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青嵐
--お題サイト:afaikさまより--
ふ、と顔を上げて空を見上げる。
夜勤帰りの青空は、目に痛くなるほど澄んでいた。
早朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでゆったりと吐き出す。
清々しい朝、とはこんな日を指して言うのだろう。
尸魂界を巻き込んでの崩玉騒ぎ。
深い爪あとも漸く落ち着き始め、死神としての生活も日常に近くなってきた。
修兵が所属する九番隊は今回の件で隊長不在となり、他の隊よりもまだ混乱が続いている。
副隊長である雛森すら倒れた五番隊に比べればマシだろうが、それでも油断ならない。
隊長と副隊長の仕事プラス編集局長としての仕事もあり連続徹夜状態で、辛くないかと問われれば返答に困る。
けれど忙しさに紛れ考えたくないことを考えなくていいという利点はあった。
雛森と種類は違うが、修兵も己の隊長を心から尊敬し、信頼していたから。
詮無いことだ、とわかっている。
己の正義を信じた彼が裏切ったなら、以前から心に決めていて曲げる気がない信念があったのだろう。
修兵が死神として戦うのを誇りに思うように、彼にも譲れぬ何かがあったのだ。
誇り高い隊長を知っているからこその妙な確信は外れていないだろう。
もっとも、今となってはそれを確認する術はないけれど。
「・・・檜佐木副隊長殿?」
戸惑うような声に、膨らんだ思考はぱちんと弾けた。
気がつけば目の前に小柄な死神の姿があり、端麗な顔立ちを訝しげに顰めた彼女は、精一杯手を伸ばして修兵の眼前で手を振っていた。
焦点が合わない近距離で振られる小さな白い手を思わず握りこむ。
取り立てて何かを考えての行為ではなかったが、捕まれた死神───ルキアは、びくりと面白いくらいに体を震わせた。
仕事着である死覇装ではなく、派手ではないが上品な小袖を纏う彼女はきっと非番だろう。
猫のように釣りあがっている大きな視紺色の瞳を忙しなく瞬きさせるルキアに、修兵はにっと笑った。
「どうした、朽木?漸く俺に口説かれる気になったのか?」
「っ!?違います!ただ、私は───」
「そうか、そりゃ残念だ。お前、今日非番か?」
「は?そうですが、それが?」
「なら、今から俺に付き合え。俺も今日はこの後休みだからな」
「ええ!?」
瞳をまん丸にしたルキアの手に、小さく音を立てて口付けた。
慌てるように引っ込んだ手に、くすくすと喉を震わす。
心配してくれたようだが、心配したと口にされるのはなんだか矜持が許さない。
男として、惚れた女には見栄を張りたいものなのだ。
目を白黒させる少女が可愛くて、小さく笑った。
猫、猫、子猫。
小さな黒猫。
可愛く愛しい君の前では、どんなにやつれても格好つけたいものなのさ。
--お題サイト:afaikさまより--
ふ、と顔を上げて空を見上げる。
夜勤帰りの青空は、目に痛くなるほど澄んでいた。
早朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでゆったりと吐き出す。
清々しい朝、とはこんな日を指して言うのだろう。
尸魂界を巻き込んでの崩玉騒ぎ。
深い爪あとも漸く落ち着き始め、死神としての生活も日常に近くなってきた。
修兵が所属する九番隊は今回の件で隊長不在となり、他の隊よりもまだ混乱が続いている。
副隊長である雛森すら倒れた五番隊に比べればマシだろうが、それでも油断ならない。
隊長と副隊長の仕事プラス編集局長としての仕事もあり連続徹夜状態で、辛くないかと問われれば返答に困る。
けれど忙しさに紛れ考えたくないことを考えなくていいという利点はあった。
雛森と種類は違うが、修兵も己の隊長を心から尊敬し、信頼していたから。
詮無いことだ、とわかっている。
己の正義を信じた彼が裏切ったなら、以前から心に決めていて曲げる気がない信念があったのだろう。
修兵が死神として戦うのを誇りに思うように、彼にも譲れぬ何かがあったのだ。
誇り高い隊長を知っているからこその妙な確信は外れていないだろう。
もっとも、今となってはそれを確認する術はないけれど。
「・・・檜佐木副隊長殿?」
戸惑うような声に、膨らんだ思考はぱちんと弾けた。
気がつけば目の前に小柄な死神の姿があり、端麗な顔立ちを訝しげに顰めた彼女は、精一杯手を伸ばして修兵の眼前で手を振っていた。
焦点が合わない近距離で振られる小さな白い手を思わず握りこむ。
取り立てて何かを考えての行為ではなかったが、捕まれた死神───ルキアは、びくりと面白いくらいに体を震わせた。
仕事着である死覇装ではなく、派手ではないが上品な小袖を纏う彼女はきっと非番だろう。
猫のように釣りあがっている大きな視紺色の瞳を忙しなく瞬きさせるルキアに、修兵はにっと笑った。
「どうした、朽木?漸く俺に口説かれる気になったのか?」
「っ!?違います!ただ、私は───」
「そうか、そりゃ残念だ。お前、今日非番か?」
「は?そうですが、それが?」
「なら、今から俺に付き合え。俺も今日はこの後休みだからな」
「ええ!?」
瞳をまん丸にしたルキアの手に、小さく音を立てて口付けた。
慌てるように引っ込んだ手に、くすくすと喉を震わす。
心配してくれたようだが、心配したと口にされるのはなんだか矜持が許さない。
男として、惚れた女には見栄を張りたいものなのだ。
目を白黒させる少女が可愛くて、小さく笑った。
猫、猫、子猫。
小さな黒猫。
可愛く愛しい君の前では、どんなにやつれても格好つけたいものなのさ。
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