×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
取材陣に捕まったチームメイトの隙間を抜けて一人戻った控え室。
迷わずに『私服』に着替え終えると、黒縁眼鏡を掛けなおし顔を隠すように深々とキャスケットを被る。
赤いTシャツの上から黒のジャケットを羽織り、鞄から携帯を取り出した。
不在着信が一件。誰かは確認しなくてもわかる。
嘆息しポケットに仕舞うと、丁度のタイミングで室内にノックが響いた。
「守ー、開けるよー」
「おう、いいぞー」
軽い声に返事をすると、間髪いれず勢い良くドアが開く。
凄いスピードだなと呆れ半分感心半分で見ていると、要領よく室内に入った一之瀬の後ろにいた土門の顔面に音を立ててドアがヒットした。
無言で鼻を押さえて蹲りながら悶絶する親友へ目もくれずに入室した一之瀬が、円堂を見て小首を傾げる。
訝しげに眉が寄せられ、じとりとした瞳を向けた。
「雷門に帰るんじゃないの?」
「帰るぞ」
「なら、どうして着替えてるのさ。皆と帰るなら着替えは必要ないだろ。インタビューや雑誌の撮影は?」
「俺の立場で出れるわけねぇだろ。ってか、お前土門少しは心配してやれよ。声もなく悶絶してるぞ」
チワワのように噛み付く一之瀬の頭を撫でると、彼の後ろで蹲る土門の傍にしゃがみ込む。
涙目で見上げた彼の鼻は真っ赤で、思わず笑ってしまったら、恨めしそうな顔で睨まれた。
「えーんーどーうー」
「いや、ごめんって!涙目になってるのが予想外に可愛くてさ」
「笑って謝っても誠意は感じない」
「んじゃ、痛くなくなるおまじないでもしてやろうか?」
「・・・・・・嫌な予感がするからいい」
「何だよ、こんなに可愛い女の子からチューしてもらえるのに嫌なのか?」
「っ!?お前は!もう少し恥じらいを持て!!」
冗談だったのだが、顔を真っ赤にして勢い良く後ずさる土門の反応がツボにはまる。
痛めた鼻を押さえたままで全力で後ろに下がったので、壁に当たって結構いい音がした。
可哀想に無駄に怪我を増やして痛みを堪えながらも、こちらを警戒する眼差しは止まなくて、くつくつと喉を震わしていたらこちらも背中に衝撃が走った。
ちらり、と視線だけ向けると面白くなさそうに頬をぱんぱんに膨らませた一之瀬がいて、手を伸ばして頭を撫でる。
この二年間できっちりと癖になった仕草だが、目を細めて心地よさげにしている様子は子猫のようだ。
最も、彼の本質はもっと骨太で芯が通った猛獣のほうが近いだろうけど。
「ほら離れろ一哉。俺、待ち合わせに遅れちゃうよ」
「───一人で、どこかに行ったら嫌だ」
「一哉・・・、大丈夫、ちゃんと帰ってくるよ」
「約束できる?」
「出来るよ」
差し出された小指に、苦笑しながら小指を絡める。
幼い仕草で指を振る彼の瞳は真剣そのもので、嘘を許さない妥協のない心が伝わった。
本当は、こんな約束に意味はない。
誰よりも理解しながらも、一之瀬に笑顔で頷いて見せた。
円堂の行為に安堵したように息を漏らした一之瀬は、ゆっくりと顔を近づける。
背中に負ぶさったまま近づく顔を瞬きせずに眺めていると、不意に彼の姿が消えた。
「土門?」
「いきなり発情するなよ、一之瀬。俺も居るんだからな」
「・・・親友だったら空気を読んでよ」
「親友だから犯罪に走らないように止めてやったんだろ。っていうか、お前も早く準備しろよ。西垣が待ってる」
不満を訴える一之瀬を、猫の子を捕らえるように襟首を掴んでぶらぶらと吊り下げながら呆れたように嘆息した土門は、視線をこちらに向けた。
一之瀬ほどあからさまじゃないけれど、一之瀬より余程警戒している視線に苦笑する。
土門は他人の感情の機微を読むのがとても上手い。まだ隠していることがあるのにも気づいているだろうし、それを不満に思いつつさらに心配してくれている。
彼はきっと、雷門サッカー部の中で一番精神的に大人なのだろう。
距離を取る術や、さりげなくフォローするのがとても上手い。けれど半面、子供らしく無邪気に甘えて我侭は言えない。
正反対の一之瀬と比べると差は余計に顕著で、要領が良さそうなのに悪い奴だなぁと微笑ましくなる。
円堂からしたら、一之瀬も土門も可愛い年下でしかないのに。
「他のやつらには消えるの言っておいたのか?」
「ああ、一応。豪炎寺の背中に張り紙つけといた。『所用があるからインタビューはお願いね(はぁと)』って」
「・・・・・・・・・お前ね」
「でもそれだけだと足りないと怒られそうだから、染岡の背中にも張っておいた。『家の事情で早退します。キャプテンマークは風丸へ☆』って」
「時々お前の図太さを呆れればいいのか感心すればいいのか迷うよ、俺は。豪炎寺はともかく、あの染岡に良くやるなぁ」
「ふはははは、真っ赤になって怒るのが目に浮かぶよな。あんまりマスコミの前に顔を出したくないんだ、俺。一応風丸にはきちんと理由を話しておいたから大丈夫」
「・・・鬼道さんには何も言ってないのか?」
「まあね。色々と都合があるんだよ、俺にも」
ぱちりとウィンクをしたら渋い表情で首を振られた。
大方厄介な話を聞いてしまったと思っているのだろうが、一度耳にした言葉は消えない。
これ以上突っ込むのならお前も同罪だと遠まわしに訴えれば、ため息一つで諦めたのかひょいと肩を竦めた。
物分りのいい年下の少年に微笑むと、彼らの格好に気がつき笑う。
この時間にここに居るということは、目の前の二人もインタビューを抜けてきたということだろう、
ならば考えられる相手などひとりしか居ない。
「西垣に会ったらさ、今度また一緒にサッカーしようって誘っといて。いっそ、木戸川清修と練習試合でもいいかもなぁ。あいつら上手いし、武方三兄弟だって実力は一級だ。それに、コント見てるみたいで面白いし」
「───後半は省いて伝えとくよ。多分、喜ぶ。西垣、円堂のサッカーが好きみたいだからな」
「ははっ、そりゃ嬉しいねぇ。俺もあいつのサッカー好きだよ。・・・それじゃ、そろそろ俺は行くな。もう時間がない」
ジャケットのポケットから取り出した懐中時計を開けると、待ち合わせの時間は十分後だった。
それまでに記者に見つからないよう出口まで辿り着かなければならない。
ぱっとみのイメージは変えているが、マスコミは中々侮れない。
万が一にでも過去を放送されるのは困る。今の段階で予定に入っていないのだから。
ずれてしまった帽子のつばを握ると、丁度いい角度に調整した。
鞄も学校指定のものではなく、手ごろなサイズのボストンバックに変えてある。
ギンガムチェックのそれを肩から提げると、部屋の中から見送る二人に手を上げた。
「そんじゃ、一哉、土門。Ciao. Ciao,Ciao,Ciao!」
ひらひらと手を振ってウィンクすると、チャオを言い過ぎと突っ込みながら土門は苦笑し、一之瀬は同じようにチャオを繰り返した。
陽気なイタリア人の挨拶を真似たものだが、ここまで連呼するのは久し振りで少し笑ってしまう。
もしかすると、思っているよりも優勝したことでテンションが上がっているのかもしれない。
服の襟を正しながら廊下を歩きつつ、日本に帰ってからの時間を回想すると、短いながらも濃密で印象深いと気がついた。
雷門に来てから数ヶ月しかたってないのに、もう何年もサッカー部の面々と付き合いがある気がする。
心を許しサッカーをプレイする楽しさは、やはり自分の心の核だと実感してしまった。
仲間とプレイするサッカー。勝つことだけではなく、楽しむサッカー。
サッカーこそが『守』の基準で、心と同じ部分にある。
どうしても捨てられない。生れ落ちた瞬間から魂に刷り込まれているのかもしれない。
だとしたら何という皮肉だろう。
命を懸けてもいいと欲するものにこそ、本当に命を削り取られている。
自分ひとりで生きてきたと言うほど傲慢じゃない。
自分が死んでも誰も悲しまないというほど薄情じゃない。
それでも選びたいものが決まっていて、だからこそ馬鹿になる自分を知っている。
「やっぱ、お嬢様育ちが悪いのかね?それとも生まれ持った貪欲さかな?俺は───欲しいものは全部欲しいんだ」
最高の仲間と最高のサッカーをして死ぬのなら、絶対に悔いは残らない。
短い人生でも、笑って幸せだったと死ねるだろう。
『守』は、そうやって死にたい。
「来たか、守。相変わらず五分前行動を心がけているようだな」
「はい、父さん。時間に遅れるのは好きじゃないんです。無駄に過ごしたくはありませんから」
「───そうか。私との約束を覚えているか?」
「ええ。私が試合に出る代わりに、勝っても負けてもひと段落着いたら絶対に検査を受ける。父さんの力添えもあり、私は無事に試合に出場を果たし優勝を収めることが出来ました。ありがとうございます」
「ならば、私の条件に異論はないな?」
「勿論です」
「検査は近くの国立病院で行う。心臓病の権威の医者がドイツから帰ってきているからな。結果次第では、暫く通院をしてもらう」
「はい。ですが」
「サッカーは止めない。判っている。お前は、そういう頑固な子だ」
泣き出しそうな顔で笑う父に、『守』は笑顔を返した。
自分こそ今にも涙が零れそうな顔で居るのに、強がりな少女は気づかない。
迷わずに『私服』に着替え終えると、黒縁眼鏡を掛けなおし顔を隠すように深々とキャスケットを被る。
赤いTシャツの上から黒のジャケットを羽織り、鞄から携帯を取り出した。
不在着信が一件。誰かは確認しなくてもわかる。
嘆息しポケットに仕舞うと、丁度のタイミングで室内にノックが響いた。
「守ー、開けるよー」
「おう、いいぞー」
軽い声に返事をすると、間髪いれず勢い良くドアが開く。
凄いスピードだなと呆れ半分感心半分で見ていると、要領よく室内に入った一之瀬の後ろにいた土門の顔面に音を立ててドアがヒットした。
無言で鼻を押さえて蹲りながら悶絶する親友へ目もくれずに入室した一之瀬が、円堂を見て小首を傾げる。
訝しげに眉が寄せられ、じとりとした瞳を向けた。
「雷門に帰るんじゃないの?」
「帰るぞ」
「なら、どうして着替えてるのさ。皆と帰るなら着替えは必要ないだろ。インタビューや雑誌の撮影は?」
「俺の立場で出れるわけねぇだろ。ってか、お前土門少しは心配してやれよ。声もなく悶絶してるぞ」
チワワのように噛み付く一之瀬の頭を撫でると、彼の後ろで蹲る土門の傍にしゃがみ込む。
涙目で見上げた彼の鼻は真っ赤で、思わず笑ってしまったら、恨めしそうな顔で睨まれた。
「えーんーどーうー」
「いや、ごめんって!涙目になってるのが予想外に可愛くてさ」
「笑って謝っても誠意は感じない」
「んじゃ、痛くなくなるおまじないでもしてやろうか?」
「・・・・・・嫌な予感がするからいい」
「何だよ、こんなに可愛い女の子からチューしてもらえるのに嫌なのか?」
「っ!?お前は!もう少し恥じらいを持て!!」
冗談だったのだが、顔を真っ赤にして勢い良く後ずさる土門の反応がツボにはまる。
痛めた鼻を押さえたままで全力で後ろに下がったので、壁に当たって結構いい音がした。
可哀想に無駄に怪我を増やして痛みを堪えながらも、こちらを警戒する眼差しは止まなくて、くつくつと喉を震わしていたらこちらも背中に衝撃が走った。
ちらり、と視線だけ向けると面白くなさそうに頬をぱんぱんに膨らませた一之瀬がいて、手を伸ばして頭を撫でる。
この二年間できっちりと癖になった仕草だが、目を細めて心地よさげにしている様子は子猫のようだ。
最も、彼の本質はもっと骨太で芯が通った猛獣のほうが近いだろうけど。
「ほら離れろ一哉。俺、待ち合わせに遅れちゃうよ」
「───一人で、どこかに行ったら嫌だ」
「一哉・・・、大丈夫、ちゃんと帰ってくるよ」
「約束できる?」
「出来るよ」
差し出された小指に、苦笑しながら小指を絡める。
幼い仕草で指を振る彼の瞳は真剣そのもので、嘘を許さない妥協のない心が伝わった。
本当は、こんな約束に意味はない。
誰よりも理解しながらも、一之瀬に笑顔で頷いて見せた。
円堂の行為に安堵したように息を漏らした一之瀬は、ゆっくりと顔を近づける。
背中に負ぶさったまま近づく顔を瞬きせずに眺めていると、不意に彼の姿が消えた。
「土門?」
「いきなり発情するなよ、一之瀬。俺も居るんだからな」
「・・・親友だったら空気を読んでよ」
「親友だから犯罪に走らないように止めてやったんだろ。っていうか、お前も早く準備しろよ。西垣が待ってる」
不満を訴える一之瀬を、猫の子を捕らえるように襟首を掴んでぶらぶらと吊り下げながら呆れたように嘆息した土門は、視線をこちらに向けた。
一之瀬ほどあからさまじゃないけれど、一之瀬より余程警戒している視線に苦笑する。
土門は他人の感情の機微を読むのがとても上手い。まだ隠していることがあるのにも気づいているだろうし、それを不満に思いつつさらに心配してくれている。
彼はきっと、雷門サッカー部の中で一番精神的に大人なのだろう。
距離を取る術や、さりげなくフォローするのがとても上手い。けれど半面、子供らしく無邪気に甘えて我侭は言えない。
正反対の一之瀬と比べると差は余計に顕著で、要領が良さそうなのに悪い奴だなぁと微笑ましくなる。
円堂からしたら、一之瀬も土門も可愛い年下でしかないのに。
「他のやつらには消えるの言っておいたのか?」
「ああ、一応。豪炎寺の背中に張り紙つけといた。『所用があるからインタビューはお願いね(はぁと)』って」
「・・・・・・・・・お前ね」
「でもそれだけだと足りないと怒られそうだから、染岡の背中にも張っておいた。『家の事情で早退します。キャプテンマークは風丸へ☆』って」
「時々お前の図太さを呆れればいいのか感心すればいいのか迷うよ、俺は。豪炎寺はともかく、あの染岡に良くやるなぁ」
「ふはははは、真っ赤になって怒るのが目に浮かぶよな。あんまりマスコミの前に顔を出したくないんだ、俺。一応風丸にはきちんと理由を話しておいたから大丈夫」
「・・・鬼道さんには何も言ってないのか?」
「まあね。色々と都合があるんだよ、俺にも」
ぱちりとウィンクをしたら渋い表情で首を振られた。
大方厄介な話を聞いてしまったと思っているのだろうが、一度耳にした言葉は消えない。
これ以上突っ込むのならお前も同罪だと遠まわしに訴えれば、ため息一つで諦めたのかひょいと肩を竦めた。
物分りのいい年下の少年に微笑むと、彼らの格好に気がつき笑う。
この時間にここに居るということは、目の前の二人もインタビューを抜けてきたということだろう、
ならば考えられる相手などひとりしか居ない。
「西垣に会ったらさ、今度また一緒にサッカーしようって誘っといて。いっそ、木戸川清修と練習試合でもいいかもなぁ。あいつら上手いし、武方三兄弟だって実力は一級だ。それに、コント見てるみたいで面白いし」
「───後半は省いて伝えとくよ。多分、喜ぶ。西垣、円堂のサッカーが好きみたいだからな」
「ははっ、そりゃ嬉しいねぇ。俺もあいつのサッカー好きだよ。・・・それじゃ、そろそろ俺は行くな。もう時間がない」
ジャケットのポケットから取り出した懐中時計を開けると、待ち合わせの時間は十分後だった。
それまでに記者に見つからないよう出口まで辿り着かなければならない。
ぱっとみのイメージは変えているが、マスコミは中々侮れない。
万が一にでも過去を放送されるのは困る。今の段階で予定に入っていないのだから。
ずれてしまった帽子のつばを握ると、丁度いい角度に調整した。
鞄も学校指定のものではなく、手ごろなサイズのボストンバックに変えてある。
ギンガムチェックのそれを肩から提げると、部屋の中から見送る二人に手を上げた。
「そんじゃ、一哉、土門。Ciao. Ciao,Ciao,Ciao!」
ひらひらと手を振ってウィンクすると、チャオを言い過ぎと突っ込みながら土門は苦笑し、一之瀬は同じようにチャオを繰り返した。
陽気なイタリア人の挨拶を真似たものだが、ここまで連呼するのは久し振りで少し笑ってしまう。
もしかすると、思っているよりも優勝したことでテンションが上がっているのかもしれない。
服の襟を正しながら廊下を歩きつつ、日本に帰ってからの時間を回想すると、短いながらも濃密で印象深いと気がついた。
雷門に来てから数ヶ月しかたってないのに、もう何年もサッカー部の面々と付き合いがある気がする。
心を許しサッカーをプレイする楽しさは、やはり自分の心の核だと実感してしまった。
仲間とプレイするサッカー。勝つことだけではなく、楽しむサッカー。
サッカーこそが『守』の基準で、心と同じ部分にある。
どうしても捨てられない。生れ落ちた瞬間から魂に刷り込まれているのかもしれない。
だとしたら何という皮肉だろう。
命を懸けてもいいと欲するものにこそ、本当に命を削り取られている。
自分ひとりで生きてきたと言うほど傲慢じゃない。
自分が死んでも誰も悲しまないというほど薄情じゃない。
それでも選びたいものが決まっていて、だからこそ馬鹿になる自分を知っている。
「やっぱ、お嬢様育ちが悪いのかね?それとも生まれ持った貪欲さかな?俺は───欲しいものは全部欲しいんだ」
最高の仲間と最高のサッカーをして死ぬのなら、絶対に悔いは残らない。
短い人生でも、笑って幸せだったと死ねるだろう。
『守』は、そうやって死にたい。
「来たか、守。相変わらず五分前行動を心がけているようだな」
「はい、父さん。時間に遅れるのは好きじゃないんです。無駄に過ごしたくはありませんから」
「───そうか。私との約束を覚えているか?」
「ええ。私が試合に出る代わりに、勝っても負けてもひと段落着いたら絶対に検査を受ける。父さんの力添えもあり、私は無事に試合に出場を果たし優勝を収めることが出来ました。ありがとうございます」
「ならば、私の条件に異論はないな?」
「勿論です」
「検査は近くの国立病院で行う。心臓病の権威の医者がドイツから帰ってきているからな。結果次第では、暫く通院をしてもらう」
「はい。ですが」
「サッカーは止めない。判っている。お前は、そういう頑固な子だ」
泣き出しそうな顔で笑う父に、『守』は笑顔を返した。
自分こそ今にも涙が零れそうな顔で居るのに、強がりな少女は気づかない。
PR
更新内容
|
(06/28)
(04/07)
(04/07)
(04/07)
(03/31)
(03/30)
(03/30)
(03/30)
(03/30)
(03/25)
(03/25)
(03/25)
(03/25)
(03/24)
(03/24)
(03/24)
(03/23)
(03/14)
(03/14)
(03/13)
(03/13)
(03/13)
(03/11)
(03/10)
(03/08)
カテゴリー
|
リンク
|
フリーエリア
|