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お猫様のすすめ10のお題
--お題サイト:お題配布処-ふにふにさま-より--



■1.ふてぶてしいやつ!【土方&神楽】

「だから酢昆布十年分上納しろって言ってんだろうが、コノヤロー」
「だから何で俺がお前に酢昆布上納しなきゃなんねぇんだって言ってんだろが!」

可愛い顔をこの上なく歪めた神楽に、身長差があるのに何故か見下した眼差しを向けられびしりと額に青筋が浮く。
彼女との付き合いも(認めたくないが)随分と長いものになりつつあるが、育ての親が悪いのか、それとも元々素養があったのか、顔に似合わずチンピラ並にメンチを切っている。
鬼の副長と呼ばれる自分相手に随分と肝が据わっているが、感心する気は微塵もない。
どころかこれほどむかつく相手も中々おらず、どS王子と、天パの銀髪くらいしか思いつかない。
神楽の場合、思春期から銀髪のところで過ごしていたために悪影響を受け過ぎたのだろう。
彼女の罪は最小だ。そう考えねば今すぐにでも女相手に抜刀してしまいそうで、唇を噛み締め何とか怒りを押し殺そうとする。

しかしそんな土方の努力を嘲笑うように口を三日月形にした神楽は、益々憎たらしい顔つきになった。

「おうおうおう、お巡りさんの癖に庶民相手に抜刀する気アルか?か弱い女子供相手に刀向ける気アルか?市民の血税で生きてるお前らが市民に手を上げる気アルか~?」

その巻き舌の腹立たしさと言ったらない。
小奇麗な顔で騙されがちだが、目の前の少女は可愛さなど欠片も持ち合わせていない。
ほとんど表情を動かさないくせに、こんな時ばかり厭らしさを交えた笑みを浮かべ詰め寄る姿はチンピラ以上に性質が悪い。

元々短い土方の堪忍袋の緒は、ぶちっと切れた。
そう、それはもう修復不可能な具合に、ぶっちりと。

「んだと、テメェ!その性根叩き直してやるからそこに直れ!!大体税金払ってねぇお前に血税どうのこうの言う権利があると思ってんのか!!ふざけんな!か弱い女子供?んな愛らしい区分に収まるつもりか、お前はよぉ!!」

絶叫すれば少しだけすっきりした気がした。
しかし次の瞬間、ざっと音を立てて血の気が下がる。

ここは駄菓子屋の前。ついでに言えば、公共の道の真ん中。
歩く市民の視線と、こちらをちらちらと見ながら囁かれる言葉が痛い。
何が痛いって、聞こえるか聞こえないかで耳に入る『ロリコン』とか『アダルトチルドレン』とか『変質者』とか地味な悪口が心に刺さる。
しまった、と思っても後の祭り。
目の前に視線を戻せば、先ほどまでの小憎らしい笑顔など嘘だったように、にこり、と子供らしい無邪気な笑みを浮かべた神楽の姿。

「この場で『ロリコン趣味のヘンタイに犯されるー!助けてお巡りさーん!』と叫ばれたくなければ、さっさと酢昆布上納するヨロシ、大串君」
「・・・大串君じゃねぇ」

がくり、と項垂れながら敗北宣言に近い呟きを漏らせば、どS王子並に綺麗な顔をした少女は満足そうに頷いた。



■2.可愛くないなぁ、お前【銀時&神楽】

「銀ちゃん、銀ちゃん」
「ん~何だ、神楽?」

腕の中から見上げる蒼い瞳を見つめれば、無表情で銀時の視線を受け止めた少女は僅かに眉を顰める。
だがその程度で今の銀時のテンションは下がらない。
珍しくマダオの奢りで屋台で好き放題酒を飲んだ。
おでんは美味しく、酔いはほどいい。
気分はふわふわと昂揚し、世界は自分を中心に回っていると断言できる。
腕の中の神楽は黙っていれば人形のように愛らしく、擦り寄れば大好きな糖分と似た甘い香がした。

「銀ちゃん、銀ちゃん」
「何だ~?」

普段は見せないが、銀時はこれでいて神楽を可愛がっていた。
どれくらい可愛がっているかというと、目の中に入れてランダバを踊られても平気なくらいに可愛がっていた。
素直じゃない性質からそれを口にする気はないが、大事で可愛い娘だし、変な虫がつかないよう気を張っている。
特に真選組に居るマヨラーだとかドS王子とかあいつらは駄目だ。
町のナンパ野郎と違って中身を知りつつ神楽の傍に居るのが腹が立つ。
その点でいけばよっちゃんや新八も危ないが、やつらは子供だから除外してもいい。
数年後に何か行動を起こそうとしたら、男の大事な部分をちょん切る覚悟で今を楽しめと嘲笑ってやっておく。
他にももろもろの男の顔を脳裏に浮かべながら徐々に不機嫌になっていくと、また腕の中から呼びかけられた。

「銀ちゃん、銀ちゃん」
「んー?どした?」

自分でも甘ったるいと思う声。
けれど羞恥心も理性もかっとんでいる今なら平気だ。
好きなだけ甘やかし、好きなだけ甘えてもどうせ何もかも酒の所為。
明日になれば全て忘れる。
今は泡沫の夢に等しい。
だから腕の中の少女を可愛がっても、何の罪にもなりはしない。

酔っ払いの理屈を展開する銀時に、神楽がにっこり微笑んだ。
花も恥らう微笑みは、身内の贔屓目なしに可愛らしい。
桃色の唇が持ち上がり、夢見るような眼差しが向けられる。

「酒臭ぇんだよ、この酔っ払いが」

一転して凄まじく蔑みの表情を向けられ、思わず体が凍りついた。
動けずにいる銀時を睥睨し、ぺっと痰を吐いた彼女はさっさと自分の部屋に戻っていった。


■3.なんで逃げるの【沖田&神楽】

「追ってくんなヨ、このドS野郎!」
「逃げると追いたくなるのが人間の本能だろ。追われたくないなら逃げんじゃねぇよ」
「ふざけるなアル!お前とは極力関わるなって銀ちゃんに言われてるネ!」
「旦那に?馬鹿だな、チャイナ。言いつけは破るためにあるんだぜぃ」
「私もお前と関わりたくないネ!よってお前の提案は却下アル!」

凄まじい勢いで走る背中を追いかける。
緋色のチャイナ服に、青の番傘。蒼の髪留めに靡く桃色の髪。
全てが沖田の闘争心を掻き立て、獲物を追う獣のように全身が躍動する。
加減抜きで全力で走っているのにその距離は一向に縮まらず、むしろ徐々に開いている事実に自然と唇が弧を描く。
強い獲物は好きだ───いたぶり甲斐があるなら尚更。

「待てよ、チャイナ!」
「絶対に嫌アル!」

今日も彼らは全力で生きている。


■4.ご主人様と遊んでよ・・・【近藤&神楽】

「なぁ、チャイナさん。もうちょっとこっちに来てもいいんじゃないか?」
「嫌アル。無理アル」
「嫌はともかく無理ってどういうこと?ねぇ、それはちょっと酷くない?」
「無理アル。お前という存在そのものが無理アル」
「え?何か存在から否定?俺っていう存在から拒否?」

あっさりと放たれた言葉にがくりと肩を落とす。
非番なので町を散策し妙の姿を探していたのだが、声をかけてきた子供にたかられること早一時間。
そろそろ財布の中身もつきそうで、近藤のライフゲージもつきそうだ。

近藤の奢りで十杯目のカキ氷をかき込んでいる彼女の胃は底なしだ。
牛丼、酢昆布、おにぎりと続き、素晴らしい食いっぷりだ。
元来子供好きの近藤は、ついつい強請られるままに与えてしまったが、これはやりすぎかもしれない。
人慣れぬ子猫のような彼女と仲良くなろうと考えたのがいけなかった。
妙が可愛がる妹分としてだけではなく、近藤は神楽を可愛いと思う。
素直じゃない素振りでいるが心根は酷く真っ直ぐで、そんなところを自分の部下達が気に入ってるのは知っていた。

親交を深めようと始めから邪心があったのがいけないのだろうか。
一定距離からこちらに近づかない少女に、それでも近藤の脂は下がった。

「チャイナさん、おでんは好きか?」
「好きアル!」

真選組一諦めの悪い男の挑戦は続く。


■5.お気に召しませんでしたか【桂&神楽】

「ヅラぁ!!」
「む?何だ、リーダー」
「何だじゃないアル!お前、舐めてんのかコルァ!」

叫び声と同時に、顔に熱い何かが強襲する。
熱さも相当だが、口にした瞬間喉が焼けるように熱くなり、思わず地面に転がりながら慌ててそれを振り払った。

「あつつつつつつ!そして辛っ!!」

激からカレーは名に違わず桂の喉を焼き、胃の中を灼熱地獄と変えた。
胃の中でカレーの精がタンゴを踊っている。
情熱的に踵を踏み鳴らし、胃の中で荒れ狂っていた。
あまりの苦しさに水を探すが、命の水は目の前で神楽に飲み干された。
砂漠で水を失った旅人のように絶望に陥る桂を見下し、神楽は静かに断言した。

「カレーは激からじゃなく甘口、もしくは中辛だって言ってんだろうがコノヤロー!カレー好きイエローとして己のアイデンティティを失ってんじゃないアル!!」

見た目は小さいが器は大きいリーダーの言葉に、桂はその場で平伏した。


■6.ねだる時だけ、甘い声【新八&神楽】

「新八、お願い」

こんな時だけ自分の愛らしい容貌を思い切り利用する悪魔に、新八は冷静を保とうと眼鏡のつるを指先で押し上げる。
しかし悪魔は魅了の力を自覚しており、逃げに入ったのを察知すると益々媚びた眼差しを送ってきた。

「ねぇ、新八」
「・・・駄目」
「お願いヨ」
「駄目って言ったら、駄目」
「一生のお願いアル」
「それ、先週も聞いた」
「今度こそ本当ネ!新八の手伝いもちゃんとするし、酔っ払った銀ちゃんも布団で寝かすアル。だからお願いヨ!」
「・・・手伝いはともかく、銀さんは放っといていいよ。どうせ風邪引かないし」

さくさくとスーパーの中で特売品を物色しながら告げれば、ぷっと河豚のように頬を膨らました神楽が通路に割り込んできた。
仕方なしに視線を向けると、蒼の瞳がじっと見詰めてくる。
黙っていれば文句なしに可愛い神楽にぐぅと喉がなった。

「お願いヨ、新八」
「・・・もう、今度で最後だからね」
「ありがとうアル!」

仏頂面から満面の笑みへとぱっと表情を変化させ、神楽はお菓子コーナーへと走っていく。
そこにあるのは、お徳用酢昆布セットだ。
神楽曰く、通常の味と梅昆布味とセットで通常価格と数十円しか違わぬ最高の贅沢品らしい。
二百円にも満たないそれを最高の贅沢と言い切る今の生活に涙しないわけでもないが、彼女のエンゲル係数は半端ないのでもうしばらくは我慢して欲しい。
そう、新八がもっとお金を稼いで、贅沢とは何たるかを教えれるようになるまで。

そんな将来が来るまで一緒にいられたらいいのにと望む自分を自覚しないまま、タイムセールスに向け準備運動を始めた彼が、無自覚の想いを自覚するのはそう遠くはないだろう。


■7.上等な毛並み、上等な根性【お妙&神楽】

血統書付きの猫のようだ、と彼女を表現したのは仕事先の同僚だった。
癖一つない桃色の髪。
日に焼けない白すぎる肌。
空と海を混ぜた蒼い瞳。
つんと上を向く形の良い鼻に、ぷくりとした桜色の唇。
大きい目には長い睫毛が存在を主張し、華奢な体つきは触れれば折れそうで庇護欲を誘う。
体つきは小さいのに、相反して存在感は大きい。
きっとそれは、彼女自身がいつだって背筋を伸ばして生きているからで、その心が折れずに強い美しいものだからだろう。

無防備に家の縁側で大福を貪る神楽の髪に手を伸ばし、さらり、と撫ぜる。
すると他の誰にだって警戒心を強めるはずの彼女は、妙に向かって瞳を向けると小首を傾げただけでそのまま行為を享受した。
黙ってされるがままになる少女に、にこりと微笑む。
子供ではあるが矜持の高い彼女がされるがままになる相手など、片手で数えれる程度だろう。
はっきりと口にするより判りやすい好意のあり方に、胸の奥がぽっと暖かくなる。
好きと口にされるよりずっと、この信頼は妙に充足感と満足感を与えた。

「どうしたアルか、姐御」
「髪の毛が跳ねていたから直したのよ。女の子なんだから身だしなみに気をつけなきゃ駄目よ、神楽ちゃん。己を磨き、将来的に食虫植物にひきつけられるように群がる男たちを手玉に取るのは、いい女の特権よ。そのためにも努力は惜しんじゃ駄目」
「はーい。判ったアル」

妙の言葉に何の疑いも持たず、神楽はこくりと頷いた。
素直な様子に気分を良くし、飼い猫の毛並みを整えるように丁寧に髪を抄く。
子猫が母親に甘えるように、この子も喉を鳴らさないかと密かに考えた昼下がり。


■8.生傷が絶えない【高杉&神楽】

「堕ちちまえば早いんだよ」

そう言って哂えば、まるで虫けらを見るような眼差しを向けられた。
嫌悪と憎悪が混じる視線は子供が向けるには迫力がありすぎて、背筋を走る興奮に気分が昂揚する。

絶滅寸前の戦闘種族夜兎の娘。
小作りで愛らしい顔にも、抜けるような肌の色にも、抱き潰したくなる華奢な体にも興味はない。
ただその小さな体が抱える闇にこそ、高杉は興味を持っていた。

闇に愛され陽に拒絶された生き物は、夜に躍動してこそ美しい。
白い肌は赤い、紅い血に濡れてこそ映えるもの。
蒼い瞳は月夜に輝いてこそ煌くもの。

全てを開放し暴れる兔はいかほどのものだろうか。
兔と名に付くくせに、牙も鋭く爪もある。
凶暴性を胸奥に秘め、いつまで獣を飼いならす気なのだろうか。

白い肌は繊細な見目とは違い、傷つけても傷つけてもすぐに皮膚が再生する。
再生されたばかりの肌は薄桃色で、糸のような傷跡が幾つも幾つも浮かび上がる。
腕を突っ込んで穴を開けてもきっと放っておけば再生が始まるのだろう。
夜兎とはそういう生き物で、だからこそ刹那を生きるために戦いに興じるのだ。

「ぶっ壊れちまえば楽なのによ。お前の中の獣は、飼い殺すには勿体ねぇ」
「関係ないネ。私は戦うと決めたアル。一人にならないために、私は私と戦うネ」

子供が言うにしては随分な台詞だ。
だが喜怒哀楽全ての感情をこそぎ落とした女が告げるには、酷く婀娜っぽいものと映った。
くつり、と喉が震える。

邪気がなさそうに見える瞳に、闇を植えつけたらとても愉快だろうに。


■9.とっておきの可愛い顔【星海坊主&神楽】

「・・・いい顔、してるよなぁ」

星屑を散りばめた闇の中、飛んでいく鉄屑の中で受け取った手紙に添付された写真を見て星海坊主は瞳を和ました。
そこに居るのはエイリアンハンターとして絶大の信頼を得る最強の男ではなく、可愛い娘を思う一人の父親。

いつの間にか父親が思うよりも大きくなっていた娘は、生まれた星を飛び出して勝手に地球に止まり木を作っていた。
いつか飛び立つ束の間の居場所だと嘯いて、酷く安堵した安らいだ顔で笑った。
本当ならその居場所は他の誰かではなく父親の自分が提供しなくてはいけないものだったのに、与えてやれなかった父親を詰るでもなく神楽はただそこに居た。

守ってやりたいと願っていた。
殺したくないと恐怖した。
しかし娘は、そんな父親の思惑など空の彼方に蹴っ飛ばし、自分の生き方を押し通した。

兄にも自分にも似なかった娘。
神楽は誰よりも強く、魂が綺麗な子供だった。

「父親として、妬けちまうな神楽ちゃん」

笑顔でピースサインをする彼女の脇には万事屋の男たち。
自分が贈った緋色のチャイナドレスを纏う少女は、両脇の男たちに腕を絡め全開の笑顔を咲かせていた。
その笑顔は、雨ばかり降るあの星では、滅多に見られない特別なものだった。


■10.そろそろ機嫌直してくれませんか【定春&神楽】

「きゅーん」

公園のベンチの上で体育座りをする主に湿った鼻を押し付ける。
いつもだったら笑顔で相手をしてくれるはずなのに、何の反応もしないで主はそこにいた。

晴れた日には傘を差すくせに、雨の中ただ濡れる主に、自分もびしょ濡れになりながらぱしりと尻尾を振る。
水溜りが泥を跳ねたが、真っ白な毛並みを汚しても気にならなかった。

自分とお揃いで真っ白な肌をしている主は、目と鼻と頬を真っ赤に染めて声を殺して泣いている。
雨の雫に混じって零れる涙に気付いたのは、ぺろりと舐めた先が塩辛かったから。
嗚咽を殺し泣き顔を隠さず、雨を顔で受けながら空を見上げる主は、悲しい事に美しかった。

「わんわん」
「・・・・・・定春、帰るヨロシ」
「わん」
「定春」
「わんわん!!」

言葉が伝わらないのがもどかしい。
何故自分は犬の言葉しか話せないのだろう。
主は兔でも人語を操る。
どうして自分は駄目なのだろう。

幾ら吼えても言葉は伝わらない。
だから代わりにぺろりと頬をひと舐めすれば、塩気がもっと濃くなった。

「わん!」

冷たくなった体がこれ以上冷えないよう寄り添えば、遠慮がちに回された腕が首を抱いた。



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