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歌番組のゲストとして登場した彼に、ルキアは紫紺色の瞳を僅かに見開く。
ルキアをセンターにし両隣は恋次と弓親で固めていたが、司会者の案内により恋次が退いた。
テレビに出ている最中なのでその表情は僅かに引きつるだけであったが、こめかみに青筋が浮いている。
彼の背後からおどろおどろしい空気が垂れ流されているのに対し、白哉は涼やかでクールな表情を崩さない。
恋次の豹変に気づいた一角が慌てて他の面々の死角から彼を窘めるのが見えたが、あまり効果はなさそうだった。
今回のルキアたちの仕事はバンドとしての正統派の仕事であるが、同時に今話題のドラマの二期の番宣でもあった。
尸魂界篇と銘打たれたそれは、現世のものと一風雰囲気を変えている。
今回のメインは『ルキア』の過去が主軸になり、その彼女の義兄を演じるからこそ『白哉』は呼ばれたのだろう。
彼の名声はモデルとしても名高く、話題性もあるから。
そして理由はもう一つあるだろう。
白哉の登場に俄然張り切る司会者は、マイクを彼に向ける。
「今回のゲスト、『白哉』さんもドラマに出演されていますよね。先週の初出演の際は視聴率が凄かったと伺いましたが」
「ありがたい限りですね。まだ始まったばかりですし、この視聴率を維持出来れば私も『白哉』も喜ばしく思います」
「白哉さんは普段はモデルの仕事と茶道の家元と二束のわらじを履いている状態ですが、普段はどのようにお過ごしですか?」
「普段はモデルの仕事がない限りは家で茶道を嗜んでおります。今はそれにドラマの仕事が入っている状態ですね」
「今までテレビに出演されることはほとんどなく、雑誌での活躍がメインと伺いました。テレビ出演そのものを断っているという噂もありましたがどうなんですか?」
「ええ、そうですね。私は幼馴染たちと違い、それほど社交的とは言えませんので」
「『幼馴染』?」
「はい」
淡々とした様子で言葉を躱す白哉をぼうっと見ていたが、その発言を耳にし目を見開く。
視線だけで恋次を見れば、同じように驚愕の表情を表している。
慌ててカメラの後ろに居るはずのギンを見れば、ひょいと肩を竦めて見せた。
「ドラマで幼馴染の役を演じる『朽木ルキア』と『阿散井恋次』。彼らが兄妹であるのはご存知の方も多いと思います。ですが、私が彼らの『幼馴染』であるのは意外と知られていない事実みたいですね」
白哉の言葉に水を打ったように周りは静かになり、一拍置いて奇声とも歓声ともつかぬ声がスタジオを満たす。
それは純粋な驚きだったろう。
ルキアも白哉も苗字は公開しているが、血縁関係であることを知る者は極僅かだ。
確か、白哉側の事務所が公開を留めていると聞いたのだが。
ギンの傍に居る白哉のマネージャーを見れば、蒼白を通り過ぎ土気色の顔色をしていた。
哀れな様子に憐憫が沸くが、もう仕方ないと諦めて欲しい。
「あんた、どういうつもりだ」
小声で恋次が唸るように問うが、白哉は何食わぬ顔で言葉を続けた。
「気にすることはないだろう、『義兄さん』?」
にんまりと。
白哉らしからぬ挑発的な笑みに、ルキアは恋次の決して長くない堪忍袋の緒が切れる音をしかと聞いた。
「だから、俺はテメェの『義兄』になった記憶はねぇよ!!」
唾を飛び散らせながら怒鳴りつける恋次に、白哉の機嫌が益々上がったのを感じ、ルキアは仕方ないと一つため息を吐く。
この年上の幼馴染が、実は恋次を結構気に入っているのを本人は理解していない。
白哉の立場上彼に対等に話しかける人間は一握りしかおらず、またルキアのことがあるとはいえ怒鳴りつけるなど彼の両親ですらしない諸行をあっさりと恋次は行う。
確かにルキアを構いたいのも白哉の本心だろうが、恋次でストレス発散している節があるのもルキアはきっちり気づいていた。
「───白哉様。お戯れもほどほどになさってください」
「いいだろう、ルキア。俺に正面から挑むのは、最早あやつくらいなのだから」
ふわり、と。
マイクの集音出来る音量よりも僅かに小さな声で、白哉は囁く。
その言葉の意味を誰より理解できてしまうから、ルキアも苦笑するに留めた。
白哉は恋次が思うより恋次を気に入っている。
その表現はかなり歪んではいるけれど。
「聞いてんのか、コルァ」
不良も真っ青な巻き舌で応じた恋次に、ルキアの肩を抱いた白哉は輝かしい笑顔で返事をした。
「ああ、すまない。今は私が『義兄』だったな」
「人の『義妹』に手ぇ出すな!誰がお前を『義兄』と認めるか!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る恋次を見て、きっとブラウン管の前に座っている人間は気づいたことだろう。
彼が、途方もないシスコンであることに。
ははははと空笑いをしたルキアの肩を、弓親がぽんと叩く。
「大丈夫。僕が後で締めてやるから」
輝かしい笑顔を浮かべた彼の米神には、恋次も真っ青の青筋が浮いていた。
ルキアをセンターにし両隣は恋次と弓親で固めていたが、司会者の案内により恋次が退いた。
テレビに出ている最中なのでその表情は僅かに引きつるだけであったが、こめかみに青筋が浮いている。
彼の背後からおどろおどろしい空気が垂れ流されているのに対し、白哉は涼やかでクールな表情を崩さない。
恋次の豹変に気づいた一角が慌てて他の面々の死角から彼を窘めるのが見えたが、あまり効果はなさそうだった。
今回のルキアたちの仕事はバンドとしての正統派の仕事であるが、同時に今話題のドラマの二期の番宣でもあった。
尸魂界篇と銘打たれたそれは、現世のものと一風雰囲気を変えている。
今回のメインは『ルキア』の過去が主軸になり、その彼女の義兄を演じるからこそ『白哉』は呼ばれたのだろう。
彼の名声はモデルとしても名高く、話題性もあるから。
そして理由はもう一つあるだろう。
白哉の登場に俄然張り切る司会者は、マイクを彼に向ける。
「今回のゲスト、『白哉』さんもドラマに出演されていますよね。先週の初出演の際は視聴率が凄かったと伺いましたが」
「ありがたい限りですね。まだ始まったばかりですし、この視聴率を維持出来れば私も『白哉』も喜ばしく思います」
「白哉さんは普段はモデルの仕事と茶道の家元と二束のわらじを履いている状態ですが、普段はどのようにお過ごしですか?」
「普段はモデルの仕事がない限りは家で茶道を嗜んでおります。今はそれにドラマの仕事が入っている状態ですね」
「今までテレビに出演されることはほとんどなく、雑誌での活躍がメインと伺いました。テレビ出演そのものを断っているという噂もありましたがどうなんですか?」
「ええ、そうですね。私は幼馴染たちと違い、それほど社交的とは言えませんので」
「『幼馴染』?」
「はい」
淡々とした様子で言葉を躱す白哉をぼうっと見ていたが、その発言を耳にし目を見開く。
視線だけで恋次を見れば、同じように驚愕の表情を表している。
慌ててカメラの後ろに居るはずのギンを見れば、ひょいと肩を竦めて見せた。
「ドラマで幼馴染の役を演じる『朽木ルキア』と『阿散井恋次』。彼らが兄妹であるのはご存知の方も多いと思います。ですが、私が彼らの『幼馴染』であるのは意外と知られていない事実みたいですね」
白哉の言葉に水を打ったように周りは静かになり、一拍置いて奇声とも歓声ともつかぬ声がスタジオを満たす。
それは純粋な驚きだったろう。
ルキアも白哉も苗字は公開しているが、血縁関係であることを知る者は極僅かだ。
確か、白哉側の事務所が公開を留めていると聞いたのだが。
ギンの傍に居る白哉のマネージャーを見れば、蒼白を通り過ぎ土気色の顔色をしていた。
哀れな様子に憐憫が沸くが、もう仕方ないと諦めて欲しい。
「あんた、どういうつもりだ」
小声で恋次が唸るように問うが、白哉は何食わぬ顔で言葉を続けた。
「気にすることはないだろう、『義兄さん』?」
にんまりと。
白哉らしからぬ挑発的な笑みに、ルキアは恋次の決して長くない堪忍袋の緒が切れる音をしかと聞いた。
「だから、俺はテメェの『義兄』になった記憶はねぇよ!!」
唾を飛び散らせながら怒鳴りつける恋次に、白哉の機嫌が益々上がったのを感じ、ルキアは仕方ないと一つため息を吐く。
この年上の幼馴染が、実は恋次を結構気に入っているのを本人は理解していない。
白哉の立場上彼に対等に話しかける人間は一握りしかおらず、またルキアのことがあるとはいえ怒鳴りつけるなど彼の両親ですらしない諸行をあっさりと恋次は行う。
確かにルキアを構いたいのも白哉の本心だろうが、恋次でストレス発散している節があるのもルキアはきっちり気づいていた。
「───白哉様。お戯れもほどほどになさってください」
「いいだろう、ルキア。俺に正面から挑むのは、最早あやつくらいなのだから」
ふわり、と。
マイクの集音出来る音量よりも僅かに小さな声で、白哉は囁く。
その言葉の意味を誰より理解できてしまうから、ルキアも苦笑するに留めた。
白哉は恋次が思うより恋次を気に入っている。
その表現はかなり歪んではいるけれど。
「聞いてんのか、コルァ」
不良も真っ青な巻き舌で応じた恋次に、ルキアの肩を抱いた白哉は輝かしい笑顔で返事をした。
「ああ、すまない。今は私が『義兄』だったな」
「人の『義妹』に手ぇ出すな!誰がお前を『義兄』と認めるか!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る恋次を見て、きっとブラウン管の前に座っている人間は気づいたことだろう。
彼が、途方もないシスコンであることに。
ははははと空笑いをしたルキアの肩を、弓親がぽんと叩く。
「大丈夫。僕が後で締めてやるから」
輝かしい笑顔を浮かべた彼の米神には、恋次も真っ青の青筋が浮いていた。
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