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「結局この間は円堂のタイプが判らんかったし、今日こそ逃がさへんで」
「またぁ?食事くらいゆっくり摂ろうぜ?」
「あかん!そんなこと言って逃げる気やろ」
「別に逃げるとかじゃなくってさ・・・前にも言ったけど、俺、好みのタイプってないんだってば。人にはそれぞれいいところがあるし、魅力なんて色々だろ?」
「ほんなら、あんたはあそこに座る面々とでも付き合えるって言うんか!?」


そう言ってリカが指差したのは、食事をしている面々が集まっている一角の一つだ。
ちなみに席についているのは、綱海、土方、飛鷹、壁山、立向居としっくりきているのか異色だと驚けばいいのか微妙なメンバーだった。
リカの声に驚いたように視線をこちらに向ける綱海に苦笑して手を振る。


「悪い、綱海。ちょーっとリカが暴走中でさ」
「あー・・・そりゃなんか見たら判る」
「どうかしたんですか、円堂さん?」
「実はな」
「───何で円堂に聞いてるのに浦部が答えようとするんだ?」
「実はな!円堂の好みのタイプを突き止めようとしてんねんけど、こいつがのらりくらりとかわしよるねん」
「へー、円堂の好みのタイプか。そいや、お前の好みのタイプとか聞いたことねえな」
「せやろ?そのくせ本人はいろんな男に粉掛けられっ放しやん。せやから好みのタイプを教えろって言うたんやけど、こいつ人にはそれぞれの魅力がある、みたいな綺麗ごと言うて逃げようとするもんで、ならこいつらとも付き合えるんかい!って問いただしてる最中や」
「こいつらって、俺たちのことっすか?」
「そうや。この間のイケメン集団が居ないからあんたらで代理や」
「イケメン軍団?」
「豪炎寺、鬼道、佐久間、風丸、虎丸の五人や。ちなみにうちのお勧めは豪炎寺や!」
「豪炎寺さんっすか~。確かにイケメンっすね」
「・・・他の四人も種類は違うが、顔は整ってる」
「実際、同じ男として比べられたくない人たちですね」
「ばーか!男は顔じゃないぜ!な、円堂!」
「そうそう」


な、と笑顔を向けてきた綱海に、円堂も腕を組んでこくこくと頷く。
そんな円堂を半眼で睨んだリカは、彼らに対し著しく失礼な発言をした。


「ほんならあんたは豪炎寺たちやなく、そいつらとでも付き合えるっちゅうんか?」


どうなんや、とばかりに腰に手を当ててにじり寄るリカに苦笑する。
どうしてそこまで自分の好みのタイプが気になるのか全く理解できないが、一度気になるととことんなのはリカらしいとも言える。


「別に、普通に付き合えるよ」
『ええ!?』
「何?俺、驚くようなこと言った?」


綱海以外の面々が瞳をまん丸にして驚くのに、むしろこちらが驚いてしまう。
驚愕し動けずに居る彼らを他所に、綱海が円堂の肩を抱いて引き寄せた。
肩がぶつかり少し痛かったが、悪戯っ子のように笑う彼に円堂も釣られて苦笑する。


「ほーらな!男はやっぱ、顔じゃなくて中身だぜ」
「アホ!あの男前集団は見た目だけじゃなく中身もスペシャルや!そんなのにあっちじゃなくてこっちの三枚目集団を選ぶやなんて・・・」
「・・・ちょっとリカ、さっきから言い過ぎじゃないか?」
「だって信じられへんもん!こいつらの何処がそんなに魅力的なんや!?」
「ったく、しょうがないな、リカは。こいつらのどこが魅力的か言うのはいいけど、その代わり」
「その代わり?」
「聞いたら失礼発言を謝る事。判ったか?」
「・・・判ったわ」


悪い子ではないが、イケメン好きの友人に円堂は苦笑した。
円堂とてイケメンは嫌いじゃないが、人間の魅力はそこだけじゃない。


「まず、壁山」
「え!?俺っすか!?」
「壁山の魅力は自分の弱さに向き合って頑張れるところだ。最初から雷門にずっと居て、逃げたいことだってあっただろうし実際に逃げ出そうとしたこともあったけど、こいつは絶対に逃げなかった。それって心が強いってことだ。気が弱そうでも芯が一本しっかり通ってるのは魅力だろ」
「その、ありがとうございますっす」
「次に立向居」
「え?は、はい!」
「立向居の魅力は地道に努力が続けれるところだ。自分の力に対して謙虚で努力できる強さがある。自分を弱いと思い込むのは悪い癖だけど、その分誰に対しても当たりが柔らかい。優しくて柔軟なところが立向居の魅力だな」
「うわわわわ・・・憧れの円堂さんに褒めてもらえるなんてっ」
「次は、飛鷹」
「・・・」
「飛鷹は口下手で不器用なところがあるが、真っ直ぐだ。誰にも見えないところで努力して努力して努力して努力して、花開かせても努力したことすら口にしない。驕りと正反対の場所に居る。不器用だけど一途なところが魅力的だ」
「っ」
「そんで土方」
「おう!」
「土方は器がでかいよな。豪炎寺を匿ってくれたときも自分だって弟たちの面倒を見なきゃいけなくて大変だったろうに、苦労してるなんて全くうかがわせなかった。やるべきことを当たり前にやってるって感じだったけど、それって実は難しいことだ。しかも弟たちの面倒を見てたから家事もばっちりだ。これはかなりの良好物件と言える」
「ははは!ま、確かに家事全般出来るな!」
「最後に綱海!」
「よしきた!」
「こいつは笊の目がめちゃくちゃ粗いけど、凄く気がいい奴だよな!空気読めないし、サーフィン馬鹿だし、飛行機乗ると錯乱するけど」
「・・・俺だけ貶されてねぇか?」
「でも面倒見いいし小さなことに拘らないし一緒に居て気が楽だし、実は結構気遣いさんだよな。意外と周りを見て動くし、頼まれたら嫌って言えないお人よしだし土方と同じくらい度量がでかい!やっぱ男は器の大きさだよな!」
「さすが円堂!判ってるじゃねぇか!」
「そしてこいつら全員に言えることだが、一度付き合ったら浮気しなさそうだ!───綱海は微妙だけど」
「っ、失礼だな!俺は自分の惚れた相手は大事にするぞ!」
「ははは、冗談だって!───これだけ聞いてもこいつらに付き合う魅力ないって言えるか?」
「それは・・・、うちの負けや。酷いこと言って堪忍な」


ぐっと拳を握り頭を下げたリカを前に、誰も口を開くものはいなかった。
返事がないのを訝り顔を上げると、壁山と立向居、飛鷹は顔を真っ赤にして俯いており、土方は照れくさそうに視線を逸らしながら頬を指先で掻いている。
唯一照れていないのはにこやかな笑顔で円堂の肩を抱く綱海だけで、瞬きをして肩を竦めた。


「初心なのも魅力の一つって奴かい」
「あははは!」
「そうかもしれねぇな」


三人の笑い声が食堂に響き、イナズマジャパンの不思議そうな視線が突き刺さる。

結局円堂の好みのタイプを聞き出せなかったのにリカが気づいたのは、宿泊施設の自分の部屋に帰ってからだった。

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