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青嵐
--お題サイト:afaikさまより--



「お前ってさ」
「はい」
「案外、魔性の女だよな」
「はぁ?」


修兵の言葉に、目の前で暢気に白玉を頬張っていた少女が瞬きを繰り返す。
非番で重要な予定があるわけじゃないと言ったルキアの腕を引いて入った甘味処。
何となく近場の暖簾を潜ったが、そう言えばこうして日が昇る内に共に行動するのは初めてかと気がついてしまった。
夜勤明けの体を押した甲斐がある。連日の徹夜で身体的には疲れが出てるが、精神面では回復は著しい。

きょとりとつり上がり気味の瞳で瞬きを繰り返すさまは、初めて目にしたときから変わらぬあどけなさを残している。
何も知らぬ子供のような顔をしているが、彼女がどれだけ妖艶な様を見せるか知っていた。
昼と夜の差を知るものなど修兵と関係を持ってからほとんどいないだろうが、たまに隠し切れない色気を醸し出す瞬間があり気が気じゃない。
現に口元を指先で拭う仕草すらちらりと覗く艶に胸が騒ぐのに、ルキアときたらてんで無関心だ。
振り回している自覚すらない彼女は、ちゃんと修兵が告白したのを覚えているのだろうか。

ふうっと嘆息すると、白玉に齧り付くルキアにすっと顔を近づけた。


「!!?」
「───なんだ、結構美味いな」
「ひ、檜佐木副隊長殿!?」


口の端についていた善哉を舐め取ると、色白の肌を真っ赤に染め上げて睨んで来るルキアに、獲物を見つけた狼のように瞳を煌かせて笑った。



猫、猫、子猫。

小さな黒猫。

こっちを向いてと強請ってだめなら、無理やりにでも構うだけ。

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