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むらさめポケモン -ピオッジャ- :武
タイプ:みず、はがね
性格:れいせい
個性:のんびりするのがすき
とくせい:よびみず、せいしんりょく

【説明】
しんかポケモンミナライからの進化系。雨の夜にりゅうのウロコを持たせてレベルアップさせることで進化する。このポケモンは戦闘能力が高いものが多く、冷静で聡いものが多い。一生に一度だけ全てを捧げ仕えるべきチェーリを選択する。だがその理想ゆえにチェーリの隣に並ぶピオッジャを見ることは稀である。




「さて、今回はダブルバトルだゾ」


ウィンクをしながら宣言した伊達男に、綱吉はびくりと体を強張らせる。いつも通りのぱりっとした黒のスーツを身に纏い、ボルサリーノを指先で弄んだパートナーはじんわりとした笑みを浮かべた。
リボーンの意向でほとんどを外ですごす綱吉は、残念なことに見たくもない悪戯っぽいそれを見て情けなく眉を下げる。そそくさと部屋の片隅に移動すると、縮こまりプルプルと震え始めた。
元来平和好きな綱吉は、戦うことが苦手だ。
そういう荒事は、戦闘と規律が大好きなヌーヴォラの雲雀かSっ気たっぷりのネッビアの骸、若しくは己の鍛錬に余念がないセレーノの了平に任しておきたい。
痛いのも怖いのも大嫌いな自分を嫌になるほど良く理解している綱吉は、じりじりと距離を縮めるリボーンを涙目で見詰めた。
悲しいかな四天王の頂点であるはずのリボーンの部屋は、いいものは置いてあるがごちゃっとしているわけではない。
量より質を求める彼の性格を現し必要最低限の家具しかなかった。僅かな隙間に体を嵌めこみ、逃げ場はないかと往生際悪く使い慣れた部屋を見渡す。
重厚な黒檀の机に、同色の革張りの椅子。アンティークの本棚には実は勉強熱心である彼の趣味が反映された様々な分野の著書が収められていて隠れる場所は見つからない。
ガラス張りのケースは大きいが、繊細な一輪挿しと、ジム戦やコンテスト、後は地方の大会などの優勝トロフィーが所狭しと並べられていてやはり綱吉の体を入れる隙間は見つからなかった。
びくびくと小さくなった綱吉はせめてもの抵抗に背を向けて頭を抱え込む。

コンテストも大会も、綱吉にとっては幾度経験しても一向に慣れない試練だ。練習は嫌いじゃないが、実際大会に出場が決まるたびに胃が痛くなり極度の緊張に陥る。その為参加するよりはもっぱら応援している方が好きだった。
最近では、そんな綱吉の意向を汲んでくれるが如く、コンテストも大会も綱吉以外のポケモンを多用していたくせに、何故今更と思わずにはいられない。
体を小さくして震えていれば、ぽん、と頭の上に掌を乗せられる。
無遠慮な力で強制的に本来なら曲がらない方向へと綱吉の頭を回転させたリボーンは、にぃと心底愉しそうな笑みを浮かべた。
底知れない笑顔に、チェ!?と小さく悲鳴を上げて身を固まらせる。


「お前が出るんだ、ツナ」
「・・・チェー・・・リ?」
「ダメだ。もうお前で行くって決めてるんだぞ。最近はコンテストはほとんど出場してなかったし、大会でもお前まで回ることがなかったからな。お前も運動不足だろう?それを解消してやろうって言うんだ。なんていいトレーナーなんだろうな、俺は」
「チェ、チェー・・・」


小声で文句を言ったのが聞こえたのか、眉を跳ね上げたリボーンは綱吉の口を掴むとむにゅっと押しつぶした。
読心術が仕えるパートナーは、ポケモンである綱吉の言葉も正確に理解する。それがいい方向に進む場合もあるが、今はとにかく疎ましい特技だった。
ふごふごと手足をばたつかせる綱吉を薄っすらと笑みを刷いた顔で見詰め、口を開く。


「相手はマーモン。お前の大好きなXANXUSを使ってくるぞ」
「チ゛ェー!!!!?」


覚えのある名前を出され、びびびと尻尾を逆立てる。
リボーンのライバルで四天王の一角を担う存在に怯えたのではなく、マーモンが扱うポケモンに恐怖したのだ。
マーモンはリボーンと同じ四天王の一角を担うトレーナーなのだが、見た目の愛らしさとは裏腹に随分と恐ろしげなポケモンを使う。
しかもリボーンと同じ天候シリーズと一般に呼ばれる、綱吉たちと同じ種類のポケモンを利用する。
中でもXANXUSは、綱吉を一方的にライバル視しているポケモンだ。同じチェーリとは思えないほど体格が良く、また形相も恐ろしい。
綱吉が色違いのポケモンであるのを除いても、比較できないほどの圧迫感を持つ相手だ。
見た目ライオンの綱吉とは少し形状が違う大空タイプで、捕まればあの牙で容赦なくがぶりといかれる。
何故か綱吉はXANXUSに嫌われているのだ。

瞳に涙を溜めぶるぶると震えていれば、たまたま調整のために出ていたピオッジャの武が滲む涙を舌で拭ってくれた。
その仕草にすら『ヂェ!?』と悲鳴を上げて身を竦めると、呆れたような眼差しをリボーンに向けられる。
漆黒の狼のような見た目(実際は狼より体格がいいが)をした武が苦笑し、ぱさり、とその毛並みの良い尻尾を揺らした。


「喜べ武。今回はタッグバトルだぞ。相手はお前のライバルのスクアーロだ。XANXUSと一緒に組んだときのあいつは普段の倍は強いぞ」
「ピーオ、ピオ、ジャ」
「それもそうだな。お前もツナと組めば普段よりも倍以上の強さだ」


読心力で武の言葉を理解し頷いたリボーンは上機嫌に頷くと、意地の悪い顔で綱吉を眺めた。


「だらけきった生活に喝をいれてやるぞ、ツナ。ありがたく思え」
「ヂェ、チェーリ!!」
「抵抗は無駄だ。死ぬ気で戦え」


今にも気絶しそうな綱吉を体を張って支えると、輝かしく爽やかな笑顔を武は向けた。


『だいじょーぶだって、ツナ。俺がちゃちゃちゃーと蹴散らしてやるのな』
『武・・・』
『俺とお前が組んで負けるはずねぇよ。前だって勝ったし、今回も勝てるさ』
『・・・そうかな?』
『そうそう。暫くは一緒に特訓するだろうし、折角なんだから楽しんでやろうぜ』
『う、うん』


前回は死闘の末、辛うじて勝てたのを記憶の彼方に飛ばし、爽やかな武に思わず頷く。
痛い目を見たのに、流され易い綱吉はすでに武との特訓を楽しみにすらし始めていた。
後日、やはり満身創痍で甘言に乗らずやめておけば良かったと死ぬほど後悔するのだが───、とりあえず今の彼は目先の武以外は見えていない。
そして『特訓』の二文字が、一見爽やかでありながら存外に計算高い武の、綱吉と共に居る時間を増やすための口実に過ぎないのも能天気な綱吉は一切気付けなかった。

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