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片思いで5のお題
--お題サイト:お題配布処-ふにふにさま-より--
■僕は君が好きだけど、君がそうじゃないなら【クロコダイル】
「相変わらず、イカレてんなぁ、麦わら」
くつくつと喉を震わせ戦い終わったばかりの男を横目で見れば、多勢に無勢であったにも関わらず傷一つ負わなかった彼は、無造作に首から提げていた麦藁帽子を手で直すと目を丸くしてクロコダイルを見た。
「何だ、鰐。居たのか」
「まぁな。俺がここでメシ食ってたらお前が目の前で騒ぎ始めたんだ。ディナーに砂が入った」
「そりゃ悪かったな。弁償するから許してくれ」
「・・・金、持ってんのか?」
「おう、だいじょーぶっ!おれの小遣いは肉に消えたが、ここにたくさん財布がある」
「・・・・・・追いはぎか」
「いや、イシャリョウって奴だ。ナミが言ってた」
「『慰謝料』を漢字で書けねぇ奴が口にするな」
「ししししっ、お前男の癖に細かいな」
うんざりと呟くと、肉を背負ったまま倒れていた男たちの胸元を漁ったルフィがなにやら投げて寄越した。
どうやら本当に財布を奪ったらしく、それほど重みはないがここの代金程度は払えそうな量のベリーはありそうだった。
ひょい、と片眉を上げ、どういうつもりだと呟くと、彼は益々笑みを深める。
相変わらず取り留めない反応に、掴み所がない奴だと疲れを覚える。
そして相変わらず、変なところで執着がない。
背負っている肉を見て物欲がないわけではなさそうだが、それを買うための金には一切執着を見せず、単純なくせに基準がわかりにくいと眉を寄せる。
「・・・おれに施しをしようってのか?」
「はぁ?言ってる意味が判んねぇ。おれはただ単に弁償しただけだ。ナミは三倍返しを請求するけど、お前は別にそこまでじゃねえだろ?」
だからそれで勘弁な、とあっけらかんと言った彼は、そのまま肉を背負って行ってしまった。
残った財布を片手にひっそりとため息を吐く。
倒れた男たちに、握られた財布。
どう考えても面倒ごとが葱を背負って近づいてる気がする。
呆れはしても、それでも腹は立たなくて。
理解できないがのを不満に思えるくらい理解したいと思う自分に、腹が立った。
■こっちを見て、あいつを見る時間の半分でいいから【サンジ】
その視線は、常に前を向いてる事が多い。
仲間を信用している。
口先だけでなくそうだから、戦いの最中であっても一度任せたと決めたら彼は振り返らない。
どうしても心配な時は、『後で絶対助けに来る』と言い捨て、そして振り返らずに言ってしまう。
その信頼はとても分厚く、だからこそ誇りに思う。
彼の視界に入るのは実は簡単で難しい。
ありったけの料理を持っていけばこちらを見る。
面白そうな冒険譚を話せば目を輝かせる。
けれどやはりそれは一瞬で、繋ぎとめておくことは出来ない。
唯一の例外は、当たり前の顔で彼に並ぶ緑頭。
ちらり、と横を見る視線に、僅かに口角を上げて応える姿。
他の誰でもなく、ルフィの隣に居るのは自分だけだと、傲慢なまでに信じきった姿は深い苛立ちをサンジに与える。
初めての仲間。信頼できる右腕。
誰も口に出さないが、ルフィの隣にあの男が並ぶのを当然と享受していて、認めたくないと抗う自分もそれを自然と思うからこそ、サンジの怒りは深くなる。
ルフィが他の誰かを認めたら、それはそれで腹が立つのに、この妬みは押さえることは出来ない。
だから。
「おーい、ルフィ。メシの準備手伝え!肉一切れオマケしてやるぞ」
「うひょー!サンジ、マジか!」
並んで海を眺めていた相棒をあっさりと捨てたルフィは、ゴムの力を使いサンジとの距離を一瞬で縮める。
こちらを睨み付ける凶悪な目つきを鼻で笑うと、ザマアミロと口先だけで伝えた。
■届かないかもしれないものに手を伸ばす方法【ロビン】
彼はロビンが知る限り誰よりも我侭で誰よりも自由で誰より愛すべき人だ。
敵にするにも味方にするにも一癖ある人物で、でも味方でいればこれ以上信頼できる人は居ない。
馬鹿だ単細胞だと言われるけれど物事の本質を見抜く力はしっかりと持っていて、それでいて器が人の何十倍も大きい。
ナミはルフィをざるの目が粗いと称していたが、それはロビンには短所以上に長所に見えた。
あばたもえくぼと言われればそれまでだろうが、ロビンにはとても好ましい。
真っ直ぐ、真っ直ぐ。どこまでも真っ直ぐ。
ただ前を見て前進を続ける彼が、とても愛しい。
想いを口にする日は来ないだろうけれど、それでもいいと笑えるくらい、ロビンはルフィを愛してる。
空に輝く眩しすぎる太陽に彼を重ねて手を伸ばせば。
「何してんだ、ロビン?」
「ふふふ、実験よ。太陽を手に入れることが出来るか試してみてるの」
「へぇ、面白そうだな!お前が本気で欲しいなら、いつか皆で手に入れよう!」
ししし、と首を竦めて笑う彼は、純粋な子供みたいだった。
太陽を手に入れるなど、無理だと子供でも判るのに、それを無視した愚かな男。
けれど彼が笑って言うなら。
「ええ、いつか。いつか太陽をこの手に」
届かないかもしれないなんて愚考を捨てて、届かせる術だけ考えればいい。
だって目の前の太陽は、手を差し伸べただけで握り返してくれる。
それが全てで、それだけが全てだ。
■会うとつらいのに、会わないと元気になれない【ゾロ】
「おい、ゾロ」
「何だよ」
「こりゃ、迷ったな」
「・・・・・・」
しししと笑いながら告げられ、ゾロはじっとりとため息を吐く。
冒険したい病を発病したルフィに無理やり引っつかまれて上陸した無人島で、かれこれもう数時間は歩いていた。
いつもゾロのおかげで迷うからと今日はルフィに主導権を渡したが、何のことはない。
やはり結果は道に迷って、もう月が中天に昇りそうだ。
「だから言っただろうが。南は下だ、つまりあの山の方角だってな」
「違うぞ!南は右だ!だからあの森の方面であってたはずだ」
絶対に自分が正しいと譲らない船長に、激しく舌打し顔を逸らす。
互いに夜食にしようと刈り取った獣がぶつかり合うが、全く気にならない。
本当に、つくづく心から面倒な男だ。
何かと言うとすぐに我侭を言うし、こっちのことはお構いなしで突き進むし、迷惑なんて考えない。
何かあれば尻拭いは回ってくるし、強引な船長を諌めるのは楽じゃない。
ちらり、と視線をやれば詰まらなそうな顔で膨れる彼が目に入り、深々とため息を吐く。
何でこの男がいいんだと幾度自問しても、こいつがいいんだからしょうがねぇだろうがと逆切れした答えしか出ない。
もう、本当にどうしようもない。
こんなに面倒な子供だが、ゾロの相棒は彼しか居ないのだから。
「おい、ルフィ。迷っちまったのは仕方ねぇ。おれが案内してやるから、こっち来い」
「嫌だ。ゾロについてったら益々迷う」
「んだと、コラ!」
「本当じゃねぇか!」
結局島の気候による湿った暑さや寄って来る蚊により忍耐力が知らぬ内に削られていた二人は、その場でガチンコバトルを勃発させる。
探しに来たナミにしこたま叱られ、もう暫くは絶対にこいつと二人で出かけねぇととゾロは心に決めた。
■嫌いじゃない、で十分。今は。【ハンコック】
好きかと問われれば鼻で嗤う用意はある。
下らなすぎる愚問であり、応えるに値しない質問だ。
だが、万が一応えてやるなら、胸を反らして宣言するだろう。
『愚か者が。好きではなく愛しておるのだ』、と。
世間は彼をイカれてると言う。
誰も成し遂げないような何もかもに、一直線に突き進む彼を頭がおかしいとそう言う。
確かにただの人から見たら彼の行動は常軌を逸しているだろう。
身内一人のために誰が監獄へ乗り込むだろうか。
死ぬ確率の方が高いのに、悩みもせずに進めるだろうか。
『仕方がなかった』と自分を騙すのではなく、『諦めるしかない』と自分に言い聞かすでもなく、第三の選択肢を実行する人間は、世界でどれほど居るのだろうか。
彼は実の兄の死刑を、新聞で読むまで知らなかった。
けれど知った瞬間から迷わなかった。
血の繋がりのない、けれど心から兄と慕う人を追い、海軍本部まで突っ走った。
世間はそれを気狂いと言うけれど、ハンコックはとても胸を打たれる。
彼は見返りを何一つ求めない。
命を賭けたのはただ兄に死んで欲しくないからで、兄に生きていて欲しかったからだ。
それだけのために世界を敵に回し、自分の不利になる何もかもを許容し、傷つく体も何もかも無視して突っ走った。
彼ほど格好いい男を、ハンコックは見たことがない。
彼以上の存在にこの先会えるはずもなく、一生をかけて追い続けると誓った。
「ルフィ。わらわはいい嫁になると思うぞ」
「そうか!でも結婚は嫌だ」
きっぱりと断られ、一瞬だけ気落ちする。
けれどまだ大丈夫。
幾度も繰り返されたやりとりだが、彼は一度もハンコック自身を拒絶していない。
つまり、嫌われていないのだ。否、むしろ好かれているに違いない。
彼が居るだけで鼓動が早くなる。
息が出来なくなるほどに胸が締め付けられて、そして世界が七色に輝く。
こんな人、世界中を探しても、二人として見つけれない。
「ルフィ、その、わらわはそなたをお慕いしてます」
「しししっ、ありがとな!おれもお前結構好きだぞ!」
あっけらかんと告げられた言葉に眩暈を感じ、体がふら付いた。
倒れそうになったところを抱きとめられ、益々意識が遠のく。
自分とは違う潮の混じった体臭に、心臓が早鐘を打った。
やはりこれは、結婚しかない。
決意も新に何十回目かの告白を、そっと口に上らせた。
--お題サイト:お題配布処-ふにふにさま-より--
■僕は君が好きだけど、君がそうじゃないなら【クロコダイル】
「相変わらず、イカレてんなぁ、麦わら」
くつくつと喉を震わせ戦い終わったばかりの男を横目で見れば、多勢に無勢であったにも関わらず傷一つ負わなかった彼は、無造作に首から提げていた麦藁帽子を手で直すと目を丸くしてクロコダイルを見た。
「何だ、鰐。居たのか」
「まぁな。俺がここでメシ食ってたらお前が目の前で騒ぎ始めたんだ。ディナーに砂が入った」
「そりゃ悪かったな。弁償するから許してくれ」
「・・・金、持ってんのか?」
「おう、だいじょーぶっ!おれの小遣いは肉に消えたが、ここにたくさん財布がある」
「・・・・・・追いはぎか」
「いや、イシャリョウって奴だ。ナミが言ってた」
「『慰謝料』を漢字で書けねぇ奴が口にするな」
「ししししっ、お前男の癖に細かいな」
うんざりと呟くと、肉を背負ったまま倒れていた男たちの胸元を漁ったルフィがなにやら投げて寄越した。
どうやら本当に財布を奪ったらしく、それほど重みはないがここの代金程度は払えそうな量のベリーはありそうだった。
ひょい、と片眉を上げ、どういうつもりだと呟くと、彼は益々笑みを深める。
相変わらず取り留めない反応に、掴み所がない奴だと疲れを覚える。
そして相変わらず、変なところで執着がない。
背負っている肉を見て物欲がないわけではなさそうだが、それを買うための金には一切執着を見せず、単純なくせに基準がわかりにくいと眉を寄せる。
「・・・おれに施しをしようってのか?」
「はぁ?言ってる意味が判んねぇ。おれはただ単に弁償しただけだ。ナミは三倍返しを請求するけど、お前は別にそこまでじゃねえだろ?」
だからそれで勘弁な、とあっけらかんと言った彼は、そのまま肉を背負って行ってしまった。
残った財布を片手にひっそりとため息を吐く。
倒れた男たちに、握られた財布。
どう考えても面倒ごとが葱を背負って近づいてる気がする。
呆れはしても、それでも腹は立たなくて。
理解できないがのを不満に思えるくらい理解したいと思う自分に、腹が立った。
■こっちを見て、あいつを見る時間の半分でいいから【サンジ】
その視線は、常に前を向いてる事が多い。
仲間を信用している。
口先だけでなくそうだから、戦いの最中であっても一度任せたと決めたら彼は振り返らない。
どうしても心配な時は、『後で絶対助けに来る』と言い捨て、そして振り返らずに言ってしまう。
その信頼はとても分厚く、だからこそ誇りに思う。
彼の視界に入るのは実は簡単で難しい。
ありったけの料理を持っていけばこちらを見る。
面白そうな冒険譚を話せば目を輝かせる。
けれどやはりそれは一瞬で、繋ぎとめておくことは出来ない。
唯一の例外は、当たり前の顔で彼に並ぶ緑頭。
ちらり、と横を見る視線に、僅かに口角を上げて応える姿。
他の誰でもなく、ルフィの隣に居るのは自分だけだと、傲慢なまでに信じきった姿は深い苛立ちをサンジに与える。
初めての仲間。信頼できる右腕。
誰も口に出さないが、ルフィの隣にあの男が並ぶのを当然と享受していて、認めたくないと抗う自分もそれを自然と思うからこそ、サンジの怒りは深くなる。
ルフィが他の誰かを認めたら、それはそれで腹が立つのに、この妬みは押さえることは出来ない。
だから。
「おーい、ルフィ。メシの準備手伝え!肉一切れオマケしてやるぞ」
「うひょー!サンジ、マジか!」
並んで海を眺めていた相棒をあっさりと捨てたルフィは、ゴムの力を使いサンジとの距離を一瞬で縮める。
こちらを睨み付ける凶悪な目つきを鼻で笑うと、ザマアミロと口先だけで伝えた。
■届かないかもしれないものに手を伸ばす方法【ロビン】
彼はロビンが知る限り誰よりも我侭で誰よりも自由で誰より愛すべき人だ。
敵にするにも味方にするにも一癖ある人物で、でも味方でいればこれ以上信頼できる人は居ない。
馬鹿だ単細胞だと言われるけれど物事の本質を見抜く力はしっかりと持っていて、それでいて器が人の何十倍も大きい。
ナミはルフィをざるの目が粗いと称していたが、それはロビンには短所以上に長所に見えた。
あばたもえくぼと言われればそれまでだろうが、ロビンにはとても好ましい。
真っ直ぐ、真っ直ぐ。どこまでも真っ直ぐ。
ただ前を見て前進を続ける彼が、とても愛しい。
想いを口にする日は来ないだろうけれど、それでもいいと笑えるくらい、ロビンはルフィを愛してる。
空に輝く眩しすぎる太陽に彼を重ねて手を伸ばせば。
「何してんだ、ロビン?」
「ふふふ、実験よ。太陽を手に入れることが出来るか試してみてるの」
「へぇ、面白そうだな!お前が本気で欲しいなら、いつか皆で手に入れよう!」
ししし、と首を竦めて笑う彼は、純粋な子供みたいだった。
太陽を手に入れるなど、無理だと子供でも判るのに、それを無視した愚かな男。
けれど彼が笑って言うなら。
「ええ、いつか。いつか太陽をこの手に」
届かないかもしれないなんて愚考を捨てて、届かせる術だけ考えればいい。
だって目の前の太陽は、手を差し伸べただけで握り返してくれる。
それが全てで、それだけが全てだ。
■会うとつらいのに、会わないと元気になれない【ゾロ】
「おい、ゾロ」
「何だよ」
「こりゃ、迷ったな」
「・・・・・・」
しししと笑いながら告げられ、ゾロはじっとりとため息を吐く。
冒険したい病を発病したルフィに無理やり引っつかまれて上陸した無人島で、かれこれもう数時間は歩いていた。
いつもゾロのおかげで迷うからと今日はルフィに主導権を渡したが、何のことはない。
やはり結果は道に迷って、もう月が中天に昇りそうだ。
「だから言っただろうが。南は下だ、つまりあの山の方角だってな」
「違うぞ!南は右だ!だからあの森の方面であってたはずだ」
絶対に自分が正しいと譲らない船長に、激しく舌打し顔を逸らす。
互いに夜食にしようと刈り取った獣がぶつかり合うが、全く気にならない。
本当に、つくづく心から面倒な男だ。
何かと言うとすぐに我侭を言うし、こっちのことはお構いなしで突き進むし、迷惑なんて考えない。
何かあれば尻拭いは回ってくるし、強引な船長を諌めるのは楽じゃない。
ちらり、と視線をやれば詰まらなそうな顔で膨れる彼が目に入り、深々とため息を吐く。
何でこの男がいいんだと幾度自問しても、こいつがいいんだからしょうがねぇだろうがと逆切れした答えしか出ない。
もう、本当にどうしようもない。
こんなに面倒な子供だが、ゾロの相棒は彼しか居ないのだから。
「おい、ルフィ。迷っちまったのは仕方ねぇ。おれが案内してやるから、こっち来い」
「嫌だ。ゾロについてったら益々迷う」
「んだと、コラ!」
「本当じゃねぇか!」
結局島の気候による湿った暑さや寄って来る蚊により忍耐力が知らぬ内に削られていた二人は、その場でガチンコバトルを勃発させる。
探しに来たナミにしこたま叱られ、もう暫くは絶対にこいつと二人で出かけねぇととゾロは心に決めた。
■嫌いじゃない、で十分。今は。【ハンコック】
好きかと問われれば鼻で嗤う用意はある。
下らなすぎる愚問であり、応えるに値しない質問だ。
だが、万が一応えてやるなら、胸を反らして宣言するだろう。
『愚か者が。好きではなく愛しておるのだ』、と。
世間は彼をイカれてると言う。
誰も成し遂げないような何もかもに、一直線に突き進む彼を頭がおかしいとそう言う。
確かにただの人から見たら彼の行動は常軌を逸しているだろう。
身内一人のために誰が監獄へ乗り込むだろうか。
死ぬ確率の方が高いのに、悩みもせずに進めるだろうか。
『仕方がなかった』と自分を騙すのではなく、『諦めるしかない』と自分に言い聞かすでもなく、第三の選択肢を実行する人間は、世界でどれほど居るのだろうか。
彼は実の兄の死刑を、新聞で読むまで知らなかった。
けれど知った瞬間から迷わなかった。
血の繋がりのない、けれど心から兄と慕う人を追い、海軍本部まで突っ走った。
世間はそれを気狂いと言うけれど、ハンコックはとても胸を打たれる。
彼は見返りを何一つ求めない。
命を賭けたのはただ兄に死んで欲しくないからで、兄に生きていて欲しかったからだ。
それだけのために世界を敵に回し、自分の不利になる何もかもを許容し、傷つく体も何もかも無視して突っ走った。
彼ほど格好いい男を、ハンコックは見たことがない。
彼以上の存在にこの先会えるはずもなく、一生をかけて追い続けると誓った。
「ルフィ。わらわはいい嫁になると思うぞ」
「そうか!でも結婚は嫌だ」
きっぱりと断られ、一瞬だけ気落ちする。
けれどまだ大丈夫。
幾度も繰り返されたやりとりだが、彼は一度もハンコック自身を拒絶していない。
つまり、嫌われていないのだ。否、むしろ好かれているに違いない。
彼が居るだけで鼓動が早くなる。
息が出来なくなるほどに胸が締め付けられて、そして世界が七色に輝く。
こんな人、世界中を探しても、二人として見つけれない。
「ルフィ、その、わらわはそなたをお慕いしてます」
「しししっ、ありがとな!おれもお前結構好きだぞ!」
あっけらかんと告げられた言葉に眩暈を感じ、体がふら付いた。
倒れそうになったところを抱きとめられ、益々意識が遠のく。
自分とは違う潮の混じった体臭に、心臓が早鐘を打った。
やはりこれは、結婚しかない。
決意も新に何十回目かの告白を、そっと口に上らせた。
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