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例えば、世界中の誰もが自分を敵と認識したとする。
例えば、世界中の憎悪が自分ひとりに向けられたとする。
例えば、世界中の誰もが凶器を手に取り襲いかかろうとしたとする。
もし、そうなった場合、誰か一人でも信じることは出来るだろうか。
真っ暗な部屋で、不意にぱちりと目覚めたエースは、嫌な寝汗に濡れる体に一息吐いた。
何か夢を見ていた気がするが思い出せない。
だが嫌な感じに残る違和感があり、夢を覚えていないのは良かったのだろう。
すっかりと冴えてしまった頭に、ベッドに腕をつき上半身を起こす。
枕元にある目覚まし時計を見たら、時間は深夜三時。
カーテン越しに漏れる光はまだ夜を知らせ、妙な静けさが部屋を包んでいる。
課題と予習復習を済ませ、布団に入ったのが午前一時。
寝つきも考慮すると睡眠時間は二時間にも満たない。
しかしここまで眠気が飛んでしまえば、もう眠れないのは幼い頃からの経験で判っていた。
仕方なしにベッドから出て、寝汗を流すために風呂に向かう。
起きているにしてもべとべとした状態で過ごすのは何となく憚られ、手に下着とスウェットを持つとシャワーを浴びるために風呂場のドアを開けた。
頭から冷水よりも僅かに温かいだけの微温湯を被ると、少しだけ気分がすっきりとした。
夏を少しばかり過ぎた季節は、朝はもう割りと冷える。
体感温度として今は適当だが、風呂から上がれば髪が濡れたままだと寒いかもしれない。
それでも温かい湯を浴びる気にはならず、中途半端な温度のそれを心行くまで浴びた。
想像通りひと心地ついた後風呂場から出れば、外気に晒された肌が粟立った。
気分はすっきりしたが、早いとこ体を拭かねば風邪を引きそうだ。
電気もつけずに体を拭いて、頭を拭いながらリビングに向かえば、何故か併設するキッチンから明かりが漏れていた。
その原因は自分でないとしたらもう一人しか思いつかず、体から力が抜けた。
そこで初めて自分の気が張っていたことに気付き、自分自身に苦笑する。
「ルフィ」
「おう、エース!おはよっ!」
しししし、といつもどおり真夏の太陽を思い出させる笑顔に、朝からテンションが高ぇなと呟けば、おう、元気だぞと何処か空回りな会話が成り立つ。
この血の繋がらない妹は、血縁関係の居ないエースにとって唯一の家族で、気が許せる存在だった。
幼いエースに向かい、ただ一人ルフィだけ。
彼女に依存している自分を理解しているが、変わる気も変える気もないのが現状で、少しでも長く共にあるのがエースの夢だ。
その為の努力を惜しまず、だからこそ対外的に優等生の仮面を被る。
「エース、ほらこれ飲め」
「・・・何だよ、これ」
「ホットミルク。蜂蜜入りで美味いぞー」
「お前、こればっかじゃねぇか」
ライオンが描かれたマグカップを手渡され、ほんのりと温かいそれに笑う。
子供の頃からエースが真夜中に起きると、何故かルフィはこれを作る。
昔は台所を盛大に汚して作っていたホットミルクは、洗われない鍋以外の被害はなくなった。
その味は素朴でホッとするもので、何も言わないルフィの優しさが身に染みた。
もう子供じゃないと言うのに、眠れない夜にしか作らないルフィのホットミルクは、相変わらずエースの好物だ。
一口口に含めば、ほんのりとした甘さが口に広がる。
睡眠剤よりも即効で、安定剤よりも効き目がある、ルフィだけが作れる魔法の薬。
ホットミルクを飲みきり、リビングのソファに横になったエースに、ルフィが笑ったのが見えた。
だがそれはすぐに朧になる意識で薄れていく。
覚えているのは、頭を撫でる優しい感触。
宝物に触れるように、心を解す掌の温かさはエースの気持ちを柔らかくする。
ルフィの隣こそが、世界で唯一安らげる場所だった。
例えば、世界中の誰もが自分を敵と認識したとする。
例えば、世界中の憎悪が自分ひとりに向けられたとする。
例えば、世界中の誰もが凶器を手に取り襲いかかろうとしたとする。
それでも絶対に味方でいてくれるだろうただ一人が居れば、心は折れないとエースは知っている。
例えば、世界中の憎悪が自分ひとりに向けられたとする。
例えば、世界中の誰もが凶器を手に取り襲いかかろうとしたとする。
もし、そうなった場合、誰か一人でも信じることは出来るだろうか。
真っ暗な部屋で、不意にぱちりと目覚めたエースは、嫌な寝汗に濡れる体に一息吐いた。
何か夢を見ていた気がするが思い出せない。
だが嫌な感じに残る違和感があり、夢を覚えていないのは良かったのだろう。
すっかりと冴えてしまった頭に、ベッドに腕をつき上半身を起こす。
枕元にある目覚まし時計を見たら、時間は深夜三時。
カーテン越しに漏れる光はまだ夜を知らせ、妙な静けさが部屋を包んでいる。
課題と予習復習を済ませ、布団に入ったのが午前一時。
寝つきも考慮すると睡眠時間は二時間にも満たない。
しかしここまで眠気が飛んでしまえば、もう眠れないのは幼い頃からの経験で判っていた。
仕方なしにベッドから出て、寝汗を流すために風呂に向かう。
起きているにしてもべとべとした状態で過ごすのは何となく憚られ、手に下着とスウェットを持つとシャワーを浴びるために風呂場のドアを開けた。
頭から冷水よりも僅かに温かいだけの微温湯を被ると、少しだけ気分がすっきりとした。
夏を少しばかり過ぎた季節は、朝はもう割りと冷える。
体感温度として今は適当だが、風呂から上がれば髪が濡れたままだと寒いかもしれない。
それでも温かい湯を浴びる気にはならず、中途半端な温度のそれを心行くまで浴びた。
想像通りひと心地ついた後風呂場から出れば、外気に晒された肌が粟立った。
気分はすっきりしたが、早いとこ体を拭かねば風邪を引きそうだ。
電気もつけずに体を拭いて、頭を拭いながらリビングに向かえば、何故か併設するキッチンから明かりが漏れていた。
その原因は自分でないとしたらもう一人しか思いつかず、体から力が抜けた。
そこで初めて自分の気が張っていたことに気付き、自分自身に苦笑する。
「ルフィ」
「おう、エース!おはよっ!」
しししし、といつもどおり真夏の太陽を思い出させる笑顔に、朝からテンションが高ぇなと呟けば、おう、元気だぞと何処か空回りな会話が成り立つ。
この血の繋がらない妹は、血縁関係の居ないエースにとって唯一の家族で、気が許せる存在だった。
幼いエースに向かい、ただ一人ルフィだけ。
彼女に依存している自分を理解しているが、変わる気も変える気もないのが現状で、少しでも長く共にあるのがエースの夢だ。
その為の努力を惜しまず、だからこそ対外的に優等生の仮面を被る。
「エース、ほらこれ飲め」
「・・・何だよ、これ」
「ホットミルク。蜂蜜入りで美味いぞー」
「お前、こればっかじゃねぇか」
ライオンが描かれたマグカップを手渡され、ほんのりと温かいそれに笑う。
子供の頃からエースが真夜中に起きると、何故かルフィはこれを作る。
昔は台所を盛大に汚して作っていたホットミルクは、洗われない鍋以外の被害はなくなった。
その味は素朴でホッとするもので、何も言わないルフィの優しさが身に染みた。
もう子供じゃないと言うのに、眠れない夜にしか作らないルフィのホットミルクは、相変わらずエースの好物だ。
一口口に含めば、ほんのりとした甘さが口に広がる。
睡眠剤よりも即効で、安定剤よりも効き目がある、ルフィだけが作れる魔法の薬。
ホットミルクを飲みきり、リビングのソファに横になったエースに、ルフィが笑ったのが見えた。
だがそれはすぐに朧になる意識で薄れていく。
覚えているのは、頭を撫でる優しい感触。
宝物に触れるように、心を解す掌の温かさはエースの気持ちを柔らかくする。
ルフィの隣こそが、世界で唯一安らげる場所だった。
例えば、世界中の誰もが自分を敵と認識したとする。
例えば、世界中の憎悪が自分ひとりに向けられたとする。
例えば、世界中の誰もが凶器を手に取り襲いかかろうとしたとする。
それでも絶対に味方でいてくれるだろうただ一人が居れば、心は折れないとエースは知っている。
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(03/25)
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