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「朽木、明後日は有給の扱いでいいのか?」
「はい。すみません、突然に」
「いや、家の用なら仕方ないさ。俺もその日は休みをもらうしな」
「・・・隊長も、ですか?」


本日も体調を崩し、雨乾堂で横になる青白い肌の浮竹に、ルキアはひっそりと眉を寄せる。
最近は季節の変わり目の所為か、ちょくちょく熱を出す浮竹は、今日も頭に氷袋をつけてくったりと布団に横になっている。
ルキアが知る限りこの人はこの時期に明るく元気で爽やかな暮らしをした記憶はなく、いつだって十三番隊の誇る隊長大好き三席の二人と交代で看病をしているのに。
浮竹もそれを判っているので、この時期に滅多に私的な予定を入れることはない。
むしろその余裕があれば、ぐったりと布団の上で鮪のように伸びている。
知っているからこそ違和感が大きく、訝しげな顔で眺めていると、情けなく眉を下げた浮竹は淡く苦笑した。

「何か不満げな顔だな」
「別に・・・そんなことはありませんが」

それでも拗ねたような口調になるのは、浮竹が心配だからだ。
甘えが滲み出る態度は仮にも上司に取るべきものではないが、それを判っていても甘えてしまうくらい浮竹はルキアを甘やかすのが上手い。
温厚な雰囲気や、柔らかな話し方が気を張らせないのかもしれない。
視線を逸らしたルキアに笑うと、浮竹はゆっくり上半身を起こすと視線を合わせる。
正座しているルキアと、布団から直に起きている浮竹。
身長差のおかげで丁度正面から見詰められ、視線を感じつつも今更そちらを向くに向けないで居ると、ふわりと暖かな何かが頭に触れた。
思わず視線を戻すと、にこりと嬉しそうに浮竹が笑う。
ルキアの髪を梳くように撫でる彼は、どうやら機嫌がいいらしい。
あまりに嬉しそうにしているので、喉元にまで出掛かった文句も口内に消えてしまう。

「心配をかけてすまんな、朽木」
「───別に。心配しているとは申しておりません」
「そうかそうか」

くしゃくしゃと撫でる掌に力が篭められ、首までが僅かに上下する。
揺れる視界に慌てて両手を使って腕を押さえると、目を丸くした浮竹はやはりそのまま破顔した。
綺麗で鮮やかで、それでいて何処か意地悪な顔で。

「明後日が楽しみだな、朽木」
「・・・はぁ」

正直ルキアとしては家を通じた用事、お見合いなど楽しみでもなんでもない。
朽木の養女としての勤めの一つと理解しているが、幾度か経験しても慣れないし面倒だ。
しかしそれを目の前の上司に報告するのは少々恥ずかしくあり、家の用事と誤魔化したが、この邪気のない笑顔を前に全く楽しみじゃありませんとは答えられない。

「晴れるといいな」
「はぁ」

若干のテンションの差を無言で蹴散らす浮竹に一つため息を落とす。
これほど楽しみにしているなら、是非晴れればいいと、浮竹のためにひっそりと祈った。

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