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どんなふうにわらっていたか、どんなふうにいきていたか
--お題サイト:afaikさまより--
「極限にめでたいな、沢田!」
「そうですね」
眉を下げ情けない顔で笑う彼の頭をがしがしとかき乱す。
最後に覚えているのは過去の綱吉であるから、つい彼と比較してしまう。
例えば変わっていないと思い込んでいた髪は、こんなに綺麗な金に近い色をしていたのだとか。
例えば大きな琥珀色の瞳が、昔よりも色が濃くなり底知れない迫力を有していたのだとか。
例えば小さいとばかりに思い込んでいた体だったが、華奢であっても随分と鍛えられ身長も伸びていたのだとか。
例えば男にしては甘ったるいテノールが、昔は本当に女の子みたいな可愛いものだったのだとか。
他にも色々と比べて出る相違点に、やはり彼も成長していたのかと思うと、なんだか胸の奥がぽっと暖かくなりとても楽しく愉快だ。
「すみませんでした、了平さん」
「ん?何がだ?」
「過去の俺たちをフォローして下さったと聞きました。俺は貴方に何も説明しなかったのに、最後まで残った貴方は『俺にとって』最良の選択をしてくれた。混乱し、動揺して当たり前の状況で、それでも導いてくれた。本当に、すみませんでした」
深々と頭を下げる綱吉に、了平は苦笑した。
何故彼は謝罪をするのだろう。自分は当たり前のことを当たり前にしただけだというのに。
それとも、これは何か意味を二重に含んだ遠まわしなものなのだろうか。
雲を除いた守護者全員を謀り、更にそれを謝罪する気がさらさらない上に、時間が巻き戻せても自分たちに協力を仰ごうとせず同じ手を使うと決めているのを言外に仄めかしているのだろうか。
晴の守護者を名乗る男として、了平の矜持が傷ついてるとでも思っているのだろうか。
だとした、随分と見縊られたものだ。
ゆるりと口角を持ち上げ、ひっそりと笑う。
了平とてマフィアの端くれ。自分を魅せる笑い方くらい知っている。
普段陽気な青年に見えるらしい自分が、雰囲気を変えると随分とギャップが酷いらしい。
それはもう、獄寺の叱責に慣れている彼の部下が顔を青褪めるほどに。山本のしごきに慣れている彼の部下が、怯えから身を竦ませるほどに。
「俺に作戦を話さないのは構わん。俺は馬鹿だから聞いたところで理解出来んかもしれぬし、そもそも長い話を延々と聞かされるの自体が苦痛だ。だからお前が俺に話をしていないのは気にしておらん」
「・・・はい」
「だがな、沢田。見縊ってくれるな。俺は、『お前自身』が選んだ晴の守護者だ。俺にだって誇りがある。お前に信頼されていないなどと、俺が欠片でも思っていると考えるな」
彼の話の端々から感じた感謝は、了平にとって侮辱に近い。
感謝される謂れはないのだ。了平は彼の守護者で大空を照らす日輪の銘を頂く者だ。
彼の行く道を照らすのは自分の役目であり、誇りなのだ。
「俺は確かに馬鹿だが、侮辱してくれるな。お前がどんな選択をしても、俺はお前の日輪でいる。お前がどんな道を選んでもお前の道を照らし続ける。それが俺の誇りだ。話を通さなくても構わない。だが俺の信頼を疑うな」
瞬きせずに琥珀色の瞳を一直線に見つめれば、ふっと情けなく眉を下げた彼が見慣れた淡い苦笑を浮かべた。
それはとても懐かしいもので、けれど時間としては最近まで見ていたもの。
彼の笑顔が好きだ。情けなく見えるが何もかもを包み込む暖かさを持っているから。
彼の生き方が好きだ。迷い、惑いながらも重たい荷物を下ろすのを選ばず、一歩ずつ前に進むから。
彼の覚悟が好きだ。いっそ潔いほどに守るものを区別して、家族のためなら悪魔になれる強さがあるから。
彼の姿が好きだ。幼く見える容姿であるのに、いざという時誰よりも覇王足らしめる凛とした美しさがあるから。
彼の強さが好きだ。悲壮な決意を胸に背負い、何かを成す恐ろしさを知りながら迷わず振るわれる拳は素晴らしい。
綱吉が綱吉らしく生きるために、了平は存在する。彼の手伝いをするためだけに、この場に立っているのだから。
「俺を疑うな、沢田。俺は何があってもお前を信じる。この拳を捧げる相手は他の誰でもなく、お前だけなのだから」
守るために強くなった綱吉を、護りたいからこの場所に居る。
彼の強さに秘められた壮絶な覚悟に惹かれたから、了平は彼の守護者で居るのだ。
「利用してくれていい。好きに使ってくれていい。だから、頼むから。自分で決めた選択肢で、俺に謝罪だけはするな」
泣きそうな笑顔で頷いた彼に、了平は笑った。
それは酷く暖かく優しい笑顔で、久し振りに浮かべる本物の笑顔だった。
「おかえり、沢田」
「ただいま、了平さん」
無条件に親愛と敬愛が籠められた笑顔が、綱吉が居なくなってから一度も浮かべられなかったなんて、彼は一生知らなくていい。
ただそこで、澄み渡った青空で居てくれれば、了平は満足だった。
--お題サイト:afaikさまより--
「極限にめでたいな、沢田!」
「そうですね」
眉を下げ情けない顔で笑う彼の頭をがしがしとかき乱す。
最後に覚えているのは過去の綱吉であるから、つい彼と比較してしまう。
例えば変わっていないと思い込んでいた髪は、こんなに綺麗な金に近い色をしていたのだとか。
例えば大きな琥珀色の瞳が、昔よりも色が濃くなり底知れない迫力を有していたのだとか。
例えば小さいとばかりに思い込んでいた体だったが、華奢であっても随分と鍛えられ身長も伸びていたのだとか。
例えば男にしては甘ったるいテノールが、昔は本当に女の子みたいな可愛いものだったのだとか。
他にも色々と比べて出る相違点に、やはり彼も成長していたのかと思うと、なんだか胸の奥がぽっと暖かくなりとても楽しく愉快だ。
「すみませんでした、了平さん」
「ん?何がだ?」
「過去の俺たちをフォローして下さったと聞きました。俺は貴方に何も説明しなかったのに、最後まで残った貴方は『俺にとって』最良の選択をしてくれた。混乱し、動揺して当たり前の状況で、それでも導いてくれた。本当に、すみませんでした」
深々と頭を下げる綱吉に、了平は苦笑した。
何故彼は謝罪をするのだろう。自分は当たり前のことを当たり前にしただけだというのに。
それとも、これは何か意味を二重に含んだ遠まわしなものなのだろうか。
雲を除いた守護者全員を謀り、更にそれを謝罪する気がさらさらない上に、時間が巻き戻せても自分たちに協力を仰ごうとせず同じ手を使うと決めているのを言外に仄めかしているのだろうか。
晴の守護者を名乗る男として、了平の矜持が傷ついてるとでも思っているのだろうか。
だとした、随分と見縊られたものだ。
ゆるりと口角を持ち上げ、ひっそりと笑う。
了平とてマフィアの端くれ。自分を魅せる笑い方くらい知っている。
普段陽気な青年に見えるらしい自分が、雰囲気を変えると随分とギャップが酷いらしい。
それはもう、獄寺の叱責に慣れている彼の部下が顔を青褪めるほどに。山本のしごきに慣れている彼の部下が、怯えから身を竦ませるほどに。
「俺に作戦を話さないのは構わん。俺は馬鹿だから聞いたところで理解出来んかもしれぬし、そもそも長い話を延々と聞かされるの自体が苦痛だ。だからお前が俺に話をしていないのは気にしておらん」
「・・・はい」
「だがな、沢田。見縊ってくれるな。俺は、『お前自身』が選んだ晴の守護者だ。俺にだって誇りがある。お前に信頼されていないなどと、俺が欠片でも思っていると考えるな」
彼の話の端々から感じた感謝は、了平にとって侮辱に近い。
感謝される謂れはないのだ。了平は彼の守護者で大空を照らす日輪の銘を頂く者だ。
彼の行く道を照らすのは自分の役目であり、誇りなのだ。
「俺は確かに馬鹿だが、侮辱してくれるな。お前がどんな選択をしても、俺はお前の日輪でいる。お前がどんな道を選んでもお前の道を照らし続ける。それが俺の誇りだ。話を通さなくても構わない。だが俺の信頼を疑うな」
瞬きせずに琥珀色の瞳を一直線に見つめれば、ふっと情けなく眉を下げた彼が見慣れた淡い苦笑を浮かべた。
それはとても懐かしいもので、けれど時間としては最近まで見ていたもの。
彼の笑顔が好きだ。情けなく見えるが何もかもを包み込む暖かさを持っているから。
彼の生き方が好きだ。迷い、惑いながらも重たい荷物を下ろすのを選ばず、一歩ずつ前に進むから。
彼の覚悟が好きだ。いっそ潔いほどに守るものを区別して、家族のためなら悪魔になれる強さがあるから。
彼の姿が好きだ。幼く見える容姿であるのに、いざという時誰よりも覇王足らしめる凛とした美しさがあるから。
彼の強さが好きだ。悲壮な決意を胸に背負い、何かを成す恐ろしさを知りながら迷わず振るわれる拳は素晴らしい。
綱吉が綱吉らしく生きるために、了平は存在する。彼の手伝いをするためだけに、この場に立っているのだから。
「俺を疑うな、沢田。俺は何があってもお前を信じる。この拳を捧げる相手は他の誰でもなく、お前だけなのだから」
守るために強くなった綱吉を、護りたいからこの場所に居る。
彼の強さに秘められた壮絶な覚悟に惹かれたから、了平は彼の守護者で居るのだ。
「利用してくれていい。好きに使ってくれていい。だから、頼むから。自分で決めた選択肢で、俺に謝罪だけはするな」
泣きそうな笑顔で頷いた彼に、了平は笑った。
それは酷く暖かく優しい笑顔で、久し振りに浮かべる本物の笑顔だった。
「おかえり、沢田」
「ただいま、了平さん」
無条件に親愛と敬愛が籠められた笑顔が、綱吉が居なくなってから一度も浮かべられなかったなんて、彼は一生知らなくていい。
ただそこで、澄み渡った青空で居てくれれば、了平は満足だった。
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