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「こんにちは。日野香穂子です。宜しく」
朗らかに微笑んだ日野と名乗る彼女は、この場で知らぬものが居ぬ位に有名な人だった。
否、正確に言えばこの学園で知らぬものも居なければ、全国の音楽学校に通う人間で知らぬものも居ないだろう。
それくらいに目の前の女性は有名で、稀有な存在だった。
取られたキャスケットから溢れ出た赤髪は染めたものではなく純粋な色をしていて、見事な輝きを持っている。
かなでよりも高い位置にある顔立ちは整っており、笑うと自分とそんなに変わらない年代に見えた。
人懐っこそうな好奇心旺盛な瞳に、柔らかそうな白い肌。視線を胸に落とし、その後自分の胸へとやり、かなでは少しだけ落ち込んだ。
千秋や蓬生と違うけれど、彼女はとても華やかな雰囲気で、でも纏うのは朗らかで温かみのある気配。
「日野・・・香穂子、だと?」
掠れた声は千秋が発したもので、珍しくも彼の瞳はまん丸に見開かれていた。
それも仕方ない。何せ相手は日野香穂子だ。
衛藤桐也、王崎信武、そしてもう一人のヴァイオリニストと名を並べる新進気鋭の音楽家だ。
華やかで艶やかな衛藤の音。
穏やかで優しい王崎の音。
どちらも世界で人気を博し、尊敬しているがかなでが一番に好きで憧れているのは、目の前の女性の奏でる音だ。
彼女が操る楽器から繰り出される音は、まるで光り輝いていた。
太陽のように全てを包み何もかもを許容する。それでいて斬新で艶やかでコケティッシュ。
音楽を楽しみ音楽を愛しむ、そして音楽に愛された女性。
尊敬し憧れる人の登場に、かなでの瞳はきらきらと輝く。
「あ、あの!」
「ん?何?」
「私、小日向かなでっていいます!ファンです!サインください!」
「ええ!?でも、私今書くもの持ってないし・・・」
慌てたように目をまん丸にして告げる彼女に、情けなく眉を下げると、間に誰かが入った。
ぱちぱちと目を瞬き、それが幼馴染の背だと気がつくと首を傾げる。
「律くん?」
「・・・俺のサインペンでよければお貸しします。そして俺にもサインを下さい」
言い切った彼に不意に思い出した。
そう言えば、律はかなでに負けず劣らず彼女のファンであったのを。
ペンどころか手にノートを持っている彼の周到さに唖然とし、そして負けるものかと自分も何か書けるものを探す。
鞄をあさり出てきたティッシュやハンカチに絶望したかなでは最終手段に訴えた。
「私は、背中にサインください!」
ファンとは得てして奇妙な行動を取ってしまうものである。
あははは、と苦笑した彼女にしっかりサインペンを握らす幼馴染と顔を見合わせ、二人は静かに頷きあった。
朗らかに微笑んだ日野と名乗る彼女は、この場で知らぬものが居ぬ位に有名な人だった。
否、正確に言えばこの学園で知らぬものも居なければ、全国の音楽学校に通う人間で知らぬものも居ないだろう。
それくらいに目の前の女性は有名で、稀有な存在だった。
取られたキャスケットから溢れ出た赤髪は染めたものではなく純粋な色をしていて、見事な輝きを持っている。
かなでよりも高い位置にある顔立ちは整っており、笑うと自分とそんなに変わらない年代に見えた。
人懐っこそうな好奇心旺盛な瞳に、柔らかそうな白い肌。視線を胸に落とし、その後自分の胸へとやり、かなでは少しだけ落ち込んだ。
千秋や蓬生と違うけれど、彼女はとても華やかな雰囲気で、でも纏うのは朗らかで温かみのある気配。
「日野・・・香穂子、だと?」
掠れた声は千秋が発したもので、珍しくも彼の瞳はまん丸に見開かれていた。
それも仕方ない。何せ相手は日野香穂子だ。
衛藤桐也、王崎信武、そしてもう一人のヴァイオリニストと名を並べる新進気鋭の音楽家だ。
華やかで艶やかな衛藤の音。
穏やかで優しい王崎の音。
どちらも世界で人気を博し、尊敬しているがかなでが一番に好きで憧れているのは、目の前の女性の奏でる音だ。
彼女が操る楽器から繰り出される音は、まるで光り輝いていた。
太陽のように全てを包み何もかもを許容する。それでいて斬新で艶やかでコケティッシュ。
音楽を楽しみ音楽を愛しむ、そして音楽に愛された女性。
尊敬し憧れる人の登場に、かなでの瞳はきらきらと輝く。
「あ、あの!」
「ん?何?」
「私、小日向かなでっていいます!ファンです!サインください!」
「ええ!?でも、私今書くもの持ってないし・・・」
慌てたように目をまん丸にして告げる彼女に、情けなく眉を下げると、間に誰かが入った。
ぱちぱちと目を瞬き、それが幼馴染の背だと気がつくと首を傾げる。
「律くん?」
「・・・俺のサインペンでよければお貸しします。そして俺にもサインを下さい」
言い切った彼に不意に思い出した。
そう言えば、律はかなでに負けず劣らず彼女のファンであったのを。
ペンどころか手にノートを持っている彼の周到さに唖然とし、そして負けるものかと自分も何か書けるものを探す。
鞄をあさり出てきたティッシュやハンカチに絶望したかなでは最終手段に訴えた。
「私は、背中にサインください!」
ファンとは得てして奇妙な行動を取ってしまうものである。
あははは、と苦笑した彼女にしっかりサインペンを握らす幼馴染と顔を見合わせ、二人は静かに頷きあった。
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