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>>朝霞夜月様
こんばんは、朝霞様!
お返事遅くなってすみません!!
GS3もまた読んでくださってありがとうございますw
いつも感想とても嬉しいです!
休載といえば、あれを外せないですよね!
未だに続いているのにも、正直感心しております。
私は世代的にユウハクやスラダンがメインの時期でしたので、ハンター×ハンターはあまり読んでいないんですけど・・・。
私も銀魂爆笑しました!
てか、九ちゃんの思わぬスタイルの良さに度肝を抜かれた感じです(笑)
そして存外に彼女は強かでしたw
新八君の演技、迫真ものですよね!
あんな人居たら子供じゃなくてもプールは入れないし、と立ち読みしながら笑い堪えるのに必死です。
神楽と新ちゃんは二人でプール満喫してましたが、紫色のプールで泳ぐ神楽はまさしく猛者以外のなんでもないですよね!!
来週の銀魂も心から楽しみですw
そしてついに戦いの始まったリボーンも。
でも何より楽しみなのはワンピースです!!
早く、帰ってきて欲しいですよね!!!
毎回熱く語ってすみません。
またお時間ございましたら、是非遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!
>>ぴよりん様
こんばんは、ぴよりん様!
その後、胃腸の調子は大丈夫でしょうか。
私は風邪を引くと必ず胃に来るタイプですが、あの苦しみを思うとぴよりん様が心配でなりません。
どうぞ、無理はされないように気をつけてくださいね!
ちなみに私は数年前に風邪だと思い我慢しまくっていたら、大腸菌O248とかいう聞いたこともない菌に侵食されていたことがあります。
その後強制入院で静脈炎になったりと酷かったので、本当にくれぐれも自分を過信せずご自愛ください!
そして、獄寺君のお話、読んでくださってありがとうございますw
私の中の彼は真っ直ぐ歪な心を持つ印象です。
なので書くとどうしても崇拝主義の偏った人になってしまいます。
彼の世界の基準はあくまで綱吉。その彼のためなら、何でも出来る怖い人だと思ってしまうのです。
ウーノさんは徐々に成長し、今では獄寺君と普通に会話しています。
次の話ではついに獄寺君にお願いまでしちゃいます!
続きは未来捏造のランボ篇とどちらが先になるかわかりませんが、頑張りますのでまた是非遊びにいらしてくださいねw
Web拍手、ありがとうございました!
こんばんは、朝霞様!
お返事遅くなってすみません!!
GS3もまた読んでくださってありがとうございますw
いつも感想とても嬉しいです!
休載といえば、あれを外せないですよね!
未だに続いているのにも、正直感心しております。
私は世代的にユウハクやスラダンがメインの時期でしたので、ハンター×ハンターはあまり読んでいないんですけど・・・。
私も銀魂爆笑しました!
てか、九ちゃんの思わぬスタイルの良さに度肝を抜かれた感じです(笑)
そして存外に彼女は強かでしたw
新八君の演技、迫真ものですよね!
あんな人居たら子供じゃなくてもプールは入れないし、と立ち読みしながら笑い堪えるのに必死です。
神楽と新ちゃんは二人でプール満喫してましたが、紫色のプールで泳ぐ神楽はまさしく猛者以外のなんでもないですよね!!
来週の銀魂も心から楽しみですw
そしてついに戦いの始まったリボーンも。
でも何より楽しみなのはワンピースです!!
早く、帰ってきて欲しいですよね!!!
毎回熱く語ってすみません。
またお時間ございましたら、是非遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!
>>ぴよりん様
こんばんは、ぴよりん様!
その後、胃腸の調子は大丈夫でしょうか。
私は風邪を引くと必ず胃に来るタイプですが、あの苦しみを思うとぴよりん様が心配でなりません。
どうぞ、無理はされないように気をつけてくださいね!
ちなみに私は数年前に風邪だと思い我慢しまくっていたら、大腸菌O248とかいう聞いたこともない菌に侵食されていたことがあります。
その後強制入院で静脈炎になったりと酷かったので、本当にくれぐれも自分を過信せずご自愛ください!
そして、獄寺君のお話、読んでくださってありがとうございますw
私の中の彼は真っ直ぐ歪な心を持つ印象です。
なので書くとどうしても崇拝主義の偏った人になってしまいます。
彼の世界の基準はあくまで綱吉。その彼のためなら、何でも出来る怖い人だと思ってしまうのです。
ウーノさんは徐々に成長し、今では獄寺君と普通に会話しています。
次の話ではついに獄寺君にお願いまでしちゃいます!
続きは未来捏造のランボ篇とどちらが先になるかわかりませんが、頑張りますのでまた是非遊びにいらしてくださいねw
Web拍手、ありがとうございました!
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『家・・・を助け・・・か』
フラッシュバックする光景。
夜の道。電柱。見慣れぬ異形の存在。
そして目の前の華奢な女。
そこまで考え己に問う。
何故、女だと判るのか。
目の前に居る存在は、白い靄に覆われ辛うじて輪郭を現しているだけに過ぎない。
声にも酷くノイズが入り、何を言っているのかも判り難い。
だが一護には、目の前の袴を着た人が、女であると判っていた。
『貴様が、・・・になれ』
もやは徐々に晴れ、黒い袴に相反する白い肌が現れる。
少し癖のある黒髪に、高くも低くもない玲瓏な声。
今まさに死に掛けているのに、その声は酷く落ち着いていて、だから一護の焦りも静まる。
知らず知らず口角を持ち上げた。
彼女を信頼するのは当たり前で、信用するのも当たり前だ。
何故なら、彼女は───。
『刀を寄越せ、死神』
そう、死神。
一護に力を分け与え、小さな背を凛と伸ばし、いつだって紫紺色の瞳で前を見定める綺麗な女。
普段は冷静なくせに、一護の前では傲慢で意地っ張りで天邪鬼で、でも頼りになる強い女。
『死神ではない。朽木ルキアだ』
少しだけその相貌が綻ぶ。
瞳だけで笑うなんて、随分と器用なものだと思い、一護も笑い返した。
そう、彼女は『朽木ルキア』。
一護に命を懸けて戦う力を分け与えた優しい死神。
一護は怒り狂っていた。
それこそ、嘗てないほどに。
頭から湯気が出るってこんな感じかもしれないと、頭の隅に居る自分が呟くが、そんなことはどうでもよかった。
頭には寝癖が残っているし、着てる服はパジャマ代わりのジャージの上下。
靴の代わりにサンダルを引っ掛けた姿は、年頃の男子高校生が外を爆走するには相応しくない格好であったが、一護にそれを気にする余裕はない。
入れ替わっていないがコンと同じくらいの健脚を発揮し、彼は目的地を目指した。
そしてついに目的地を発見すると、勢い良くジャンプする。
玄関を破壊した彼は、その騒々しさに顔を覗かせた住民の中から一人を選び出し、びしり、と指を突きつけた。
「何、いきなり人の記憶奪ってやがんだ、この野郎!!」
叫んだと同時に履いていたサンダルを引っつかみ、メジャーリーグの投手並のフォームで投げつけた。
「おやおやー?もう、記憶は戻ったんすねぇ」
しかしながら全力投球したサンダルは、へらりと曖昧な笑みをした男に橋で摘まれ。
チクショウ、とその無念さに、思わず床を殴ってしまった。
フラッシュバックする光景。
夜の道。電柱。見慣れぬ異形の存在。
そして目の前の華奢な女。
そこまで考え己に問う。
何故、女だと判るのか。
目の前に居る存在は、白い靄に覆われ辛うじて輪郭を現しているだけに過ぎない。
声にも酷くノイズが入り、何を言っているのかも判り難い。
だが一護には、目の前の袴を着た人が、女であると判っていた。
『貴様が、・・・になれ』
もやは徐々に晴れ、黒い袴に相反する白い肌が現れる。
少し癖のある黒髪に、高くも低くもない玲瓏な声。
今まさに死に掛けているのに、その声は酷く落ち着いていて、だから一護の焦りも静まる。
知らず知らず口角を持ち上げた。
彼女を信頼するのは当たり前で、信用するのも当たり前だ。
何故なら、彼女は───。
『刀を寄越せ、死神』
そう、死神。
一護に力を分け与え、小さな背を凛と伸ばし、いつだって紫紺色の瞳で前を見定める綺麗な女。
普段は冷静なくせに、一護の前では傲慢で意地っ張りで天邪鬼で、でも頼りになる強い女。
『死神ではない。朽木ルキアだ』
少しだけその相貌が綻ぶ。
瞳だけで笑うなんて、随分と器用なものだと思い、一護も笑い返した。
そう、彼女は『朽木ルキア』。
一護に命を懸けて戦う力を分け与えた優しい死神。
一護は怒り狂っていた。
それこそ、嘗てないほどに。
頭から湯気が出るってこんな感じかもしれないと、頭の隅に居る自分が呟くが、そんなことはどうでもよかった。
頭には寝癖が残っているし、着てる服はパジャマ代わりのジャージの上下。
靴の代わりにサンダルを引っ掛けた姿は、年頃の男子高校生が外を爆走するには相応しくない格好であったが、一護にそれを気にする余裕はない。
入れ替わっていないがコンと同じくらいの健脚を発揮し、彼は目的地を目指した。
そしてついに目的地を発見すると、勢い良くジャンプする。
玄関を破壊した彼は、その騒々しさに顔を覗かせた住民の中から一人を選び出し、びしり、と指を突きつけた。
「何、いきなり人の記憶奪ってやがんだ、この野郎!!」
叫んだと同時に履いていたサンダルを引っつかみ、メジャーリーグの投手並のフォームで投げつけた。
「おやおやー?もう、記憶は戻ったんすねぇ」
しかしながら全力投球したサンダルは、へらりと曖昧な笑みをした男に橋で摘まれ。
チクショウ、とその無念さに、思わず床を殴ってしまった。
*ルフィたちが海賊王になった後の設定です。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
「泣くなよ。大丈夫。絶対に、ルフィたちが助けに来てくれる」
小さな体を震わせて涙を零す少女を腕に、チョッパーは囁いた。
その体は最早傷がない場所を探す方が難しく、腕には海楼石が嵌められており毛艶も悪い。
しかしどれ程傷だらけになってもその瞳は諦めを知らず、涙を浮かべる子供を慰める優しさも失わない。
彼、トニートニー・チョッパーは、ヒトヒトの実を食べたトナカイでありながら、その実人よりも人らしい心を持つ優しい少年で、同時に自分の技術に誇りを持つ一人の医者だった。
だから彼は仲間の静止を振り切り、一人敵の中に姿を見せ囚われた。
体は鞭打たれ血が流れるし傷はひりひりと痛む。だがそれでも彼は現状に絶望していない。
腕に巻かれた海楼石の腕輪はエニエス・ロビーの時にロビンがまかれたものとは違い、普通の手錠のようになっていて、気力を振り絞れば何とか体は動いた。
それは、傷つき倒れている患者を前にして、動く手があるなら施術する。
医者として当たり前と心得るチョッパーの原点で、動きの鈍くなる体を叱咤しつつも現在は顔に傷を負った少女の手当てをしていた。
海賊に全てを支配された島。
ここの住民は村人全てを人質に取られた状態で、日々の生活を怯えながらしている。
医療水準も低く、そこらに生えている草が薬草になるのも知らなかった。
度重なる徴税で人々は瘠せ、反抗する精神は根こそぎ奪われていた。
今この場に居るのは島にある村の一つの住民で、今月の人質らしい。
否、人質と称した奴隷と言った方が正しいだろう。
彼らの体は鞭打たれた痕があり、チョッパーも放り込まれたそこは地下で日の光すら入らない。
洞窟の中は湿っぽく、かび臭さが拭えずに、首輪がついた人々の汚物の匂いで充満している。
ぎりり、と唇を噛み締めたチョッパーは泣きそうになるのを我慢して手を動かした。
希望も何もないと、こんな小さな子の顔に傷を負わせた男たちが憎くて仕方ない。
彼らを傷つけたくなくて、自分が傷つくことを選んだチョッパーは悔しくて仕方ない。
彼らに希望を与えることが出来ない自分が。
だからせめてもと希望の在り処を口にする。
愛らしい顔に笑顔が戻るように祈りを込めて、痛む傷を無視して優しくそっと微笑みかける。
その姿は怪物と呼ぶには程遠く、慈愛に満ちた温かすぎた。
「大丈夫だ。おれの仲間が、助けに来る。ルフィは凄く強いから、お前らを救うのなんて簡単だ」
「嘘だ!この島は、海軍にすら見捨てられた!!助けを求めて海に出た父さんは、海軍に殺された!海賊も、海軍も、全部、全部いなくなればいいんだ!!」
「大丈夫だ。ルフィは、凄く強いんだ。それにおれの仲間も、おれなんかと比べ物にならないくらいに強い。だから、絶対に大丈夫」
「嘘だ!」
涙を零し、嗚咽を堪える少女を見て、周りの人間も涙を零す。
どうして無駄な希望を持たせるのかと、怨嗟の声を上げるものも居る。
だがチョッパーは嘘は言っていない。
本当に、大丈夫なのだ。
「おれの仲間が必ず助けに来る。そうしたら、すぐに自由になれる。嘘じゃない。本当だ」
チョッパーは繰り返す。
心の薬が必要な少女を胸に抱いて。
涙を零し続ける少女が微笑む時をじっと待って。
「大丈夫だ」
希望を失う必要はないと、繰り返し囁きかける。
人々が無言になり、彼の言葉を信じてくれるまで。
「大丈夫だ」
確信に満ちた声は、彼がどれだけ自分の仲間を信じているかを現していた。
そして、その想いに応えぬ海賊王ではないと、その場の村人もやがて知る。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
「泣くなよ。大丈夫。絶対に、ルフィたちが助けに来てくれる」
小さな体を震わせて涙を零す少女を腕に、チョッパーは囁いた。
その体は最早傷がない場所を探す方が難しく、腕には海楼石が嵌められており毛艶も悪い。
しかしどれ程傷だらけになってもその瞳は諦めを知らず、涙を浮かべる子供を慰める優しさも失わない。
彼、トニートニー・チョッパーは、ヒトヒトの実を食べたトナカイでありながら、その実人よりも人らしい心を持つ優しい少年で、同時に自分の技術に誇りを持つ一人の医者だった。
だから彼は仲間の静止を振り切り、一人敵の中に姿を見せ囚われた。
体は鞭打たれ血が流れるし傷はひりひりと痛む。だがそれでも彼は現状に絶望していない。
腕に巻かれた海楼石の腕輪はエニエス・ロビーの時にロビンがまかれたものとは違い、普通の手錠のようになっていて、気力を振り絞れば何とか体は動いた。
それは、傷つき倒れている患者を前にして、動く手があるなら施術する。
医者として当たり前と心得るチョッパーの原点で、動きの鈍くなる体を叱咤しつつも現在は顔に傷を負った少女の手当てをしていた。
海賊に全てを支配された島。
ここの住民は村人全てを人質に取られた状態で、日々の生活を怯えながらしている。
医療水準も低く、そこらに生えている草が薬草になるのも知らなかった。
度重なる徴税で人々は瘠せ、反抗する精神は根こそぎ奪われていた。
今この場に居るのは島にある村の一つの住民で、今月の人質らしい。
否、人質と称した奴隷と言った方が正しいだろう。
彼らの体は鞭打たれた痕があり、チョッパーも放り込まれたそこは地下で日の光すら入らない。
洞窟の中は湿っぽく、かび臭さが拭えずに、首輪がついた人々の汚物の匂いで充満している。
ぎりり、と唇を噛み締めたチョッパーは泣きそうになるのを我慢して手を動かした。
希望も何もないと、こんな小さな子の顔に傷を負わせた男たちが憎くて仕方ない。
彼らを傷つけたくなくて、自分が傷つくことを選んだチョッパーは悔しくて仕方ない。
彼らに希望を与えることが出来ない自分が。
だからせめてもと希望の在り処を口にする。
愛らしい顔に笑顔が戻るように祈りを込めて、痛む傷を無視して優しくそっと微笑みかける。
その姿は怪物と呼ぶには程遠く、慈愛に満ちた温かすぎた。
「大丈夫だ。おれの仲間が、助けに来る。ルフィは凄く強いから、お前らを救うのなんて簡単だ」
「嘘だ!この島は、海軍にすら見捨てられた!!助けを求めて海に出た父さんは、海軍に殺された!海賊も、海軍も、全部、全部いなくなればいいんだ!!」
「大丈夫だ。ルフィは、凄く強いんだ。それにおれの仲間も、おれなんかと比べ物にならないくらいに強い。だから、絶対に大丈夫」
「嘘だ!」
涙を零し、嗚咽を堪える少女を見て、周りの人間も涙を零す。
どうして無駄な希望を持たせるのかと、怨嗟の声を上げるものも居る。
だがチョッパーは嘘は言っていない。
本当に、大丈夫なのだ。
「おれの仲間が必ず助けに来る。そうしたら、すぐに自由になれる。嘘じゃない。本当だ」
チョッパーは繰り返す。
心の薬が必要な少女を胸に抱いて。
涙を零し続ける少女が微笑む時をじっと待って。
「大丈夫だ」
希望を失う必要はないと、繰り返し囁きかける。
人々が無言になり、彼の言葉を信じてくれるまで。
「大丈夫だ」
確信に満ちた声は、彼がどれだけ自分の仲間を信じているかを現していた。
そして、その想いに応えぬ海賊王ではないと、その場の村人もやがて知る。
■神楽独白
「ケホっ」
咳と同時に血が流れ出た。これは、内臓までやられていると直感的に感じた。痛い。
イクスパンディングブレット。
頭の中で単語が浮かんだ。体を貫通する目的ではなく、体内で変形する種類の弾だ。ソフトポイント弾でも打ち込まれたらしい。体の中で異物感でごろごろする感覚が絶えず沸き、同時に激痛が走る。治そうとする夜兎としての性質と、それを阻止する弾丸のおかげで痛みは一向に引かない。随分と趣味の良い物を持っているものだ。クッと皮肉気に口角が上がる。この弾は夜兎である神楽に致命傷を与えるに相応しい威力を誇る。すぐに殺すには到らずとも、体の中に無数の針を差し込まれ抉られるような感覚は耐えがたく叫びだしたい気持ちに駆られる。唇を噛み締めることでそれを堪えると、痛みを吐き出す擬似行為として深く息を吐き出した。
ドジるつもりはなかったのに、最後の最後で甘さが出た自分に嫌気が差す。妙が引き返してくれてよかった。あそこから先に進んだら、いくら近藤とはいえ生身の人間に妙が守れるとは思えない。近藤なら命を捨ててまで妙を助けようとするだろうが、それは彼女が悲しむ。それでは本末転倒だ。妙の体は守れても、心は何一つ守れない。
いつも笑顔の裏に感情を隠す妙は、中々本心を見せることはない。だからこそ、近藤という男は貴重なのだ。怒りにせよ罵倒にせよ負の感情であれなんであれ、妙にあそこまでの百面相をさせることが出来る相手など、彼と後二人しか知らない。その二人を思い浮かべ、神楽は笑った。
重い足を引きずり、蛞蝓のように血の跡を残しながらゆっくりと歩く。飄々として死んだ魚の目をした銀髪の男に、メガネのダサい生真面目少年。思い出すだけで心が温かくなるような、そんな居場所をくれた二人組み。泣いて笑って怒って叫んで。それほど遠いことではないのに、もう随分と昔に感じる。それでもこの温かい感情が色褪せることはなく、神楽を神楽たらしめた。
彼らがいれば大丈夫だろうと、神楽は笑う。妙にとって、自分も大切な人間の一人だなんて欠片も思っていない笑顔で。自分の感想が自己満足の上で成り立つものだと意識的に考えないようにして。
脇腹を押さえて、はっと息を吐く。黒い衣服は血を見えにくくするが、独特の匂いはどんどんと酷くなる。鉄錆び臭いそれは地面にも落ち染みを作っているのだろう。本当に、何という失態か。苛立ち一つ舌打をする。もう、傘を支えにしなければ歩くことすらままならない。
妙との会合を思い、風下に立っていて良かったと安堵する。これだけの血の量は闇に隠すには難しく、布で巻いただけの応急処置ではやはり僅かな時間しか持たない。
「──これは、マジでやばいアルな」
自分の命が消えるかもしれないのに、彼女は異様なまでに冷静だった。死ぬ事すら一つの通過点としてしか捕らえておらず、己の死が廻りに影響を及ぼすのを思いつかない、そんな声。
何時もの無表情。傷の痛みは酷く、額に冷や汗すら滲むのに神楽は一切の表情を消した。必死の思いで傘を支えに川沿いに歩き、橋の下で力尽きる。何とか潜り込んだ橋の袂に背を預け、ずるずるとしゃがみ込んだ。
ズクン、ズクンと心臓の鼓動に合わせ痛みが全身に広がる。
(──絶好のチャンスだったアルのにな)
瞳を閉じた。灼熱のこてを当てられたように、肌が発熱し空気に触れるだけで痛みを訴える。それを何とか堪えゆっくりと呼吸を繰り返した。
もし、あの男を・・・自分の父を殺した男を目にしたら、躊躇いもなく殺せると思っていた。それ位、憎しみは強かった。それなのに気がつけばこの様だ。己を嘲ることすら出来ず、甘さを痛感し絶望する。
うっすらと閉じていた瞳を開ける。残された力を振り絞り見上げた空には、月すらも神楽を見放して煌々と光る星しかなかった。
「ケホっ」
咳と同時に血が流れ出た。これは、内臓までやられていると直感的に感じた。痛い。
イクスパンディングブレット。
頭の中で単語が浮かんだ。体を貫通する目的ではなく、体内で変形する種類の弾だ。ソフトポイント弾でも打ち込まれたらしい。体の中で異物感でごろごろする感覚が絶えず沸き、同時に激痛が走る。治そうとする夜兎としての性質と、それを阻止する弾丸のおかげで痛みは一向に引かない。随分と趣味の良い物を持っているものだ。クッと皮肉気に口角が上がる。この弾は夜兎である神楽に致命傷を与えるに相応しい威力を誇る。すぐに殺すには到らずとも、体の中に無数の針を差し込まれ抉られるような感覚は耐えがたく叫びだしたい気持ちに駆られる。唇を噛み締めることでそれを堪えると、痛みを吐き出す擬似行為として深く息を吐き出した。
ドジるつもりはなかったのに、最後の最後で甘さが出た自分に嫌気が差す。妙が引き返してくれてよかった。あそこから先に進んだら、いくら近藤とはいえ生身の人間に妙が守れるとは思えない。近藤なら命を捨ててまで妙を助けようとするだろうが、それは彼女が悲しむ。それでは本末転倒だ。妙の体は守れても、心は何一つ守れない。
いつも笑顔の裏に感情を隠す妙は、中々本心を見せることはない。だからこそ、近藤という男は貴重なのだ。怒りにせよ罵倒にせよ負の感情であれなんであれ、妙にあそこまでの百面相をさせることが出来る相手など、彼と後二人しか知らない。その二人を思い浮かべ、神楽は笑った。
重い足を引きずり、蛞蝓のように血の跡を残しながらゆっくりと歩く。飄々として死んだ魚の目をした銀髪の男に、メガネのダサい生真面目少年。思い出すだけで心が温かくなるような、そんな居場所をくれた二人組み。泣いて笑って怒って叫んで。それほど遠いことではないのに、もう随分と昔に感じる。それでもこの温かい感情が色褪せることはなく、神楽を神楽たらしめた。
彼らがいれば大丈夫だろうと、神楽は笑う。妙にとって、自分も大切な人間の一人だなんて欠片も思っていない笑顔で。自分の感想が自己満足の上で成り立つものだと意識的に考えないようにして。
脇腹を押さえて、はっと息を吐く。黒い衣服は血を見えにくくするが、独特の匂いはどんどんと酷くなる。鉄錆び臭いそれは地面にも落ち染みを作っているのだろう。本当に、何という失態か。苛立ち一つ舌打をする。もう、傘を支えにしなければ歩くことすらままならない。
妙との会合を思い、風下に立っていて良かったと安堵する。これだけの血の量は闇に隠すには難しく、布で巻いただけの応急処置ではやはり僅かな時間しか持たない。
「──これは、マジでやばいアルな」
自分の命が消えるかもしれないのに、彼女は異様なまでに冷静だった。死ぬ事すら一つの通過点としてしか捕らえておらず、己の死が廻りに影響を及ぼすのを思いつかない、そんな声。
何時もの無表情。傷の痛みは酷く、額に冷や汗すら滲むのに神楽は一切の表情を消した。必死の思いで傘を支えに川沿いに歩き、橋の下で力尽きる。何とか潜り込んだ橋の袂に背を預け、ずるずるとしゃがみ込んだ。
ズクン、ズクンと心臓の鼓動に合わせ痛みが全身に広がる。
(──絶好のチャンスだったアルのにな)
瞳を閉じた。灼熱のこてを当てられたように、肌が発熱し空気に触れるだけで痛みを訴える。それを何とか堪えゆっくりと呼吸を繰り返した。
もし、あの男を・・・自分の父を殺した男を目にしたら、躊躇いもなく殺せると思っていた。それ位、憎しみは強かった。それなのに気がつけばこの様だ。己を嘲ることすら出来ず、甘さを痛感し絶望する。
うっすらと閉じていた瞳を開ける。残された力を振り絞り見上げた空には、月すらも神楽を見放して煌々と光る星しかなかった。
■妙→神楽
初めて会った時から、綺麗な色だと思っていた。今、改めて正面から見ると、やっぱり綺麗な色だと思った。月光の下、空を映したような青い瞳は妙を真っ直ぐに見つめていた。
その日は、たまたまが重なっていた。
たまたま、仕事が急に入り。
たまたま、お客さんを殴って店の片づけを最後までさせられた。
たまたま、その殴った客がストーカー兼真選組の局長で。
たまたま、大荷物があった自分はそれを全て彼に持たせた。
そして。
たまたま、帰り道を歩いていたら可愛い妹分に出会った。
トレードマークの傘を差し、肩においてくるくると回している姿は、まるでブリキのお人形のように愛らしい。最後の一つは、今日で一番嬉しい偶然だ。こちらを振り返らない背に躊躇無く声をかける。
「こんばんは、神楽ちゃん」
にこりと微笑んで言葉にすると、目の前の彼女の空気が少しだけ揺れた。くるりと右足を支点に体を回し、両手で傘を回したまま首を傾げる。妙の気配に気づいていたのだろう。その反応に驚きは見れなかった。
反応を待つために沈黙すれば、暫くして。
「こんばんは、姐御」
以前と全く変わらぬ調子での返事が返ってきて、ホッと息を吐いた。自分で思っていたよりも緊張していたらしい。いつの間にか追いついた近藤が、道に荷物を置く。勝手に荷物を下ろしたことを注意しようかとも思ったが、寸前で思い直した。彼は、自分が思っている以上に思慮深い人間だと言うことを知っている。妙が怒るかもしれないのを承知で、それでもいざという時の為に荷物を道に下ろさずにいられなかったのだろう。
近藤が本気で自分を心配しているのもわかっていたし、彼一人だけなら荷物を持ったままだということも想像できた。彼は本心では神楽を信用したいと思っているし、自分のみならば傷つくのも厭わない。彼が荷物を置き備えたのは、妙に万が一でも危険が及ばないようにする布石の一つだと判るからこそ怒れない。妙を心配しながら、それでも自分の前で神楽に刀を向けない彼に好感を持った。
明かり一つすらない暗闇。新月で月明かりすらない場所なのに、そんな自分達を見て神楽が一瞬笑ったような気がして、一瞬顔が赤くなりかけそうになり慌てて気力で押さえ込む。目の前の少女が、恍けたフリをしながらも、本当はこの上なく鋭い事を妙は誰よりも知っていた。
「──二人で逢引アルか?」
「何を言ってるの、神楽ちゃん。目に一味唐辛子を吹っかけるわよ?私が、この人と逢引するとでも思ってるの?」
「お妙さん、恥ずかしがらなくても大・・・ふがっ!!」
下らない事を言おうとしたゴリラの顔面に裏拳を当てる。鼻に当たったらしく、振り返らなくてもそこを抑えてしゃがみ込んでいるのが判った。
「冗談アル。姐御がゴリラの相手をする訳ないネ。どうせまた、そいつが酷いストーキングをやらかしたに決まってるアル。お前みたいな男、皆に指差されて笑われてるのにも気がついてない、裸の王様も同然ネ。略して『裸王』アル。ちっさい息子をぶら下げて、街道を驀進中ヨ」
「・・・・・・」
神楽のあまりの言い草に、近藤は黙って涙した。
「あらあら、神楽ちゃん。それは酷いと言うものよ」
妙の言葉に、目を輝かした近藤は菩薩を崇めるように彼女を見つめた。
「全裸で歩くゴリラだなんて、王様に相応しくないわ。あえて言うなら、猥褻物陳列罪で捕まる寸前の変質者よ」
笑顔でバサリと斬られ、彼は再び涙を流した。綺麗な薔薇には棘がある。言葉どおりに体現している彼女を見て、神楽は嬉しそうに声を上げた。
「姐御」
「・・・何かしら?」
そして、一瞬で雰囲気を変える。和やかで懐かしいものから、産毛が逆立つほどの気迫を纏いくるりと傘を回した。近藤が静かに立ち上がり、妙を庇うように斜め前に出る。いつでも反応できるように足を半歩開いた。
「チャイナさん・・・?」
神楽の武器は、あの傘だ。近藤も妙も、それがどれだけ威力があるものかを知っていた。ただの雨具ではなく、あれは夜兎である少女に似合う恐ろしい武器。一振りで岩をも砕く威力を持ち、構えれば鉛の弾が降る。それでも、まだ大丈夫だと判断したのか近藤は脇差に手を掛けていない。
「オレたちに、何のようだったのかな?」
子供に語りかけるような口調は優しい。踏まれても蹴られても、雑草のようにしぶとい男は同時に酷く器が大きい男でもあった。
「──この先に、進んじゃ駄目アル」
ポツリ、と呟かれた言葉に首を傾げる。この先の道を歩かないと、妙は自分の家まで帰れない。別の道を行くには、ここらか戻らなくてはいけないし、結構な大回りになってしまう。それは神楽も知っているだろうに。
「引き返すアル。姐御、今、先に進んだら駄目アル」
淡々とした声に、熱意など欠片も見当たらない。それでも、神楽が必死なのが妙には伝わった。
もしかしたら、コレだけを伝えるために神楽はずっと自分を待っていたのかもしれない。そう考え、気がついたら体が勝手に頷いていた。
「わかったわ、神楽ちゃん。私、別の道から帰ることにする」
迷うことなく踵を返す。この可愛い妹分を信じない理由はない。敵対関係にあったとしても、彼女が自分を無意味に傷つけるはずが無い。
「お妙さん・・・」
「何をしているの、近藤さん。早く、その荷物を持ってきてください」
「・・・・・・」
暫し躊躇し、けれど結局妙に無言でいた彼は、最終的には自分の意思を尊重してくれた。それでも念を押すように、もう一度だけ彼女に向かって問いかける。
「一つだけ、教えてくれチャイナさん」
「何アルか?」
「・・・この先で、殺しはやってないよな?」
「ないアル」
信じるための証拠は何もない。神楽が此処にいるからといって、他の誰かが手を下していないという確証はない。全てを知った上で、彼はその言葉に深く頷いていた。
「わかった。あんたを信じるぜ」
荷物を持ち、少し早足でかけてきた彼は自分の後ろに先程と同じように付いて歩く。もう、振り向く気はなかった。
だから、気がつかなかった。
彼女がホッと息を吐いた事も。
彼女の足元に、出来たばかりの血溜りがあったことも。
──何もかもに、気がつかなかった。
初めて会った時から、綺麗な色だと思っていた。今、改めて正面から見ると、やっぱり綺麗な色だと思った。月光の下、空を映したような青い瞳は妙を真っ直ぐに見つめていた。
その日は、たまたまが重なっていた。
たまたま、仕事が急に入り。
たまたま、お客さんを殴って店の片づけを最後までさせられた。
たまたま、その殴った客がストーカー兼真選組の局長で。
たまたま、大荷物があった自分はそれを全て彼に持たせた。
そして。
たまたま、帰り道を歩いていたら可愛い妹分に出会った。
トレードマークの傘を差し、肩においてくるくると回している姿は、まるでブリキのお人形のように愛らしい。最後の一つは、今日で一番嬉しい偶然だ。こちらを振り返らない背に躊躇無く声をかける。
「こんばんは、神楽ちゃん」
にこりと微笑んで言葉にすると、目の前の彼女の空気が少しだけ揺れた。くるりと右足を支点に体を回し、両手で傘を回したまま首を傾げる。妙の気配に気づいていたのだろう。その反応に驚きは見れなかった。
反応を待つために沈黙すれば、暫くして。
「こんばんは、姐御」
以前と全く変わらぬ調子での返事が返ってきて、ホッと息を吐いた。自分で思っていたよりも緊張していたらしい。いつの間にか追いついた近藤が、道に荷物を置く。勝手に荷物を下ろしたことを注意しようかとも思ったが、寸前で思い直した。彼は、自分が思っている以上に思慮深い人間だと言うことを知っている。妙が怒るかもしれないのを承知で、それでもいざという時の為に荷物を道に下ろさずにいられなかったのだろう。
近藤が本気で自分を心配しているのもわかっていたし、彼一人だけなら荷物を持ったままだということも想像できた。彼は本心では神楽を信用したいと思っているし、自分のみならば傷つくのも厭わない。彼が荷物を置き備えたのは、妙に万が一でも危険が及ばないようにする布石の一つだと判るからこそ怒れない。妙を心配しながら、それでも自分の前で神楽に刀を向けない彼に好感を持った。
明かり一つすらない暗闇。新月で月明かりすらない場所なのに、そんな自分達を見て神楽が一瞬笑ったような気がして、一瞬顔が赤くなりかけそうになり慌てて気力で押さえ込む。目の前の少女が、恍けたフリをしながらも、本当はこの上なく鋭い事を妙は誰よりも知っていた。
「──二人で逢引アルか?」
「何を言ってるの、神楽ちゃん。目に一味唐辛子を吹っかけるわよ?私が、この人と逢引するとでも思ってるの?」
「お妙さん、恥ずかしがらなくても大・・・ふがっ!!」
下らない事を言おうとしたゴリラの顔面に裏拳を当てる。鼻に当たったらしく、振り返らなくてもそこを抑えてしゃがみ込んでいるのが判った。
「冗談アル。姐御がゴリラの相手をする訳ないネ。どうせまた、そいつが酷いストーキングをやらかしたに決まってるアル。お前みたいな男、皆に指差されて笑われてるのにも気がついてない、裸の王様も同然ネ。略して『裸王』アル。ちっさい息子をぶら下げて、街道を驀進中ヨ」
「・・・・・・」
神楽のあまりの言い草に、近藤は黙って涙した。
「あらあら、神楽ちゃん。それは酷いと言うものよ」
妙の言葉に、目を輝かした近藤は菩薩を崇めるように彼女を見つめた。
「全裸で歩くゴリラだなんて、王様に相応しくないわ。あえて言うなら、猥褻物陳列罪で捕まる寸前の変質者よ」
笑顔でバサリと斬られ、彼は再び涙を流した。綺麗な薔薇には棘がある。言葉どおりに体現している彼女を見て、神楽は嬉しそうに声を上げた。
「姐御」
「・・・何かしら?」
そして、一瞬で雰囲気を変える。和やかで懐かしいものから、産毛が逆立つほどの気迫を纏いくるりと傘を回した。近藤が静かに立ち上がり、妙を庇うように斜め前に出る。いつでも反応できるように足を半歩開いた。
「チャイナさん・・・?」
神楽の武器は、あの傘だ。近藤も妙も、それがどれだけ威力があるものかを知っていた。ただの雨具ではなく、あれは夜兎である少女に似合う恐ろしい武器。一振りで岩をも砕く威力を持ち、構えれば鉛の弾が降る。それでも、まだ大丈夫だと判断したのか近藤は脇差に手を掛けていない。
「オレたちに、何のようだったのかな?」
子供に語りかけるような口調は優しい。踏まれても蹴られても、雑草のようにしぶとい男は同時に酷く器が大きい男でもあった。
「──この先に、進んじゃ駄目アル」
ポツリ、と呟かれた言葉に首を傾げる。この先の道を歩かないと、妙は自分の家まで帰れない。別の道を行くには、ここらか戻らなくてはいけないし、結構な大回りになってしまう。それは神楽も知っているだろうに。
「引き返すアル。姐御、今、先に進んだら駄目アル」
淡々とした声に、熱意など欠片も見当たらない。それでも、神楽が必死なのが妙には伝わった。
もしかしたら、コレだけを伝えるために神楽はずっと自分を待っていたのかもしれない。そう考え、気がついたら体が勝手に頷いていた。
「わかったわ、神楽ちゃん。私、別の道から帰ることにする」
迷うことなく踵を返す。この可愛い妹分を信じない理由はない。敵対関係にあったとしても、彼女が自分を無意味に傷つけるはずが無い。
「お妙さん・・・」
「何をしているの、近藤さん。早く、その荷物を持ってきてください」
「・・・・・・」
暫し躊躇し、けれど結局妙に無言でいた彼は、最終的には自分の意思を尊重してくれた。それでも念を押すように、もう一度だけ彼女に向かって問いかける。
「一つだけ、教えてくれチャイナさん」
「何アルか?」
「・・・この先で、殺しはやってないよな?」
「ないアル」
信じるための証拠は何もない。神楽が此処にいるからといって、他の誰かが手を下していないという確証はない。全てを知った上で、彼はその言葉に深く頷いていた。
「わかった。あんたを信じるぜ」
荷物を持ち、少し早足でかけてきた彼は自分の後ろに先程と同じように付いて歩く。もう、振り向く気はなかった。
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彼女の足元に、出来たばかりの血溜りがあったことも。
──何もかもに、気がつかなかった。
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