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「好みのタイプ?俺の?」
「そうです!一度聞いてみたかったんです、円堂先輩の好みのタイプ。この間もイタリアの白い流星と一緒にイタリアエリアでデートしてましたよね?その前はテレスさんと一緒に二人きりで守備について話して、その前はエドガーさんとお茶してたし、その前はユニコーンと一緒にサッカーしてましたよね?」
「まぁ、誘われたしな。あいつらサッカー上手いし、話が弾むんだよな~」
「で、ぶっちゃけ本命は誰ですか?世界有数のイケメンに囲まれてるんです。一人くらい好みのタイプいるでしょう?」
「好みのタイプねぇ。俺って、好みのタイプってないんだよね。みんなそれぞれいいところあるし」
「・・・それ、股掛け宣言ですか?」
「あはははは!俺が?世界のイケメンで逆ハー宣言。いいねぇ、それって女の夢じゃん」
「笑い事じゃないですよ」


いくら訴えても暖簾に腕押しの態度を変えない円堂に業を煮やした音無が、むっと唇を尖らせる。
同じ夕食の席についていた木野はむきになる音無に苦笑し、隣の冬花と顔を見合わせた。
そんな音無の様子に共感したのは恋バナが大好きなリカで、塔子が呆れるのも気にせずに笑うと現在同じように食事中のイナズマジャパンのメンバーを指差す。


「ほんなら、こいつらの中ではどいつが好みなん?」
「こいつらって───イナズマジャパンのメンバー?」
「そやそや。うちのお勧め第一弾はこいつや!」
「・・・何だ?」


食事中走り寄ったリカにいきなり指差された豪炎寺は、箸を止めて顔を上げる。
同じ席についていた鬼道、佐久間、風丸、虎丸が釣られてリカを眺め、その視線の先にいる円堂を見る。


「へぇ、リカのお勧めは豪炎寺か。意外だなあ。一哉とはタイプが違うんじゃない?」
「顔だけなら飛びぬけてイケメンやろ!」
「顔ならお兄ちゃんだって負けてませんよ!私のお勧めは断然お兄ちゃんです!お兄ちゃんは凄く格好いいんですから」
「でも顔なら佐久間君だって綺麗よね。眼帯で隠れてるけど」
「あ、それなら風丸も負けてないじゃん。二人とも女が顔負けの女顔だからな」


へらりと笑って告げた塔子に、二人の鋭い視線が突き刺さる。
どれだけ女顔でもやはり男の子。
もしかすると綺麗過ぎる顔をコンプレックスとしているのかもしれない。
二人の視線を遮るように塔子の前に立つと、円堂は苦笑する。


「ははは。二人とも、塔子に悪気はないんだ、許してやってくれよ」
「悪気がない?」
「そう言うのが一番性質が悪いんだ」
「大丈夫、大丈夫。確かにお前ら激しく女顔だけど」
『円堂』
「でも、性格この上ない男前だからな。十分魅力的な男の子だ」


からからと笑って言われ、急に褒められた二人は顔を赤らめ俯いた。
確かに女顔とコンプレックスを刺激されて憤っていたのに、これでは怒りを持続できない。
真っ赤になった二人を眺め、鬼道が柳眉を吊り上げる。


「どういうことですか、姉さん」
「あ、それはうちが説明したるわ。実はな今円堂の好みのタイプを探してるとこやねん」
「姉さんの、好みのタイプ?」
「せや。円堂ってば他のチームの面々によくデートに誘われとるんやけど」
「!?姉さん、俺は聞いてません!」
「そりゃ言ってないし。一々デートの報告をする姉って微妙じゃない?」
「微妙じゃありません!今は家を出ていますが、あなたは鬼道の娘なんですよ!ふしだらな態度は慎んでください!」
「ふしだらっつってもなぁ。別に俺へんな事してないし。単なるデートだぞ?しかもお前らの練習中に遊んでるとかじゃなく、ちゃんとオフタイムだし」
「最近部屋に行ってもいないと思ったら・・・。いつの間にそんな約束してるんですか」
「いつの間にって・・・俺たちメル友。ほれ」
「うわー、円堂羨ましいわ。これあのイケメンたちのアドレスなん?」
「そうそう」
「メール見てもいい?」
「別にいいぞ」


ほら、とあっさりと手渡された携帯を操作したリカは、鬼道たちの前でがくりと肩を落とした。
どうしたんだと近寄る彼らに向かい、持っている携帯の画面を見せ付ける。


「あかん、全部英語や。この携帯、設定がバイリンガルになっとる」
「うわ、本当だ!」
「海外仕様ですか?」
「携帯は日本製だけどね。ほら俺って一応帰国子女じゃん?英語の方が慣れててさ」
「英語なら私読めるわ」
「そんなら宜しく頼むわ。一番上のから読んだって」
「え?でも・・・」
「別に構わねぇよ、秋。どうせ大したメールしてないし」
「うん、それなら」


戸惑いながらも頷いた木野が視線を携帯に落としてメール画面を出す。
そして視線が文章を追うにつれ、徐々に顔が赤らんできた。


「ちょ、円堂君。これ・・・」
「な、大したことない内容だろ?」
「大したことないって・・・これ、ほとんどデートの誘いか口説き文句じゃない!」
『ええ!?』
「しかも日付を見ればほとんど毎日来てる」
「───どういうことですか、姉さん。大したことない内容だったんじゃなかったんですか!?」
「えー?大したことないじゃん。可愛いとか好きとか付き合ってくれとか結婚しようとかそんなんばっかだぞ」


からり、と言われたが教えられた方はたまったもんじゃない。
女性陣と男性陣が同時に奇声を上げたが、その反応は正反対だ。
思わぬ恋話に目を輝かせる女性陣と違い、焦りの滲む男性陣は顔を引きつらせている。
しかし受け取った張本人は全く気にしないとばかりに笑いながら手を振った。


「こんなん外国じゃ普通、普通!な、秋」
「え?」
「だってこいつら最初の一哉の行動にだって驚いてたんだぞ?アメリカじゃハグとキスくらい親愛の情なのにな」
「ハグとキス!?」


思わず上げてしまった声らしく、叫んだ跡に慌てて虎丸が口を押さえる。
その姿に目を丸くして、円堂はにいっと意地の悪い笑顔を浮かべた。
女子のグループから離れ座っている虎丸の前で足を止める。
にやにやとした笑顔に虎丸が身構えようとした瞬間、彼女は彼の腕を引っ張った。


「えっ!?」
「虎丸ってばマジで可愛いなぁ。何か、昔の有人みたいだ。キスしただけで真っ赤っか」
「ええ!?ええええ!?」


何が起きたか判らないとばかりに大きな瞳で激しく瞬きを繰り返す虎丸を、ぎゅうっと胸に抱き込む。
言葉通りにハグとキスを受けている虎丸は、座っているので頭が胸に埋まり顔がどんどんと赤くなった。
ませた言葉を言うこともあるが、やはり基本は小学生。
色恋沙汰に免疫がないのか、今にも湯気が出そうなくらい照れまくる。


「うーん・・・確かに、可愛いな。これは将来有望やわ」
「あはは!真っ赤だぞ、こいつ」
「確かにアメリカでは挨拶かもしれませんが、ここは日本ですからね。虎丸君もまだ小学生ってことですね」
「・・・湯気が出そう」
「円堂君!?虎丸君が可愛そうよ」
「いや、つい可愛くて。ごめんな、虎丸」
「うー・・・俺だってこれでも男なんですよ!」
「判ってる、判ってる!虎丸は将来有望な男の子だよな」
「円堂先輩!」


大きい瞳を潤ませながら怒って訴える虎丸の頭を撫でて、円堂は爽やかに笑った。
きゃんきゃんと食いつく虎丸を軽くいなす円堂に、リカは肩を竦める。
突然の出来事に呆然とした男性陣を横目に軽く息を吐き出した。


「こりゃ、上手いことごまかされたな」
「円堂はリカみたいに何でも色恋に重ねるわけじゃないってことだよ」
「あははは。確かに、そうじゃなきゃあれだけの口説き文句は流せないね」
「・・・付き合うはともかく、結婚はないわね」


好き勝手言い合う女性陣のすぐ横で、未だ硬直の解けない男性陣は瞳を丸くしたまま硬直していた。

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