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「・・・で、俺が呼ばれたのか」
「そう!丁度いいだろ?俺はマジン・ザ・ハンドの特訓で、フィディオはオーディンソードの特訓。互いに互いの動きを見てれば何が悪いか見つけあえるし、足りない部分だって補えれるし」
「でもマモルはFWでGKじゃないだろ?何で今更キーパー技の特訓なんだ?」
「それは、ヒ・ミ・ツです」
ウィンクしながら唇に指先を当てた守は、今日はお嬢様スタイルではなく有名メーカーの黒地に白いラインが入ったジャージを着ている。
長い髪をツインテールにしてオレンジ色のバンダナを巻いた姿は、フィディオには見慣れたものだった。
相変わらず器用にボールをリフティングするのを感心して眺めてると、不思議そうに小首を傾げられる。
ノンフレームの眼鏡はサッカーの邪魔だと外されており、フィディオの好きな栗色の大きな瞳がきょとりと瞬きした。
クリスマス前に日本に返るらしい彼女は、どうしても覚えたい技があるとフィディオを呼び出した。
今は11月の頭。クリスマスまで残り一月とちょっとだ。
その期間内で覚えたい技を教えてもらえばキーパー技だし、何がなんだか判らない。
珍しく休みが重なった日曜日、メールで約束してたので早朝からマンションを訪ねれば、地下訓練場なる場所に連れてこられた。
マンションの地下にある場所だが広々としているし、訓練用らしき機器が沢山あった。
筋力トレーニングの器具以外にも、サッカーコート半面を模したものまである。
きょろきょろと物珍しげに見渡していると、キーパーグローブをつけた守は、入念にストレッチを開始する。
体を解し始めた彼女を見て、これ以上聞いても無駄かと一つ息を吐き出すと彼女に並んだ。
「マモル」
「んー」
「クリスマス前には、日本に帰るんだよな?」
「ああ。と言っても、ずっと日本にいるわけじゃないけどな」
「どうしてだ?」
「ほら、俺って一応お嬢様じゃん?面倒だけどパーティー参加義務があるんだよねぇ」
「パーティー参加義務?」
「そう。エドガーんとこが主催してるのや鬼道財閥主催も含めて、多分クリスマス前から連日参加だね。流石に大晦日は家で過ごすだろうけど、その日にもパーティーだろうし」
「連日パーティーか、いいな。俺、楽しいの好きだし羨ましいよ」
フィディオの言葉に肩の筋を伸ばしていた守は、ふうっとわざとらしく嘆息して首を振る。
差し伸べられた手を取ると背中合わせになり、互いの体を持ち上げ背中の筋を伸ばし始めた。
「どうしてさー。毎日パーティーなんて、最高、じゃないかー」
「バーカ。金持ちのパーティーなんて、根っこは怖いぞ。綺麗に着飾ったお嬢さん、たちも、中身は、真っ黒だー」
ぐっぐっとシーソーのようにおんぶ状態で互いに背中を持ち上げたら、次は屈折だ。
上半身を折り曲げて手を地面につけた状態で顔を見合わせる。
「どろどろしてるのか?」
「そう、どろどろしてるんだ。あんなところに本当なら有人を連れてきたくないくらいだ」
「マモルはユウトには過保護だからな。今、一瞬で信憑性が下がった」
「失礼な」
最後にぐーっと息を吐き出しながら限界まで体を折り身を起こす。
次に足を開いて地面に体を伏せる。体が柔らかい守は足も百八十度は開き地面にべったりだが、彼女よりはやや固いフィディオは地面と少しだけ体が離れた。
「でも、本当に憂鬱なんだぜ。午前中は衣装合わせ、午後は勉強で夕方からはパーティー。父さんみたいに最後まで残らなくていいけど、それでも十分に疲れるし」
「けど美味しいものいっぱい食べれるしプレゼントだって沢山もらえるんだろ?」
「プレゼント?」
「え?クリスマスパーティーじゃないのか?」
「ああ、そっか。クリスマスってそんなイメージか。・・・あのな、フィディオ。確かにパーティーはするけどそれは社交だからプレゼントなんて一々貰わないぞ」
「そうなのか!?」
身を起こし、右に体を傾けつつ左手で右のつま先を掴む。腰の筋が伸びるのを感じながら瞬きして問うと、同じ体勢を維持したままそうだよと視線だけこちらにやった守が頷いた。
「ああ、でもクリスマス時期には家の広間にツリーが飾られて、父さんからのプレゼントが大量に並べられるけど。でも貰うのは一つだけだし、屋敷で働いてる全員分だからなー」
「マモルの家はお金持ちなのに、プレゼントは一つだけなのか」
「金持ち別に関係なくね?一人の相手からは一つのプレゼントで十分じゃん」
「それはそうだけどさ。お金持ちってもっと沢山プレゼント貰ってるイメージがあったから」
体を反対側に向けると同じように左も腰の筋を伸ばす。
「そういう家もあるみたいだけどな。ケチとかじゃなくて、父さんの教育方針なんだ。身に過ぎるものは必要としない。沢山の心無きプレゼントより、一つの誠意あるプレゼントを。まあ、勿論誠意を贈る相手は選ぶけどな。俺も必要かどうかすらわからないプレゼントを大量に渡されるより、一つだけ心の篭ったプレゼントをもらった方がいい」
「ユウトとかから」
「そう、有人から。あいつ可愛いんだぜー。去年のプレゼントは手作りのリースだったし。俺と自分の小さい人形作って取り付けてあったんだけどさ、手作りだし裁縫初めてだったからって手が絆創膏だらけだった」
くくくっと首を竦めて嬉しそうに声を漏らすと、ゆっくりと体勢を戻す。
立ち上がった守が背後に来るのに気がつくと、フィディオは足を揃えた。
つま先を立て、臍から体を折るイメージを作ると背中に徐々に圧力がかかる。
ゆっくりと息を吐き出しながら手を前方に伸ばすと、少し息苦しいくらいの場所で止めた。
「はっ、ちょっと柔らかくなった?」
「んー・・・まだ固い気がする」
「マモルと比べるなよ。マモルは軟体生物並みだろ」
「それ、褒めてんの?」
「勿論」
即答したのに背中にかかる圧が強まる。
ぐえっと情けない声を上げると、背後から密やかな笑い声が聞こえて眉を顰めた。
「マモル」
「ふは、ごめんごめん。でも、とりあえず俺は身内以外からはプレゼントは基本的にもらわないな。学校の付き合いなんてそれなりだし、社交界でのプレゼントなんて受け取ったら何を要求されるかわかんねえし」
「身内・・・じゃあ、エドガーは?」
「エドガーもくれるぞ。あいつは基本的に自分で育てた花プラスアルファだな。去年は、確かクリスマスプレゼントに薔薇百本とティーセット貰った」
「薔薇にティーセット?」
「そう。薔薇はあいつご自慢の庭園の朝摘みで、ティーセットはオーダーメイドの一式と、あと有名どころの厳選五十種の茶葉。俺はそんなに紅茶好きじゃないっての」
「・・・なんていうか、エドガーらしいな」
「だろ?仕方ないからあいつが来るたびに淹れて消費してる。あと、有人と父さんにも。薔薇はポプリとジャムにしておすそ分け。エドガーも美味しいって紅茶に入れてたな」
「ふぅん」
体勢を交代しながら、相変わらず報われないなと異国の美少年を脳裏に浮かべる。
彼は一途に許婚を思っているのに、何故ここまで報われないのか。
少々小言が五月蝿い気もするが、彼は性格も見た目も極上なのに。
心のどこかでそれに安堵する自分を無視して肩を竦めると、守の背中をぐいっと押した。
べたりと膝と顔をつけた守は全く痛がる様子もない。これも彼女の才能の一つで、柔軟さがしなやかな動きを作っている。
もっと柔軟もきっちりとこなさなきゃなと考えながら、背中に圧し掛かった。
「重っ、フィディオ重い!」
「えー?俺は重くないよ。平均だよ」
「筋肉ついてる分だけ重いだろ!」
「大丈夫だって。それでマモルは去年ユウトとエドガーに何あげたの?」
「俺?有人にはセーターでエドガーにはマフラー」
「手編み?」
「手編み。毎年恒例みたいなもんだな」
頷いた守の背中から身を起こすと、いいなと呟く。
ん?と振り向いた守と正面から眼が合った。不思議そうに瞬きを繰り返す少女に苦笑すると、指先で頬を掻く。
「だってさ、エドガーと有人はマモルのプレゼントもらえるけど、クリスマス時期に傍に居ない俺は何ももらえないし渡せないだろ」
「それが?」
「寂しいじゃないか。折角マモルと仲良くなったのに、イベントは悉く一緒に過ごせない。ユウトやエドガーが羨ましい」
「ふーん」
腕を組みながら何事か思案するように首を傾げた守は、ぱちんと指を鳴らすと笑顔を浮かべた。
「そしたらさ、郵送するよ」
「何を」
「プレゼント。クリスマス直通便だ。どうせチームメイトにもプレゼント贈ろうと思ってたしな」
「俺はついで?」
「んなわけないだろ、親友」
勢いをつけて首に腕を掛けられ、近づいた距離に息を呑む。
悔しいけれど守の方が少しだけ身長が高いので、視線を少し上向けた。
間近で見る笑顔は、やっぱり南イタリアの太陽みたいに明るくて、胸の奥がとくりと高鳴る。
何故か頬が熱くなり、自分の反応に首を傾げた。
「ま、でもこの技を習得しなきゃプレゼント用意する余裕なんてないけどな」
「だからどうしてキーパー技」
「それは秘密です」
空々しい笑みを浮かべる守を半眼で睨むが、楽しげにスルーされた。
体を温めるためにジョギングをしながら今日のトレーニングの流れについて確認する。
シュート練習とキーパーの練習は最後に残して、行う真新しい練習法の数々にフィディオは目を輝かせた。
最後まで俺の練習に付き合えたのはお前が初めてだと大好きな笑顔で言われた頃には、地べたに寝そべり息を荒げていたけれど。
「そう!丁度いいだろ?俺はマジン・ザ・ハンドの特訓で、フィディオはオーディンソードの特訓。互いに互いの動きを見てれば何が悪いか見つけあえるし、足りない部分だって補えれるし」
「でもマモルはFWでGKじゃないだろ?何で今更キーパー技の特訓なんだ?」
「それは、ヒ・ミ・ツです」
ウィンクしながら唇に指先を当てた守は、今日はお嬢様スタイルではなく有名メーカーの黒地に白いラインが入ったジャージを着ている。
長い髪をツインテールにしてオレンジ色のバンダナを巻いた姿は、フィディオには見慣れたものだった。
相変わらず器用にボールをリフティングするのを感心して眺めてると、不思議そうに小首を傾げられる。
ノンフレームの眼鏡はサッカーの邪魔だと外されており、フィディオの好きな栗色の大きな瞳がきょとりと瞬きした。
クリスマス前に日本に返るらしい彼女は、どうしても覚えたい技があるとフィディオを呼び出した。
今は11月の頭。クリスマスまで残り一月とちょっとだ。
その期間内で覚えたい技を教えてもらえばキーパー技だし、何がなんだか判らない。
珍しく休みが重なった日曜日、メールで約束してたので早朝からマンションを訪ねれば、地下訓練場なる場所に連れてこられた。
マンションの地下にある場所だが広々としているし、訓練用らしき機器が沢山あった。
筋力トレーニングの器具以外にも、サッカーコート半面を模したものまである。
きょろきょろと物珍しげに見渡していると、キーパーグローブをつけた守は、入念にストレッチを開始する。
体を解し始めた彼女を見て、これ以上聞いても無駄かと一つ息を吐き出すと彼女に並んだ。
「マモル」
「んー」
「クリスマス前には、日本に帰るんだよな?」
「ああ。と言っても、ずっと日本にいるわけじゃないけどな」
「どうしてだ?」
「ほら、俺って一応お嬢様じゃん?面倒だけどパーティー参加義務があるんだよねぇ」
「パーティー参加義務?」
「そう。エドガーんとこが主催してるのや鬼道財閥主催も含めて、多分クリスマス前から連日参加だね。流石に大晦日は家で過ごすだろうけど、その日にもパーティーだろうし」
「連日パーティーか、いいな。俺、楽しいの好きだし羨ましいよ」
フィディオの言葉に肩の筋を伸ばしていた守は、ふうっとわざとらしく嘆息して首を振る。
差し伸べられた手を取ると背中合わせになり、互いの体を持ち上げ背中の筋を伸ばし始めた。
「どうしてさー。毎日パーティーなんて、最高、じゃないかー」
「バーカ。金持ちのパーティーなんて、根っこは怖いぞ。綺麗に着飾ったお嬢さん、たちも、中身は、真っ黒だー」
ぐっぐっとシーソーのようにおんぶ状態で互いに背中を持ち上げたら、次は屈折だ。
上半身を折り曲げて手を地面につけた状態で顔を見合わせる。
「どろどろしてるのか?」
「そう、どろどろしてるんだ。あんなところに本当なら有人を連れてきたくないくらいだ」
「マモルはユウトには過保護だからな。今、一瞬で信憑性が下がった」
「失礼な」
最後にぐーっと息を吐き出しながら限界まで体を折り身を起こす。
次に足を開いて地面に体を伏せる。体が柔らかい守は足も百八十度は開き地面にべったりだが、彼女よりはやや固いフィディオは地面と少しだけ体が離れた。
「でも、本当に憂鬱なんだぜ。午前中は衣装合わせ、午後は勉強で夕方からはパーティー。父さんみたいに最後まで残らなくていいけど、それでも十分に疲れるし」
「けど美味しいものいっぱい食べれるしプレゼントだって沢山もらえるんだろ?」
「プレゼント?」
「え?クリスマスパーティーじゃないのか?」
「ああ、そっか。クリスマスってそんなイメージか。・・・あのな、フィディオ。確かにパーティーはするけどそれは社交だからプレゼントなんて一々貰わないぞ」
「そうなのか!?」
身を起こし、右に体を傾けつつ左手で右のつま先を掴む。腰の筋が伸びるのを感じながら瞬きして問うと、同じ体勢を維持したままそうだよと視線だけこちらにやった守が頷いた。
「ああ、でもクリスマス時期には家の広間にツリーが飾られて、父さんからのプレゼントが大量に並べられるけど。でも貰うのは一つだけだし、屋敷で働いてる全員分だからなー」
「マモルの家はお金持ちなのに、プレゼントは一つだけなのか」
「金持ち別に関係なくね?一人の相手からは一つのプレゼントで十分じゃん」
「それはそうだけどさ。お金持ちってもっと沢山プレゼント貰ってるイメージがあったから」
体を反対側に向けると同じように左も腰の筋を伸ばす。
「そういう家もあるみたいだけどな。ケチとかじゃなくて、父さんの教育方針なんだ。身に過ぎるものは必要としない。沢山の心無きプレゼントより、一つの誠意あるプレゼントを。まあ、勿論誠意を贈る相手は選ぶけどな。俺も必要かどうかすらわからないプレゼントを大量に渡されるより、一つだけ心の篭ったプレゼントをもらった方がいい」
「ユウトとかから」
「そう、有人から。あいつ可愛いんだぜー。去年のプレゼントは手作りのリースだったし。俺と自分の小さい人形作って取り付けてあったんだけどさ、手作りだし裁縫初めてだったからって手が絆創膏だらけだった」
くくくっと首を竦めて嬉しそうに声を漏らすと、ゆっくりと体勢を戻す。
立ち上がった守が背後に来るのに気がつくと、フィディオは足を揃えた。
つま先を立て、臍から体を折るイメージを作ると背中に徐々に圧力がかかる。
ゆっくりと息を吐き出しながら手を前方に伸ばすと、少し息苦しいくらいの場所で止めた。
「はっ、ちょっと柔らかくなった?」
「んー・・・まだ固い気がする」
「マモルと比べるなよ。マモルは軟体生物並みだろ」
「それ、褒めてんの?」
「勿論」
即答したのに背中にかかる圧が強まる。
ぐえっと情けない声を上げると、背後から密やかな笑い声が聞こえて眉を顰めた。
「マモル」
「ふは、ごめんごめん。でも、とりあえず俺は身内以外からはプレゼントは基本的にもらわないな。学校の付き合いなんてそれなりだし、社交界でのプレゼントなんて受け取ったら何を要求されるかわかんねえし」
「身内・・・じゃあ、エドガーは?」
「エドガーもくれるぞ。あいつは基本的に自分で育てた花プラスアルファだな。去年は、確かクリスマスプレゼントに薔薇百本とティーセット貰った」
「薔薇にティーセット?」
「そう。薔薇はあいつご自慢の庭園の朝摘みで、ティーセットはオーダーメイドの一式と、あと有名どころの厳選五十種の茶葉。俺はそんなに紅茶好きじゃないっての」
「・・・なんていうか、エドガーらしいな」
「だろ?仕方ないからあいつが来るたびに淹れて消費してる。あと、有人と父さんにも。薔薇はポプリとジャムにしておすそ分け。エドガーも美味しいって紅茶に入れてたな」
「ふぅん」
体勢を交代しながら、相変わらず報われないなと異国の美少年を脳裏に浮かべる。
彼は一途に許婚を思っているのに、何故ここまで報われないのか。
少々小言が五月蝿い気もするが、彼は性格も見た目も極上なのに。
心のどこかでそれに安堵する自分を無視して肩を竦めると、守の背中をぐいっと押した。
べたりと膝と顔をつけた守は全く痛がる様子もない。これも彼女の才能の一つで、柔軟さがしなやかな動きを作っている。
もっと柔軟もきっちりとこなさなきゃなと考えながら、背中に圧し掛かった。
「重っ、フィディオ重い!」
「えー?俺は重くないよ。平均だよ」
「筋肉ついてる分だけ重いだろ!」
「大丈夫だって。それでマモルは去年ユウトとエドガーに何あげたの?」
「俺?有人にはセーターでエドガーにはマフラー」
「手編み?」
「手編み。毎年恒例みたいなもんだな」
頷いた守の背中から身を起こすと、いいなと呟く。
ん?と振り向いた守と正面から眼が合った。不思議そうに瞬きを繰り返す少女に苦笑すると、指先で頬を掻く。
「だってさ、エドガーと有人はマモルのプレゼントもらえるけど、クリスマス時期に傍に居ない俺は何ももらえないし渡せないだろ」
「それが?」
「寂しいじゃないか。折角マモルと仲良くなったのに、イベントは悉く一緒に過ごせない。ユウトやエドガーが羨ましい」
「ふーん」
腕を組みながら何事か思案するように首を傾げた守は、ぱちんと指を鳴らすと笑顔を浮かべた。
「そしたらさ、郵送するよ」
「何を」
「プレゼント。クリスマス直通便だ。どうせチームメイトにもプレゼント贈ろうと思ってたしな」
「俺はついで?」
「んなわけないだろ、親友」
勢いをつけて首に腕を掛けられ、近づいた距離に息を呑む。
悔しいけれど守の方が少しだけ身長が高いので、視線を少し上向けた。
間近で見る笑顔は、やっぱり南イタリアの太陽みたいに明るくて、胸の奥がとくりと高鳴る。
何故か頬が熱くなり、自分の反応に首を傾げた。
「ま、でもこの技を習得しなきゃプレゼント用意する余裕なんてないけどな」
「だからどうしてキーパー技」
「それは秘密です」
空々しい笑みを浮かべる守を半眼で睨むが、楽しげにスルーされた。
体を温めるためにジョギングをしながら今日のトレーニングの流れについて確認する。
シュート練習とキーパーの練習は最後に残して、行う真新しい練習法の数々にフィディオは目を輝かせた。
最後まで俺の練習に付き合えたのはお前が初めてだと大好きな笑顔で言われた頃には、地べたに寝そべり息を荒げていたけれど。
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更新内容
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(03/13)
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