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*ずっと以前に投稿した学パロアリスの再録です。






とさり

柔らかい感触の、保健室のソファに押し倒され。

アリスは一つ瞬きした。

目の前には、嫌味になるらい整った男の顔。

彼の顔を見ていると、思い出したくない過去までも思い出させられる。

感情が顔に表れていたのだろうか。

アリスの顔を見て、面白そうに男は目を煌かせた。

それを見て、アリスは益々渋い顔をする。

目の前の男に、娯楽を提供するのは癪だった。

「──先生」

「何だい?」

努めて冷静な声を出したアリスに顔を近づけ、男は返事をした。

吐息が顔にかかるくらいの至近距離。

だが、アリスは目を逸らす事無く男を見た。

「教師の癖に、生徒を押し倒していいんですか?」

その問に、ふっと微笑む。

「もちろんだ。私は、退屈しているのだよ、アリス」

嬉しそうな声に、無表情になった。

一切の感情を隠したアリスを興味深げに覗き込む。

「あなたが退屈しているからといって、私が付き合わなきゃいけない理由がないんですけど」

あくまで丁寧に。

それでもキッパリと言い放つ。

「私が退屈しているところに、君が現れた。まるで、何かに導かれたようにね」

「導かれていません。頭が痛いから、薬を貰いに来ただけです」

「そうか。なら、頭の痛みがわからない位気持ちよくしてやろう」

「結構です。薬だけ下さい」

「遠慮する事はない」

堂々巡りで話が通じない相手に、益々頭痛が酷くなる。

無表情でいるのも難しく、キッと目の前の存在を睨み付けた。

何故、ここまで執拗に構うのだろう。

放っておいて欲しいのに。

「──例え、他の誰としたとしても、あなただけは御免よ」

本気の声。

この顔に向かって、それが言えるなんて。

中身が彼でないとわかっていても、それでも胸がすく思いだ。

「わかった」

体から彼の重みが消え、ホッとため息を吐きそうな自分を自制した。

「薬はそこの棚だ。好きなだけ持っていくといい」

アリスから一切の興味を失くした様に自分の机に戻った男は、机の上の書類に目を落としたまま言った。

言われたとおりに棚を探すと、目的の物はすぐに見つかった。

許可を得ているのだからと、2回分の薬を手に取るとすぐに保健室を後にした。

退室する際の言葉に、彼は返事をくれなかった。

転校してきてから初めてのことに、少しだけ驚く。

先程の彼の様子を思い出し。

「気のせい、気のせい」

振り払うように首を振った。

アリスの一言に、彼の瞳が色を失くした様に見えただなんて。

そんなの、絶対に見間違いなのだから。

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