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「あなた、バンビが好きね」
全くの初対面に近しい少女の唐突な発言に、廊下の真ん中に突っ立った琉夏はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
授業の間に教室移動をしている生徒も少なくなく、目の前の少女も両手に抱える生物の教科書から判断するにその内の一人だろう。
ちなみに琉夏は真面目な彼女と違い、今から自主休講の予定だ。
次の時間は苦手な現国。先生には悪いがどうせ教室にいても寝るだけなので、もっと居心地のいい場所へと移動中だった。
その途中、擦れ違うだけのものと思い込んでいた少女の瞳が琉夏を映し、そして冒頭の発言へと到ったのだが。
「・・・誰?」
「バンビの友達よ」
「だから、そのバンビって誰?」
「・・・呆れた。あなた思った以上に他人に興味がないのね」
「そう見える?」
「ええ。バンビと幼馴染って言うなら、私の名前くらい聞いたことがあるはずよ」
「幼馴染」
その一言に琉夏の頭が猛回転する。
間もなく回答が見つかり、にへらと表情を崩した。
「判った。冬姫の『ミーちゃん』だ」
「ちゃん付けで呼ばないで」
「じゃあ、ミーさん?」
「あなた私を馬鹿にしてるの?」
可愛い顔を渋く歪めた少女にこてりと首を傾げて見せた。
琉夏としては一切馬鹿にしたつもりはなく、普段冬姫が呼んでいる名前を挙げただけなのだが、どうやら全くお気に召さなかったらしい。
苛立ちを篭めた眼差しを向けていた少女は、だがやおらため息を一つ吐くと表情を戻す。
「バンビが言った通りね」
「冬姫?俺のこと話してるの?」
「ええ。───聞きたい?」
「うん」
小悪魔的なアルカイックスマイル。
初めて少女の顔をまじまじと見たが、予想以上に整った顔立ちだった。
身長は冬姫よりも頭半分ほど低く、小さく華奢な体つき。
同じ痩身でも運動が好きな冬姫はしなやかな体躯をしてメリハリが利いている。
些か失礼な比較をしているが、幸いにして目の前の少女は読心術までは持ち合わせていなかったらしい。
口の端を僅かに持ち上げて、唇に指を当てる。
「あのね」
「うんうん」
「チャイムが鳴るからまたいつかね」
肩透かしに目を丸くする琉夏を見て、満足した猫みたいに少女は笑った。
近くにある教室の窓から中を覗けば、確かにもうあと数分ほどでチャイムは鳴るかもしれない時間帯だったが、目の前に理科室があるのにそれは些か酷いのではないか。
むっと唇を尖らせると、今まさにドアを潜ろうとしていた少女が振り返った。
「寂しがりで構われたがりな人見知り。───バンビの言葉は当たってるわ」
「え?」
「カレンは私と違って手強いわよ。バンビに持つ感情が違うもの。───あなたのお兄さん、落ち込んでないといいわね」
くすくすと可愛らしく笑った少女は、今度こそ躊躇いなく教室内へ行ってしまった。
それを見送りながら、鳴り響くチャイムを聞くとはなしに耳にする。
「何だったんだ、一体」
「お前こそ、何なんだ。今、授業中だぞ」
疑問符を一杯に飛ばした琉夏の問いかけに応えたのは、背後からの不機嫌な声。
音がしそうなぎこちない動きで振り返れば、そこには良く見知った顔があった。
「大迫ちゃん?」
「よぉ、桜井。ここで何してるか、俺に教えてもらえるか」
笑顔で器用に青筋を浮かべた相手に、琉夏は引きつった笑顔を浮かべる。
おかげで何を考えていたかをすっかりと忘れてしまい、微妙な違和感と放課後の補習だけが残り、琉夏はがくりと肩を落とした。
全くの初対面に近しい少女の唐突な発言に、廊下の真ん中に突っ立った琉夏はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
授業の間に教室移動をしている生徒も少なくなく、目の前の少女も両手に抱える生物の教科書から判断するにその内の一人だろう。
ちなみに琉夏は真面目な彼女と違い、今から自主休講の予定だ。
次の時間は苦手な現国。先生には悪いがどうせ教室にいても寝るだけなので、もっと居心地のいい場所へと移動中だった。
その途中、擦れ違うだけのものと思い込んでいた少女の瞳が琉夏を映し、そして冒頭の発言へと到ったのだが。
「・・・誰?」
「バンビの友達よ」
「だから、そのバンビって誰?」
「・・・呆れた。あなた思った以上に他人に興味がないのね」
「そう見える?」
「ええ。バンビと幼馴染って言うなら、私の名前くらい聞いたことがあるはずよ」
「幼馴染」
その一言に琉夏の頭が猛回転する。
間もなく回答が見つかり、にへらと表情を崩した。
「判った。冬姫の『ミーちゃん』だ」
「ちゃん付けで呼ばないで」
「じゃあ、ミーさん?」
「あなた私を馬鹿にしてるの?」
可愛い顔を渋く歪めた少女にこてりと首を傾げて見せた。
琉夏としては一切馬鹿にしたつもりはなく、普段冬姫が呼んでいる名前を挙げただけなのだが、どうやら全くお気に召さなかったらしい。
苛立ちを篭めた眼差しを向けていた少女は、だがやおらため息を一つ吐くと表情を戻す。
「バンビが言った通りね」
「冬姫?俺のこと話してるの?」
「ええ。───聞きたい?」
「うん」
小悪魔的なアルカイックスマイル。
初めて少女の顔をまじまじと見たが、予想以上に整った顔立ちだった。
身長は冬姫よりも頭半分ほど低く、小さく華奢な体つき。
同じ痩身でも運動が好きな冬姫はしなやかな体躯をしてメリハリが利いている。
些か失礼な比較をしているが、幸いにして目の前の少女は読心術までは持ち合わせていなかったらしい。
口の端を僅かに持ち上げて、唇に指を当てる。
「あのね」
「うんうん」
「チャイムが鳴るからまたいつかね」
肩透かしに目を丸くする琉夏を見て、満足した猫みたいに少女は笑った。
近くにある教室の窓から中を覗けば、確かにもうあと数分ほどでチャイムは鳴るかもしれない時間帯だったが、目の前に理科室があるのにそれは些か酷いのではないか。
むっと唇を尖らせると、今まさにドアを潜ろうとしていた少女が振り返った。
「寂しがりで構われたがりな人見知り。───バンビの言葉は当たってるわ」
「え?」
「カレンは私と違って手強いわよ。バンビに持つ感情が違うもの。───あなたのお兄さん、落ち込んでないといいわね」
くすくすと可愛らしく笑った少女は、今度こそ躊躇いなく教室内へ行ってしまった。
それを見送りながら、鳴り響くチャイムを聞くとはなしに耳にする。
「何だったんだ、一体」
「お前こそ、何なんだ。今、授業中だぞ」
疑問符を一杯に飛ばした琉夏の問いかけに応えたのは、背後からの不機嫌な声。
音がしそうなぎこちない動きで振り返れば、そこには良く見知った顔があった。
「大迫ちゃん?」
「よぉ、桜井。ここで何してるか、俺に教えてもらえるか」
笑顔で器用に青筋を浮かべた相手に、琉夏は引きつった笑顔を浮かべる。
おかげで何を考えていたかをすっかりと忘れてしまい、微妙な違和感と放課後の補習だけが残り、琉夏はがくりと肩を落とした。
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「・・・かなでちゃんにてぇださんといて」
むすりと不機嫌に頬を膨らまし、不満を訴える教え子に彼は情けなく眉を下げた。
目の前にはどう見ても年下の高校生くらいにしか見えない可愛らしい少女と、その彼女のスカートにへばりつき後ろから睨みつけてくるクラスの中でも優秀な子供。
たどたどしい口調ながらも明確に意思の伝わる言葉に、彼はどうすればいいかと目の前の少女に助けを求める。
すると春の日差しのように穏やかな笑みを浮かべたその少女は、スカートを握る子供の手をきゅっと上から包み込んだ。
「駄目よ、先生にそんなこと言ったら。いつもお世話になってるでしょう?」
「でも、せんせいかなでちゃんにみほれとった。かなでちゃん、おれのやのに」
子供の癖によく難しい言葉を知っているなと思いつつ、彼は頭をガシガシとかく。
実際見惚れていたのは本当だ。
今日少しだけ迎えが遅れるから直接幼稚園に迎えに来ると告げられた子供の手を引き、バスを見送ったのはつい数十分前。
普段は電話でしか遣り取りしない保護者と対面するのは僅かな緊張感を得たけれど、現れたのは随分と可愛らしい女の子で、てっきり両親のどちらかが来ると思っていた彼はぽかんと口を開けて可愛らしい彼女をじっと見詰めた。
幼稚園に勤めて数年のひよっこ教師は、愛らしい少女にすっかりと魅了されてしまった。
彼女居ない暦=幼稚園づとめ暦というのも不味かったかもしれない。
だが園児がそれと悟れるほど判りやすい顔をしていたのかと思うと、赤面をとめる方法が見つからない。
かかかっとトマトのように顔を赤らめた彼は、保護者の中でも評判の良い爽やかスマイルを浮かべた。
「えと、保護者の方ですか?」
「はい。うちの子がいつもお世話になっています」
うちの子との表現に一瞬首を傾げるも、きっと年の離れた兄弟だろうと納得する。
母親と判断するには彼女は余りにも若く、そして無防備だった。
庇護欲を掻き立てられる華奢な体つきに色白な肌。雛みたいなふわふわの髪に、大きな琥珀色の瞳。
浮かべる表情はあくまで柔らかでおっとりとしている。
はっきり言うと好みのストレートど真ん中で、是非お近づきになりたいと鼻息が荒くなる。
だが足を踏み出そうとした瞬間。
「いた!!?」
「・・・・・・」
「?どうかされました?」
「い、いえ」
爪先を鈍い衝撃が襲い、涙目になりながらも弁解する。
ちらりと視線を下げれば、不機嫌な顔をした教え子が靴のかかとで思い切り足を踏んづけている最中だった。
怒りたい。けれどこの少女の前では怒れない。
複雑なジレンマに頭を悩ます。
いっそ目の前の少女が気づいてくれればいいのだが、すこしばかり鈍いのかほえほえした笑顔を浮かべるだけだ。
それすら可愛いなんて卑怯だと思いながらも、彼はじっと耐え忍ぶ。
だが彼の我慢は実を結ばないものだと、次の瞬間には悟る羽目になった。
「かなでちゃん、坊はまだなん?」
「蓬生さん」
「おとんまできとうたの?」
「そや。かなでちゃん一人で行かせるわけない。見てみ、坊。おとんの心配が判るやろ?」
「・・・・・・」
突然現れた長髪の麗人が、少女の肩を引き寄せると、教え子に顔を近づけて訳知り顔で訴えた。
というより、その距離なら自分の子供が何をしてるか判るだろうに、何故注意しないと彼は内心で激しく突っ込む。
しかも会話の内容は意味深で、背筋を嫌な汗が流れた。
子供は初め嫌そうに父親の登場を眺めていたが、やがて納得したとばかりに一つ頷くと少女の隣へと並ぶ。
そして瑞々しく可愛らしい笑顔でこう言った。
「おかあはん、かえろ?おれ、おやつたべたいわ」
「え?」
その瞬間、世界は逆周りを初め、飛んでいたエンジェルは悉く打ち落とされる。
『おかあはん』?『おかあはん』ってあの『おかあはん』だろうか。
ぐるぐると頭を悩ます彼は、教え子と少女───実は彼の姉でなく母親だった───がいなくなったのにも気づかずに、呆然と立ち尽くす。
そんな彼の肩を、蓬生と呼ばれた美男子がぽんと柔らかく叩いた。
「と言う訳で、俺のかなでちゃんに手ぇ出すの止めてな?俺も坊も独占欲が激しいからきっちりと報復させてもらうで」
男から見てもたいそう魅力的な笑顔だったが、もう二度と見たくないと涙ながらに考えた彼はきっと被害者に違いない。
むすりと不機嫌に頬を膨らまし、不満を訴える教え子に彼は情けなく眉を下げた。
目の前にはどう見ても年下の高校生くらいにしか見えない可愛らしい少女と、その彼女のスカートにへばりつき後ろから睨みつけてくるクラスの中でも優秀な子供。
たどたどしい口調ながらも明確に意思の伝わる言葉に、彼はどうすればいいかと目の前の少女に助けを求める。
すると春の日差しのように穏やかな笑みを浮かべたその少女は、スカートを握る子供の手をきゅっと上から包み込んだ。
「駄目よ、先生にそんなこと言ったら。いつもお世話になってるでしょう?」
「でも、せんせいかなでちゃんにみほれとった。かなでちゃん、おれのやのに」
子供の癖によく難しい言葉を知っているなと思いつつ、彼は頭をガシガシとかく。
実際見惚れていたのは本当だ。
今日少しだけ迎えが遅れるから直接幼稚園に迎えに来ると告げられた子供の手を引き、バスを見送ったのはつい数十分前。
普段は電話でしか遣り取りしない保護者と対面するのは僅かな緊張感を得たけれど、現れたのは随分と可愛らしい女の子で、てっきり両親のどちらかが来ると思っていた彼はぽかんと口を開けて可愛らしい彼女をじっと見詰めた。
幼稚園に勤めて数年のひよっこ教師は、愛らしい少女にすっかりと魅了されてしまった。
彼女居ない暦=幼稚園づとめ暦というのも不味かったかもしれない。
だが園児がそれと悟れるほど判りやすい顔をしていたのかと思うと、赤面をとめる方法が見つからない。
かかかっとトマトのように顔を赤らめた彼は、保護者の中でも評判の良い爽やかスマイルを浮かべた。
「えと、保護者の方ですか?」
「はい。うちの子がいつもお世話になっています」
うちの子との表現に一瞬首を傾げるも、きっと年の離れた兄弟だろうと納得する。
母親と判断するには彼女は余りにも若く、そして無防備だった。
庇護欲を掻き立てられる華奢な体つきに色白な肌。雛みたいなふわふわの髪に、大きな琥珀色の瞳。
浮かべる表情はあくまで柔らかでおっとりとしている。
はっきり言うと好みのストレートど真ん中で、是非お近づきになりたいと鼻息が荒くなる。
だが足を踏み出そうとした瞬間。
「いた!!?」
「・・・・・・」
「?どうかされました?」
「い、いえ」
爪先を鈍い衝撃が襲い、涙目になりながらも弁解する。
ちらりと視線を下げれば、不機嫌な顔をした教え子が靴のかかとで思い切り足を踏んづけている最中だった。
怒りたい。けれどこの少女の前では怒れない。
複雑なジレンマに頭を悩ます。
いっそ目の前の少女が気づいてくれればいいのだが、すこしばかり鈍いのかほえほえした笑顔を浮かべるだけだ。
それすら可愛いなんて卑怯だと思いながらも、彼はじっと耐え忍ぶ。
だが彼の我慢は実を結ばないものだと、次の瞬間には悟る羽目になった。
「かなでちゃん、坊はまだなん?」
「蓬生さん」
「おとんまできとうたの?」
「そや。かなでちゃん一人で行かせるわけない。見てみ、坊。おとんの心配が判るやろ?」
「・・・・・・」
突然現れた長髪の麗人が、少女の肩を引き寄せると、教え子に顔を近づけて訳知り顔で訴えた。
というより、その距離なら自分の子供が何をしてるか判るだろうに、何故注意しないと彼は内心で激しく突っ込む。
しかも会話の内容は意味深で、背筋を嫌な汗が流れた。
子供は初め嫌そうに父親の登場を眺めていたが、やがて納得したとばかりに一つ頷くと少女の隣へと並ぶ。
そして瑞々しく可愛らしい笑顔でこう言った。
「おかあはん、かえろ?おれ、おやつたべたいわ」
「え?」
その瞬間、世界は逆周りを初め、飛んでいたエンジェルは悉く打ち落とされる。
『おかあはん』?『おかあはん』ってあの『おかあはん』だろうか。
ぐるぐると頭を悩ます彼は、教え子と少女───実は彼の姉でなく母親だった───がいなくなったのにも気づかずに、呆然と立ち尽くす。
そんな彼の肩を、蓬生と呼ばれた美男子がぽんと柔らかく叩いた。
「と言う訳で、俺のかなでちゃんに手ぇ出すの止めてな?俺も坊も独占欲が激しいからきっちりと報復させてもらうで」
男から見てもたいそう魅力的な笑顔だったが、もう二度と見たくないと涙ながらに考えた彼はきっと被害者に違いない。
「いつか、あなたが教えてくれたわ」
その『いつか』の頃には決して見せなかった表情で、彼女は悲しそうに微笑んだ。
伏せられた睫毛の長さも、大好きだった髪の色も、白くて華奢な体つきも、綺麗な緑色の瞳も。
何もかも変わっていなくて、何もかも変わってしまった人。
「ボリス」
けれどどんなに何が変わっても、ボリスを呼ぶ声は変わらない。
流れる血の種類が変わったと、彼女はいつかボリスに忠告してくれた。
きっとあれは、友人であった彼女からの最終通告であったのだろう。
お気に入りの銃に触れさせるくらい、お気に入りだった可愛い少女。
どんなに何を言われても、やっぱり彼女は彼女でしかなく。
ボリスの前で銃を構える闇に紛れる漆黒スーツを纏った女性は、ボリスの大好きなアリスでしかなかった。
「臆病だから銃を持つと、初めに教えてくれたのはあなただったわ」
暗闇の中、アリスの闇に強い瞳はきちんと捉えていた。
闇に紛れているのは彼女一人ではなく複数の人間で、そして自分が囲まれていることを。
火薬の匂いは嗅ぎ慣れている。それ以上に、血の匂いも。
だから間違えることはない。真っ黒に見えるあのスーツは、どれだけの血を吸ったのだろう。
悲しげに見える理由がそれならいいのに、と漠然と思う。
それはきっと、彼女に対して残酷な望みなのだろうけど。
「銃を撃つのは簡単だわ。引き金を引く覚悟があればいいんだもの」
月が雲間に隠れ、あたりの闇が一層濃くなった。
「ねぇ、本当に簡単だったのね」
銃声に紛れて聞こえた声が、揺れていたのはきっと気のせいじゃないだろう。
それがボリスには嬉しくて、けれど同時にとても悲しかった。
その『いつか』の頃には決して見せなかった表情で、彼女は悲しそうに微笑んだ。
伏せられた睫毛の長さも、大好きだった髪の色も、白くて華奢な体つきも、綺麗な緑色の瞳も。
何もかも変わっていなくて、何もかも変わってしまった人。
「ボリス」
けれどどんなに何が変わっても、ボリスを呼ぶ声は変わらない。
流れる血の種類が変わったと、彼女はいつかボリスに忠告してくれた。
きっとあれは、友人であった彼女からの最終通告であったのだろう。
お気に入りの銃に触れさせるくらい、お気に入りだった可愛い少女。
どんなに何を言われても、やっぱり彼女は彼女でしかなく。
ボリスの前で銃を構える闇に紛れる漆黒スーツを纏った女性は、ボリスの大好きなアリスでしかなかった。
「臆病だから銃を持つと、初めに教えてくれたのはあなただったわ」
暗闇の中、アリスの闇に強い瞳はきちんと捉えていた。
闇に紛れているのは彼女一人ではなく複数の人間で、そして自分が囲まれていることを。
火薬の匂いは嗅ぎ慣れている。それ以上に、血の匂いも。
だから間違えることはない。真っ黒に見えるあのスーツは、どれだけの血を吸ったのだろう。
悲しげに見える理由がそれならいいのに、と漠然と思う。
それはきっと、彼女に対して残酷な望みなのだろうけど。
「銃を撃つのは簡単だわ。引き金を引く覚悟があればいいんだもの」
月が雲間に隠れ、あたりの闇が一層濃くなった。
「ねぇ、本当に簡単だったのね」
銃声に紛れて聞こえた声が、揺れていたのはきっと気のせいじゃないだろう。
それがボリスには嬉しくて、けれど同時にとても悲しかった。
15日
>>こんばんは。またまた来てしまいました。・・・の方。
こんばんは!また遊びに来てくださって嬉しいです。
お名前が入っていなかったのでどなたかちょっと判断が出来ないのですが、トライアングル・ラブを読んでくださってる方ですよねw
感想をありがとうございます!
私もその気持ち凄く判ります。
嵐と旬平の△ED1を見ようとしているのに、デートに誘ってくる琥一君を捨てられずいつのまにか琥一君ED1へ・・・っ!
もう二回も同じことを繰り返しているのに、何故彼の誘いを断れないのか自分と弱い自分を責めてます(笑)
しかも桜井兄弟に傾倒しすぎて先輩コンビは△EDすら見てないです。
ので自然と彼らはトライアングル・ラブには登場できず未だに出待ち状態w
駄目ですね、これは。
心を鬼にしてかからねば!と思いつつ弱い自分が顔を出します。
私の妄想の中では子供時代からトライアングルです!絶対にそうだと決めています。
琥一君は琉夏くんへの遠慮で自分の気持ちを認めてないけど、絶対にラブですw
琉夏くんは初めからラブで隠そうとしてないといいですww
捏造子供時代を書くのも楽しくて楽しくて・・・っ。
EDを迎えたら彼らと幼馴染の設楽先輩を加えたいんですけど、当分は無理そうです。
なので未来捏造篇でまたちみちみと書いていきたいです!
マイペースなサイトながらも頑張りますので、また是非遊びにいらしてくださいませ。
Web拍手、ありがとうございました!!
16日
>>ノコ様
こんばんは、ノコ様!
また遊びにいらしてくださって凄く嬉しいですw
暑さ厳しい中ですが、管理人は何とかやっております。ありがとうございますw
ノコ様こそ、どうぞご自愛くださいませ。
思わぬ気温の上がり方に熱中症になられる方が多いと聞きますので、水分補給は忘れないようになさってください。
大海賊な彼ら、今回はチョッパーとゾロの絡みで頑張りました。
リクを頂いて書いたものですが、次回はゾロとナミの絡みで書き進めております。
近日中にアップ予定ですので、またお時間ございましたら遊びにいらして下さいww
マイペースながらも頑張ります!
Web拍手、ありがとうございました!!
>>こんばんは。またまた来てしまいました。・・・の方。
こんばんは!また遊びに来てくださって嬉しいです。
お名前が入っていなかったのでどなたかちょっと判断が出来ないのですが、トライアングル・ラブを読んでくださってる方ですよねw
感想をありがとうございます!
私もその気持ち凄く判ります。
嵐と旬平の△ED1を見ようとしているのに、デートに誘ってくる琥一君を捨てられずいつのまにか琥一君ED1へ・・・っ!
もう二回も同じことを繰り返しているのに、何故彼の誘いを断れないのか自分と弱い自分を責めてます(笑)
しかも桜井兄弟に傾倒しすぎて先輩コンビは△EDすら見てないです。
ので自然と彼らはトライアングル・ラブには登場できず未だに出待ち状態w
駄目ですね、これは。
心を鬼にしてかからねば!と思いつつ弱い自分が顔を出します。
私の妄想の中では子供時代からトライアングルです!絶対にそうだと決めています。
琥一君は琉夏くんへの遠慮で自分の気持ちを認めてないけど、絶対にラブですw
琉夏くんは初めからラブで隠そうとしてないといいですww
捏造子供時代を書くのも楽しくて楽しくて・・・っ。
EDを迎えたら彼らと幼馴染の設楽先輩を加えたいんですけど、当分は無理そうです。
なので未来捏造篇でまたちみちみと書いていきたいです!
マイペースなサイトながらも頑張りますので、また是非遊びにいらしてくださいませ。
Web拍手、ありがとうございました!!
16日
>>ノコ様
こんばんは、ノコ様!
また遊びにいらしてくださって凄く嬉しいですw
暑さ厳しい中ですが、管理人は何とかやっております。ありがとうございますw
ノコ様こそ、どうぞご自愛くださいませ。
思わぬ気温の上がり方に熱中症になられる方が多いと聞きますので、水分補給は忘れないようになさってください。
大海賊な彼ら、今回はチョッパーとゾロの絡みで頑張りました。
リクを頂いて書いたものですが、次回はゾロとナミの絡みで書き進めております。
近日中にアップ予定ですので、またお時間ございましたら遊びにいらして下さいww
マイペースながらも頑張ります!
Web拍手、ありがとうございました!!
*ルフィたちが海賊王になった後の設定です。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
「お前って」
「?」
「ルフィのことが大概好きだよな」
「はぁ?」
珍しく二人きりで船の上で留守番している最中に、唐突に告げられた言葉にナミは嫌そうに顔を顰める。
久しぶりに寄った島で買出し中のメンバーにナミが混ざっていないのは、今日は海図を纏めると決めたからで、ゾロが残ったのは昼寝していて出遅れたからだ。
ちなみに勝手に船を降りようとしたゾロを全力でナミが止めたのは言うまでもない。
チョッパーか誰かが居ればいいのだが、そうでなければ方向音痴のゾロは今日中に船に帰ってこないだろう。
船舶予定は三日なので今日帰ってこなくてもいいが、彼の場合は三日過ぎても帰ってこないに決まっている。
そうしたらログが書き換えられてしまい、次の島へ進めない。
容易に想像できる未来だが、彼を説得するのは簡単じゃなかった。
自分が方向音痴だといい加減に認めればいい。
ルーキーと呼ばれる頃から酷いもんだったが、益々磨きのかかった現在、下手したら『海賊王の相棒、遭難し死亡』なんて記事が出るかもしれない。そんな恥ずかしい噂を背負って生きていくのは嫌だ。
拳を使った説得で何とか引き止めたのは良かったが、午前中寝すぎて眠気が襲ってこないらしい剣士は珍しくナミに話かけて来た。
それが前頭の台詞だったけれど。
「あんた、今更何言ってるわけ?」
「いや。今唐突にお前見てて思ったからよ」
「何で?」
「その海図。描く時の顔がルフィ見てるときとそっくりだった」
「・・・・・・あんたそんなに私を見てるの?うざっ」
「見てねえよ!視界に入ってくるだけだ!」
「ちょっと勘弁してよ。勝手に見るならお金取るわよ」
「大概守銭奴だよな、テメェはよ」
「仕方ないでしょう?海賊王の船だってのに、どうして貧乏生活を送ってるのよ私達。海賊王って海賊の中の海賊でしょ?それが赤貧生活って何?」
「んなことおれに聞くな」
勢い込んだナミに、うんざりと息を吐く。
確かに彼女が言うとおり、自分たちの旅は豪華絢爛とは行かない。むしろルーキー時代から何も変わってない気がする。
いや、だがルフィと二人で旅をしていた頃よりはマシだろう。
あの時は船の上で自分たちを餌に見立てて襲ってくる魚を食べていた。今はグル眉のコックが食糧管理及び朝昼晩プラスおやつを管理してくれている。しかもナミとは違って無料だ。
何かにつけて気に入らない男だが、料理の腕だけは認めているゾロとしては、また以前の食生活に戻るのは嫌だと思わないでもない。
自分から話しかけておいて思考の渦に嵌ったゾロに、ナミはふうと一つため息を落とす。
「あんただって」
「あ?」
「ルフィのこと大好きじゃない」
「はぁ?」
どうなのとばかりに告げたナミは、どこか呆れを含んだ眼差しだった。
だがゾロからしてみればナミの言い分は気色が悪い、その一点に尽きる。
感情のままに渋い表情で眉を寄せれば、違うの?と可愛らしく泥棒猫は首を傾げた。彼女のファンから見ればさぞ魅力的だろうが、本性を知ってるゾロとしては今更何とも思わない。
「まあ、好きか嫌いかって言やぁ嫌いじゃねぇけどな。んな気色悪い感情を考えたこともねぇな」
「そうなの?」
「何だよ、その意外と言わんばかりの表情は」
「だって意外じゃない。あんたのルフィに対する執着心とか顕示欲とか忠誠心を考えると、そうとしか思えないわ」
「これだから女って言うのは・・・。世の中は好きと嫌いで分かれてるわけじゃねぇんだぞ」
「そりゃそうかもしれないけど。でもルフィはあんたが好きよ」
「───なんだ、焼き餅か?」
「誰が」
口調こそ涼やかだがナミの目元は赤く染まっている。
年よりも幼い少女めいた仕草は、ルフィに関連することばかりだ。
いつもこうなら可愛いと思わなくもないが、それはそれで気色悪いかもしれない。
にたり、と意地悪く笑ったゾロに、今度こそ眉を吊り上げたナミは、遠慮なく頭を拳で殴った。
がつんとした衝撃は脳髄を揺らし、相変わらず女の癖にいい拳を持っている。
「何よ、悪い!?」
「別に悪いなんて言ってねえよ」
がなりたてるナミをかわし、ゾロは肩を竦めた。
別に馬鹿にしている気はないのだ。これっぽちも。
ただ女だからこそ持ちえる感情を不思議に思い、もしかしたらそれを羨んでいるのかもしれない。
「なぁ、ナミ」
「何よ!!」
「おれはな、ルフィを『大好き』なんて気色悪い感情は持ち合わせちゃいないが」
「いないが?」
「あいつに惚れてるよ」
ぽかんと口を開けた間抜け面がおかしくて、ククッと喉を震わせた。
何故女はこんなに簡単なことが判らないのだろうか。
ゾロがルフィに持つ感情は、恋だの愛だの軽薄なものではない。
もっと深く、根本の部分から湧き出る執着と独占。船長としての彼への尊敬と、唯一自分の上に立つ男への畏敬。
それらがゾロを複雑に作り上げていて、薄い言葉で簡単にこの想いを言い表せない。
大好きなんて感情で括れないほど、ゾロはルフィを絶対としているのだ。
彼はある意味、ゾロの支配者でもある。
「男が男に惚れるときはな、女が男に惚れるよりも厄介かもしれねぇぞ」
「どういう意味よ、それ」
「それくらい自分で考えろ」
親友への誓いは、いつしか自分の認めた男への誓いにもなっていた。
隣に並び立つために常に努力し続け、最強であり続けると誓った。
誰かに敗れ、敗北を晒すくらいなら、彼への誓いを破るくらいなら死んだ方がマシだと心から思う。
意地とプライドにかけて、首だけになってでも彼の道を切り開くと決めたのは、もう随分と昔だった。
夢半ばでも自分自身より彼を選べる。
何故ならゾロが選んだルフィという男は、海賊王でいるべき男だから。
誰よりも自由で、誰よりも強い。
そんな彼の右腕でいるのがゾロの誇りで、そしてきっとそんな彼の船を進めるのがナミの誇りだ。
自分と似て非なる感情を持つこの女が、ゾロは嫌いではなかった。
「敢えて、一つだけ言うなら」
「何よ」
「おれの立ち位置は一生誰にも奪えねぇってとこだな」
自信満々に告げた台詞に一瞬目を丸めた泥棒猫は、悔しそうに唇を噛み締めた。
自他共に認める海賊王の右腕であり、世界最強の剣豪は、上機嫌な獣がそうするように瞳を細め満足気に息を吐き出した。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
「お前って」
「?」
「ルフィのことが大概好きだよな」
「はぁ?」
珍しく二人きりで船の上で留守番している最中に、唐突に告げられた言葉にナミは嫌そうに顔を顰める。
久しぶりに寄った島で買出し中のメンバーにナミが混ざっていないのは、今日は海図を纏めると決めたからで、ゾロが残ったのは昼寝していて出遅れたからだ。
ちなみに勝手に船を降りようとしたゾロを全力でナミが止めたのは言うまでもない。
チョッパーか誰かが居ればいいのだが、そうでなければ方向音痴のゾロは今日中に船に帰ってこないだろう。
船舶予定は三日なので今日帰ってこなくてもいいが、彼の場合は三日過ぎても帰ってこないに決まっている。
そうしたらログが書き換えられてしまい、次の島へ進めない。
容易に想像できる未来だが、彼を説得するのは簡単じゃなかった。
自分が方向音痴だといい加減に認めればいい。
ルーキーと呼ばれる頃から酷いもんだったが、益々磨きのかかった現在、下手したら『海賊王の相棒、遭難し死亡』なんて記事が出るかもしれない。そんな恥ずかしい噂を背負って生きていくのは嫌だ。
拳を使った説得で何とか引き止めたのは良かったが、午前中寝すぎて眠気が襲ってこないらしい剣士は珍しくナミに話かけて来た。
それが前頭の台詞だったけれど。
「あんた、今更何言ってるわけ?」
「いや。今唐突にお前見てて思ったからよ」
「何で?」
「その海図。描く時の顔がルフィ見てるときとそっくりだった」
「・・・・・・あんたそんなに私を見てるの?うざっ」
「見てねえよ!視界に入ってくるだけだ!」
「ちょっと勘弁してよ。勝手に見るならお金取るわよ」
「大概守銭奴だよな、テメェはよ」
「仕方ないでしょう?海賊王の船だってのに、どうして貧乏生活を送ってるのよ私達。海賊王って海賊の中の海賊でしょ?それが赤貧生活って何?」
「んなことおれに聞くな」
勢い込んだナミに、うんざりと息を吐く。
確かに彼女が言うとおり、自分たちの旅は豪華絢爛とは行かない。むしろルーキー時代から何も変わってない気がする。
いや、だがルフィと二人で旅をしていた頃よりはマシだろう。
あの時は船の上で自分たちを餌に見立てて襲ってくる魚を食べていた。今はグル眉のコックが食糧管理及び朝昼晩プラスおやつを管理してくれている。しかもナミとは違って無料だ。
何かにつけて気に入らない男だが、料理の腕だけは認めているゾロとしては、また以前の食生活に戻るのは嫌だと思わないでもない。
自分から話しかけておいて思考の渦に嵌ったゾロに、ナミはふうと一つため息を落とす。
「あんただって」
「あ?」
「ルフィのこと大好きじゃない」
「はぁ?」
どうなのとばかりに告げたナミは、どこか呆れを含んだ眼差しだった。
だがゾロからしてみればナミの言い分は気色が悪い、その一点に尽きる。
感情のままに渋い表情で眉を寄せれば、違うの?と可愛らしく泥棒猫は首を傾げた。彼女のファンから見ればさぞ魅力的だろうが、本性を知ってるゾロとしては今更何とも思わない。
「まあ、好きか嫌いかって言やぁ嫌いじゃねぇけどな。んな気色悪い感情を考えたこともねぇな」
「そうなの?」
「何だよ、その意外と言わんばかりの表情は」
「だって意外じゃない。あんたのルフィに対する執着心とか顕示欲とか忠誠心を考えると、そうとしか思えないわ」
「これだから女って言うのは・・・。世の中は好きと嫌いで分かれてるわけじゃねぇんだぞ」
「そりゃそうかもしれないけど。でもルフィはあんたが好きよ」
「───なんだ、焼き餅か?」
「誰が」
口調こそ涼やかだがナミの目元は赤く染まっている。
年よりも幼い少女めいた仕草は、ルフィに関連することばかりだ。
いつもこうなら可愛いと思わなくもないが、それはそれで気色悪いかもしれない。
にたり、と意地悪く笑ったゾロに、今度こそ眉を吊り上げたナミは、遠慮なく頭を拳で殴った。
がつんとした衝撃は脳髄を揺らし、相変わらず女の癖にいい拳を持っている。
「何よ、悪い!?」
「別に悪いなんて言ってねえよ」
がなりたてるナミをかわし、ゾロは肩を竦めた。
別に馬鹿にしている気はないのだ。これっぽちも。
ただ女だからこそ持ちえる感情を不思議に思い、もしかしたらそれを羨んでいるのかもしれない。
「なぁ、ナミ」
「何よ!!」
「おれはな、ルフィを『大好き』なんて気色悪い感情は持ち合わせちゃいないが」
「いないが?」
「あいつに惚れてるよ」
ぽかんと口を開けた間抜け面がおかしくて、ククッと喉を震わせた。
何故女はこんなに簡単なことが判らないのだろうか。
ゾロがルフィに持つ感情は、恋だの愛だの軽薄なものではない。
もっと深く、根本の部分から湧き出る執着と独占。船長としての彼への尊敬と、唯一自分の上に立つ男への畏敬。
それらがゾロを複雑に作り上げていて、薄い言葉で簡単にこの想いを言い表せない。
大好きなんて感情で括れないほど、ゾロはルフィを絶対としているのだ。
彼はある意味、ゾロの支配者でもある。
「男が男に惚れるときはな、女が男に惚れるよりも厄介かもしれねぇぞ」
「どういう意味よ、それ」
「それくらい自分で考えろ」
親友への誓いは、いつしか自分の認めた男への誓いにもなっていた。
隣に並び立つために常に努力し続け、最強であり続けると誓った。
誰かに敗れ、敗北を晒すくらいなら、彼への誓いを破るくらいなら死んだ方がマシだと心から思う。
意地とプライドにかけて、首だけになってでも彼の道を切り開くと決めたのは、もう随分と昔だった。
夢半ばでも自分自身より彼を選べる。
何故ならゾロが選んだルフィという男は、海賊王でいるべき男だから。
誰よりも自由で、誰よりも強い。
そんな彼の右腕でいるのがゾロの誇りで、そしてきっとそんな彼の船を進めるのがナミの誇りだ。
自分と似て非なる感情を持つこの女が、ゾロは嫌いではなかった。
「敢えて、一つだけ言うなら」
「何よ」
「おれの立ち位置は一生誰にも奪えねぇってとこだな」
自信満々に告げた台詞に一瞬目を丸めた泥棒猫は、悔しそうに唇を噛み締めた。
自他共に認める海賊王の右腕であり、世界最強の剣豪は、上機嫌な獣がそうするように瞳を細め満足気に息を吐き出した。
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