と笑いが起こった。
目尻に涙を湛えて笑う染岡は、先ほどまでの鬼気迫る表情と一転して苦笑する。
笑ったことで張っていた気が抜けてしまったのだろう。
「判った。俺たちは今回の試合は見ていることにする。俺たちを足手まといとまで言ったんだ、絶対に負けるなよ」
ぐっと拳を突き出してきた染岡に、同じようにして拳を合わせる。
「任せとけって。お前らは少しでも回復に専念してろ。あの監督がどんな人かまだはっきり判っていないんだ、休めるうちに休んどけ」
「ああ」
素直に頷いてくれた染岡に内心で胸を撫で下ろした。
心配そうにこちらを見ている風丸の頭をもう一度撫で、壁山にも大丈夫と力強く告げる。
SPフィクサーズは本当の敵じゃない。例え負けたとしても危険はないだろう。
もっとも負けるつもりで試合に臨む気など欠片もないけれど。
好戦的に口角を持ち上げると、背後に揃う仲間に手を上げる。
「じゃあ、勝ちに行きますか」
返された返事は元気が良く、取り戻せた調子に笑みを深めた。
PR
更新内容
|
(06/28)
(04/07)
(04/07)
(04/07)
(03/31)
(03/30)
(03/30)
(03/30)
(03/30)
(03/25)
(03/25)
(03/25)
(03/25)
(03/24)
(03/24)
(03/24)
(03/23)
(03/14)
(03/14)
(03/13)
(03/13)
(03/13)
(03/11)
(03/10)
(03/08)
カテゴリー
|
リンク
|
フリーエリア
|