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>>ぴよりん様
こんばんは、ぴよりん様!
いつも感想をありがとうございます。
お兄ちゃんと一緒シリーズは久しぶりに更新だったので地味に勝手がつかめなかったですが、お気に召していただけたようでよかったですw
ついに今週からジャンプでワンピも再開し、ウン年ぶりに買ってしまいました。
読むのは数シリーズしかないってのに、魅力的過ぎました、ワンピ。
皆イメチェンしてて、来週が気になります!
銀魂も久しぶりの更新だったのですが、笑ってくれて嬉しいですw
素直じゃない可愛さが神楽ちゃんの魅力ですよね!今週の大人神楽ちゃんも美人でヒャッホウでしたが、やはり天邪鬼な彼女が好きです!
私の基本は銀神ですが、神楽受けならなんでも美味しくいただけます。
例外は近妙と東九ですが、このCPは神楽視点以外は書く予定なしです★
拝啓、も楽しんで頂けて嬉しいです!実はもうハークとアーク視点の話は出来上がってます!
ですがもう少し本編を出してから番外になりそうです。R15の内容なので(といっても下ではないですが)、区切りよくなってから出したいです。
拝啓、魔王様の主人公の伽羅ちゃんにとって、『正義?何それ美味しいの?』状態です。白檀様の役に立たないならいらないし?とあくまで強気なツンツン娘です(笑)
ハークとアークも気に入ってくださって嬉しいです!あくまで蔑視している伽羅にとっては所詮人間ですが、人間視点で行くと彼らは化け物同然ですね★
勘違い野郎のおかげで悪魔なのに聖女扱いの伽羅は心底辟易していますが、使えるなら使ってしまう悪魔です。
あくまで基準は利用できるか出来ないか。それが重要で、価値がないなら好きにすればいいと思ってます。結構酷い子ですが、嫌いにならないでやってください。
最近はサイトの更新があまり出来ていないですが、復活のお題小説集めたサウンドノベル作成中です。どれだけ需要があるか判らないですが、今はおまけの綱吉視点と、彼が帰ってきてからの守護者達の視点の話を書いてます!
配布に至るか判らないですが、地味にこつこつと作業に嵌っております(笑)
テストプレイヤー様を募集しようか思案中ですが、兎にも角にもそこまで漕ぎ着けるよう頑張ってます!
新しい設定の創作も気に入ってくださってありがとうございますw
他にも幼馴染や綺麗系の貴族様、さらに一ワンコ系後輩など登場します!
拝啓魔王様を終わらせてからのアップになる気がするので、先が長いなぁと意識も遠のく次第です。
先日の二人のように、彼らの紹介短篇集なら出来てるんですけどね(苦笑)
とりあえず、今日もこちらのサイトは更新なしですが、明日には何作かアップ予定です!
マイペースなさいとですが、また是非遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!
こんばんは、ぴよりん様!
いつも感想をありがとうございます。
お兄ちゃんと一緒シリーズは久しぶりに更新だったので地味に勝手がつかめなかったですが、お気に召していただけたようでよかったですw
ついに今週からジャンプでワンピも再開し、ウン年ぶりに買ってしまいました。
読むのは数シリーズしかないってのに、魅力的過ぎました、ワンピ。
皆イメチェンしてて、来週が気になります!
銀魂も久しぶりの更新だったのですが、笑ってくれて嬉しいですw
素直じゃない可愛さが神楽ちゃんの魅力ですよね!今週の大人神楽ちゃんも美人でヒャッホウでしたが、やはり天邪鬼な彼女が好きです!
私の基本は銀神ですが、神楽受けならなんでも美味しくいただけます。
例外は近妙と東九ですが、このCPは神楽視点以外は書く予定なしです★
拝啓、も楽しんで頂けて嬉しいです!実はもうハークとアーク視点の話は出来上がってます!
ですがもう少し本編を出してから番外になりそうです。R15の内容なので(といっても下ではないですが)、区切りよくなってから出したいです。
拝啓、魔王様の主人公の伽羅ちゃんにとって、『正義?何それ美味しいの?』状態です。白檀様の役に立たないならいらないし?とあくまで強気なツンツン娘です(笑)
ハークとアークも気に入ってくださって嬉しいです!あくまで蔑視している伽羅にとっては所詮人間ですが、人間視点で行くと彼らは化け物同然ですね★
勘違い野郎のおかげで悪魔なのに聖女扱いの伽羅は心底辟易していますが、使えるなら使ってしまう悪魔です。
あくまで基準は利用できるか出来ないか。それが重要で、価値がないなら好きにすればいいと思ってます。結構酷い子ですが、嫌いにならないでやってください。
最近はサイトの更新があまり出来ていないですが、復活のお題小説集めたサウンドノベル作成中です。どれだけ需要があるか判らないですが、今はおまけの綱吉視点と、彼が帰ってきてからの守護者達の視点の話を書いてます!
配布に至るか判らないですが、地味にこつこつと作業に嵌っております(笑)
テストプレイヤー様を募集しようか思案中ですが、兎にも角にもそこまで漕ぎ着けるよう頑張ってます!
新しい設定の創作も気に入ってくださってありがとうございますw
他にも幼馴染や綺麗系の貴族様、さらに一ワンコ系後輩など登場します!
拝啓魔王様を終わらせてからのアップになる気がするので、先が長いなぁと意識も遠のく次第です。
先日の二人のように、彼らの紹介短篇集なら出来てるんですけどね(苦笑)
とりあえず、今日もこちらのサイトは更新なしですが、明日には何作かアップ予定です!
マイペースなさいとですが、また是非遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!
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君が、嫌い
--お題サイト:確かに恋だったさまより--
★マフィアパロ★
■1.心惑わされるのは、(嫌い)【ユリウス】
毎日時計を修理する。
ねじを回し、部品を交換し、油をさして動かぬそれを直し続ける。
朝目が覚めて夜眠るまで、絶え間なくその時間は続く。
ごく稀に自分の部下が訪れ、回収した時計を持ち込む。
ごく稀にこの世界の勢力のどこかが、時計を持ち込み仕事を依頼に来る。
ごく稀に役もちと呼ばれる彼らが、気紛れに訪れ時計を壊す。
時間の狂ったこの世界、狂った住人は好き勝手に行動する。
時計屋であるユリウスの元に訪れるのは大体が狂った人物ばかりで、それは昔から変わらない。
チクタクチクタク時計は進む。
時折、ふと顔を上げ部屋を視線でひと撫でしてからまた時計に意識を向けた。
自分以外誰も居ないはずの部屋に、コーヒーの香がするわけがない。
■2.君なしの日々は、【エース】
「ユリウスがさ、寂しそうなんだ」
笑顔で告げれば、静かな眼差しを向けた彼女はただ一言、『そう』と口にした。
ユリウスはエースの特別だ。
彼はエースを理解してくれ、呆れつつも許容してくれる。
自分より不幸な人間がいるのは心が休まる。
そんな自分を歪んでいるわと嫌そうな顔で評価した少女は、もうどこにも居ない。
「もう会わないつもり?」
「ええ。───ボスの許しが出ない限りは、会わないわ」
「じゃあ二度と会う気はないんだね」
余裕ぶっているが、彼女の主帽子屋がとても狭量なのは知っている。
自分だけでなく、役持ちなら誰もが知っているだろう。
自分の囲いの中にアリスを繋いだ彼が、首輪もそこから伸びる鎖も決して手放さないだろう。
彼はアリスを手に入れた。
それは愛とか恋が絡むものじゃないだけに、彼女にとってもっと深い意味を持つ。
何しろ恋愛なんてごめんだと全てを面倒だと口にしていた彼女が差し出した、それ以外の全てなのだ。
帽子屋が欲したものとは違うだろうに、手にしたものを自由にするはずがない。
独占と執着。彼が抱いた感情は、何を基準にしたものだろう。
「俺も寂しくなるな」
「そう」
興味なさげに視線を反らしたアリスに、エースは笑みを深めた。
帽子屋にだって負けないくらいの執着欲は、どこへ向かえばいいのだろう。
彼女のハートを止めれば、空虚な心は埋まるのだろうか。
■3.沈黙の時間が、【ボリス】
空を見上げれば夜の黒。それに混じって星が輝き月が中天に上っている。
時間の狂ったこの世界で、夜はもう三時間帯連続で続いていた。
いつもはおしゃべりなチェシャ猫は、木の上に寝転び空を見上げる。
夜の時間は好きだ。
闇は心を落ち着かせ、遊び心を擽った。
けれど今日は何故か遊ぶ気分にならず、ぼうっと空を見上げている。
「アリス、何してるかな」
中立の立場のボリスは、帽子屋屋敷に遊びに行くのもしばしばだ。
遊園地に滞在しているので一応敵対勢力として数えられているが、門番の双子と友人だし、自称忠犬のウサギや屋敷の主にはペットとして見られている気がした。
「・・・会いたいな」
夜には感傷的になる。
きっと今頃屋敷の庭でお茶会をしているだろう少女を思えば思うほど寂しくなって、胸が苦しい。
「会いに行こうかな」
そう言えば、もう一月は顔を合わせていない。
屋敷に遊びに行っても、いっつもマフィアの仕事で留守にしているアリスは、夜の時間が続けば拘束されているはずだ。
「そうしよ!」
ぴん、と耳を立てたチェシャ猫は、どピンクの尻尾を揺らしドアを開けた。
■4.幸せそうな笑顔も、【ペーター】
「ねぇ、アリス。いつ僕を殺すんですか?」
綺麗な白い手を掴み、そっと頬に当ててペーターは問う。
傷一つないはずだったその掌は、いつの間にか潰れた肉刺で皮膚が硬くなっており、その柳眉を顰めた。
アリスがアリスである限り、彼女を嫌うことなどないが、それでも変わってしまった様子に苛立つ。
アリスは本来ならこんな苦労をするはずがなかった。
幸せになって欲しいからこちらの世界に連れてきたのに、どうしてこんな傷が出来るのか。
返す返すも腹立たしいのは彼女を部下として扱き使う帽子屋であり、同僚として扱うファミリーの面々だ。
城に来てくれれば自分の部屋でアリスが好きな何もかもを用意してもてなすのに、彼女は帽子屋から出たくないと言う。
それが彼女の意思であれば強く出れないのがペーターで、ならばと利用してもらっているが、それも満足いくほどではない。
何しろペーターの首は未だ繋がったままだし、属する勢力も健在だ。
もっと利用して欲しいというのに、遠慮がちな彼女がもどかしい。
「貴女が手を下してくださるなら、僕は逆らったりしないのに」
囁き指先に口付ける。昔ならそれも飛びのいて拒絶されたのだが、今は諾々と受け入れてくれた。
それが少し嬉しい。
「貴方に利用価値がなくなれば、望まなくても殺してあげるわ」
「そうしてください。ああ、でも貴女以外の誰かに殺されてあげる気はありませんから、それだけは覚えておいてくださいね」
優しい宣言に顔を綻ばせば、目を細めてアリスは笑った。
昔と違う笑顔だが、それでもペーターは満足だった。
■5.僕を見ない君が、【グレイ】
「久しぶりだな、アリス」
言葉どおり、本当に久しぶりに顔を見た友人にグレイは思わず声をかけた。
以前と同じルールの会合は、今回もまたナイトメアが司会だ。
しどろもどろの痛すぎるそれは毎回の悩みの種だが、一行に改善されない割りに何故人前に立ちたがるのか。
現在もどちらの上司が素敵か言い争っている。
自称ブラッドの犬のエリオットがブラッドを褒め称えるのは別に構わないが、自分で自分がどれ程尊敬された上司か訴えるナイトメアには呆れしか沸かない。
こちらに振られる相槌を躱しつつ、ブラッドの背後に控えていたアリスに声をかけたのだが。
「これはこれはクローバーの塔の苦労人の登場か」
「・・・帽子屋」
「女性を見るなりナンパか?それならうちの領土の子ではなく、自分のところのにするんだな。女に声をかけて恥を掻きたくないだろう?」
アリスとグレイの間に体を割り込ませたブラッドは、にこりと笑顔を浮かべた。
顔は笑っているくせに目は少しも笑っていない、随分と寒々しい笑顔に眉間に皺を刻む。
「俺はお前に挨拶したわけじゃない」
「悪いが、蜥蜴。アリスは私のものなんだ。私のものに私を通さず声をかけるなど、無礼だと思わないか」
「いつからアリスがお前のものになったと言うんだ、帽子屋。彼女をもの扱いするのはやめてもらおう。彼女は確固とした意思を持つ人間だ」
「そして私の血を分けたファミリーでもある。忠誠心が厚い幹部の一人だと、お前も知っているだろうに」
にい、と笑ったブラッドはアリスの肩を抱くと、見せ付けるように耳に唇を寄せた。
ざわり、と胸の奥から不快感が湧き上がり、思わず隠しているナイフへと手を伸ばす。
「アリス。蜥蜴の奴は君の扱いが不満だそうだが、君はどうだ?」
「今更よ、ブラッド。私は貴方が言うとおり貴方のものだもの。精々上手く使って頂戴」
「だそうだ。アリス直々に答えを聞けばお前も満足だろう。それでは私は失礼するよ。美味しい紅茶を飲みにいく約束をしているのでな。ああ、そうそう。そこできゃんきゃん喚いているウサギは好きにしてくれていい」
勝ち誇った笑みを浮かべるブラッドに、ナイフを投げつける。
すると間にアリスが割り込み、当たる寸前で双子が弾いた。
「お姉さんに手を出さないでよ」
「僕たちいい子にするって約束してるんだから、邪魔しないでよね蜥蜴さん」
子供っぽい口調で苛立ちを含んだ声を出した双子は、グレイを睨み付けた。
「置いていくわよ、ディー、ダム。折角私の奢りなのに、いいの?」
「駄目だよ!早く行こう、兄弟!」
「うん、そうだね兄弟。待ってよ、お姉さん!」
アリスの声にグレイから興味を失った双子は、さっさと踵を返した。
最後までこちらを見なかったなと、遠ざかる少女の背を見送る。
懐かしい笑顔はきっともう見れないのだろう。
--お題サイト:確かに恋だったさまより--
★マフィアパロ★
■1.心惑わされるのは、(嫌い)【ユリウス】
毎日時計を修理する。
ねじを回し、部品を交換し、油をさして動かぬそれを直し続ける。
朝目が覚めて夜眠るまで、絶え間なくその時間は続く。
ごく稀に自分の部下が訪れ、回収した時計を持ち込む。
ごく稀にこの世界の勢力のどこかが、時計を持ち込み仕事を依頼に来る。
ごく稀に役もちと呼ばれる彼らが、気紛れに訪れ時計を壊す。
時間の狂ったこの世界、狂った住人は好き勝手に行動する。
時計屋であるユリウスの元に訪れるのは大体が狂った人物ばかりで、それは昔から変わらない。
チクタクチクタク時計は進む。
時折、ふと顔を上げ部屋を視線でひと撫でしてからまた時計に意識を向けた。
自分以外誰も居ないはずの部屋に、コーヒーの香がするわけがない。
■2.君なしの日々は、【エース】
「ユリウスがさ、寂しそうなんだ」
笑顔で告げれば、静かな眼差しを向けた彼女はただ一言、『そう』と口にした。
ユリウスはエースの特別だ。
彼はエースを理解してくれ、呆れつつも許容してくれる。
自分より不幸な人間がいるのは心が休まる。
そんな自分を歪んでいるわと嫌そうな顔で評価した少女は、もうどこにも居ない。
「もう会わないつもり?」
「ええ。───ボスの許しが出ない限りは、会わないわ」
「じゃあ二度と会う気はないんだね」
余裕ぶっているが、彼女の主帽子屋がとても狭量なのは知っている。
自分だけでなく、役持ちなら誰もが知っているだろう。
自分の囲いの中にアリスを繋いだ彼が、首輪もそこから伸びる鎖も決して手放さないだろう。
彼はアリスを手に入れた。
それは愛とか恋が絡むものじゃないだけに、彼女にとってもっと深い意味を持つ。
何しろ恋愛なんてごめんだと全てを面倒だと口にしていた彼女が差し出した、それ以外の全てなのだ。
帽子屋が欲したものとは違うだろうに、手にしたものを自由にするはずがない。
独占と執着。彼が抱いた感情は、何を基準にしたものだろう。
「俺も寂しくなるな」
「そう」
興味なさげに視線を反らしたアリスに、エースは笑みを深めた。
帽子屋にだって負けないくらいの執着欲は、どこへ向かえばいいのだろう。
彼女のハートを止めれば、空虚な心は埋まるのだろうか。
■3.沈黙の時間が、【ボリス】
空を見上げれば夜の黒。それに混じって星が輝き月が中天に上っている。
時間の狂ったこの世界で、夜はもう三時間帯連続で続いていた。
いつもはおしゃべりなチェシャ猫は、木の上に寝転び空を見上げる。
夜の時間は好きだ。
闇は心を落ち着かせ、遊び心を擽った。
けれど今日は何故か遊ぶ気分にならず、ぼうっと空を見上げている。
「アリス、何してるかな」
中立の立場のボリスは、帽子屋屋敷に遊びに行くのもしばしばだ。
遊園地に滞在しているので一応敵対勢力として数えられているが、門番の双子と友人だし、自称忠犬のウサギや屋敷の主にはペットとして見られている気がした。
「・・・会いたいな」
夜には感傷的になる。
きっと今頃屋敷の庭でお茶会をしているだろう少女を思えば思うほど寂しくなって、胸が苦しい。
「会いに行こうかな」
そう言えば、もう一月は顔を合わせていない。
屋敷に遊びに行っても、いっつもマフィアの仕事で留守にしているアリスは、夜の時間が続けば拘束されているはずだ。
「そうしよ!」
ぴん、と耳を立てたチェシャ猫は、どピンクの尻尾を揺らしドアを開けた。
■4.幸せそうな笑顔も、【ペーター】
「ねぇ、アリス。いつ僕を殺すんですか?」
綺麗な白い手を掴み、そっと頬に当ててペーターは問う。
傷一つないはずだったその掌は、いつの間にか潰れた肉刺で皮膚が硬くなっており、その柳眉を顰めた。
アリスがアリスである限り、彼女を嫌うことなどないが、それでも変わってしまった様子に苛立つ。
アリスは本来ならこんな苦労をするはずがなかった。
幸せになって欲しいからこちらの世界に連れてきたのに、どうしてこんな傷が出来るのか。
返す返すも腹立たしいのは彼女を部下として扱き使う帽子屋であり、同僚として扱うファミリーの面々だ。
城に来てくれれば自分の部屋でアリスが好きな何もかもを用意してもてなすのに、彼女は帽子屋から出たくないと言う。
それが彼女の意思であれば強く出れないのがペーターで、ならばと利用してもらっているが、それも満足いくほどではない。
何しろペーターの首は未だ繋がったままだし、属する勢力も健在だ。
もっと利用して欲しいというのに、遠慮がちな彼女がもどかしい。
「貴女が手を下してくださるなら、僕は逆らったりしないのに」
囁き指先に口付ける。昔ならそれも飛びのいて拒絶されたのだが、今は諾々と受け入れてくれた。
それが少し嬉しい。
「貴方に利用価値がなくなれば、望まなくても殺してあげるわ」
「そうしてください。ああ、でも貴女以外の誰かに殺されてあげる気はありませんから、それだけは覚えておいてくださいね」
優しい宣言に顔を綻ばせば、目を細めてアリスは笑った。
昔と違う笑顔だが、それでもペーターは満足だった。
■5.僕を見ない君が、【グレイ】
「久しぶりだな、アリス」
言葉どおり、本当に久しぶりに顔を見た友人にグレイは思わず声をかけた。
以前と同じルールの会合は、今回もまたナイトメアが司会だ。
しどろもどろの痛すぎるそれは毎回の悩みの種だが、一行に改善されない割りに何故人前に立ちたがるのか。
現在もどちらの上司が素敵か言い争っている。
自称ブラッドの犬のエリオットがブラッドを褒め称えるのは別に構わないが、自分で自分がどれ程尊敬された上司か訴えるナイトメアには呆れしか沸かない。
こちらに振られる相槌を躱しつつ、ブラッドの背後に控えていたアリスに声をかけたのだが。
「これはこれはクローバーの塔の苦労人の登場か」
「・・・帽子屋」
「女性を見るなりナンパか?それならうちの領土の子ではなく、自分のところのにするんだな。女に声をかけて恥を掻きたくないだろう?」
アリスとグレイの間に体を割り込ませたブラッドは、にこりと笑顔を浮かべた。
顔は笑っているくせに目は少しも笑っていない、随分と寒々しい笑顔に眉間に皺を刻む。
「俺はお前に挨拶したわけじゃない」
「悪いが、蜥蜴。アリスは私のものなんだ。私のものに私を通さず声をかけるなど、無礼だと思わないか」
「いつからアリスがお前のものになったと言うんだ、帽子屋。彼女をもの扱いするのはやめてもらおう。彼女は確固とした意思を持つ人間だ」
「そして私の血を分けたファミリーでもある。忠誠心が厚い幹部の一人だと、お前も知っているだろうに」
にい、と笑ったブラッドはアリスの肩を抱くと、見せ付けるように耳に唇を寄せた。
ざわり、と胸の奥から不快感が湧き上がり、思わず隠しているナイフへと手を伸ばす。
「アリス。蜥蜴の奴は君の扱いが不満だそうだが、君はどうだ?」
「今更よ、ブラッド。私は貴方が言うとおり貴方のものだもの。精々上手く使って頂戴」
「だそうだ。アリス直々に答えを聞けばお前も満足だろう。それでは私は失礼するよ。美味しい紅茶を飲みにいく約束をしているのでな。ああ、そうそう。そこできゃんきゃん喚いているウサギは好きにしてくれていい」
勝ち誇った笑みを浮かべるブラッドに、ナイフを投げつける。
すると間にアリスが割り込み、当たる寸前で双子が弾いた。
「お姉さんに手を出さないでよ」
「僕たちいい子にするって約束してるんだから、邪魔しないでよね蜥蜴さん」
子供っぽい口調で苛立ちを含んだ声を出した双子は、グレイを睨み付けた。
「置いていくわよ、ディー、ダム。折角私の奢りなのに、いいの?」
「駄目だよ!早く行こう、兄弟!」
「うん、そうだね兄弟。待ってよ、お姉さん!」
アリスの声にグレイから興味を失った双子は、さっさと踵を返した。
最後までこちらを見なかったなと、遠ざかる少女の背を見送る。
懐かしい笑顔はきっともう見れないのだろう。
>>ぴよりん様
こんにちは、ぴよりん様!
いつも感想ありがとうございます!
今日の夜から日曜まで出かけるので、休みの夕方にお返事させていただきますw
確かに、私のサイトではディーノさん珍しいですよね!
多分、二作・・・くらいしか出てない気がします。
好きなんですけど、何故か私のサイトでは影が薄いと申しましょうか。
守護者たちが出張ってるんですよね、かなりw
私のイメージもぴよりん様と同じで、少し離れた位置にいるけれども、絆はしっかりとある人だと思います。
本当は守護者の地位とか狙ってたりすると、なおありです★
同じボスの立場だからこそ判ることとか、悩みとかありますよね、きっと。
私も彼の包容力に胸膨らませてます(笑)
チョッパーも読んでくださってありがとうございます!
医療ってどう考えても被検体必要だと思うんですよ。
万能薬を目指すチョッパーなら尚更扱いには慎重になるでしょうし、完璧を目指すと思うんです。
するとどうしても必要になてくる『お試し』。
ルフィならおれを使えって言ってくれそうだな~とか傍にいたゾロを巻き込むだろうな~とか妄想して書きました。
元は仲間を誉める話のリクエストから出来たんですけど、上手に誉めてくれてるかちょっと心配です。
コルダ3、趣味が合いますね!
私もギャップに弱いんで、余計にです!
土岐さんも可愛いですよね~。余裕ぶってるのに、徐々にそれを奪われたりすれば良いと心の底から思います。
ゲームプレイして彼の独占欲は結構なものだと想いましたし、坊も交えてvs状態は続くでしょう(笑)
そう言えば遙か5もプロモが始まりましたよね。
公式サイトで宣伝の前に雑誌で知ったのですが、真選組の時代に飛ぶかと思っていたのですが、どうなんでしょう!?
服装はそれっぽいですよね!時空を飛ぶたびに命を削るとか、宣伝文句に心が奪われます!
早くもっと詳細がわかれば・・・と心からお祈り中です!
また是非遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!
>>木葉様
こんにちは、木葉様!
夢にまで見るその気持ち、凄く判ります!
いよいよ日数的にもカウントダウンできる今日、早く早くと心が急きます。
私も出来る限り早く読みにいきたいです!
日付変更線跨ぐすれすれくらいで読みたいです!
早く来い来いジャンプの発売。
二年後の話に取りあえずしょっぱなからルフィは出そうなので、召喚魔法使えそうな勢いで祈ります。
早く読ませて欲しいと!
また是非遊びにいらして下さいw
ワンピ語りを一緒にしましょう!
Web拍手、ありがとうございました!
こんにちは、ぴよりん様!
いつも感想ありがとうございます!
今日の夜から日曜まで出かけるので、休みの夕方にお返事させていただきますw
確かに、私のサイトではディーノさん珍しいですよね!
多分、二作・・・くらいしか出てない気がします。
好きなんですけど、何故か私のサイトでは影が薄いと申しましょうか。
守護者たちが出張ってるんですよね、かなりw
私のイメージもぴよりん様と同じで、少し離れた位置にいるけれども、絆はしっかりとある人だと思います。
本当は守護者の地位とか狙ってたりすると、なおありです★
同じボスの立場だからこそ判ることとか、悩みとかありますよね、きっと。
私も彼の包容力に胸膨らませてます(笑)
チョッパーも読んでくださってありがとうございます!
医療ってどう考えても被検体必要だと思うんですよ。
万能薬を目指すチョッパーなら尚更扱いには慎重になるでしょうし、完璧を目指すと思うんです。
するとどうしても必要になてくる『お試し』。
ルフィならおれを使えって言ってくれそうだな~とか傍にいたゾロを巻き込むだろうな~とか妄想して書きました。
元は仲間を誉める話のリクエストから出来たんですけど、上手に誉めてくれてるかちょっと心配です。
コルダ3、趣味が合いますね!
私もギャップに弱いんで、余計にです!
土岐さんも可愛いですよね~。余裕ぶってるのに、徐々にそれを奪われたりすれば良いと心の底から思います。
ゲームプレイして彼の独占欲は結構なものだと想いましたし、坊も交えてvs状態は続くでしょう(笑)
そう言えば遙か5もプロモが始まりましたよね。
公式サイトで宣伝の前に雑誌で知ったのですが、真選組の時代に飛ぶかと思っていたのですが、どうなんでしょう!?
服装はそれっぽいですよね!時空を飛ぶたびに命を削るとか、宣伝文句に心が奪われます!
早くもっと詳細がわかれば・・・と心からお祈り中です!
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>>木葉様
こんにちは、木葉様!
夢にまで見るその気持ち、凄く判ります!
いよいよ日数的にもカウントダウンできる今日、早く早くと心が急きます。
私も出来る限り早く読みにいきたいです!
日付変更線跨ぐすれすれくらいで読みたいです!
早く来い来いジャンプの発売。
二年後の話に取りあえずしょっぱなからルフィは出そうなので、召喚魔法使えそうな勢いで祈ります。
早く読ませて欲しいと!
また是非遊びにいらして下さいw
ワンピ語りを一緒にしましょう!
Web拍手、ありがとうございました!
片思いで5のお題
--お題サイト:確かに恋だったさまより--
■1.俺の目の届く範囲にいてくれ【恋次→ルキア】
昔より過保護になった気がする。
否、それは気がするだけではなく、実際にそうなのだろう。
同じ死神として戦いの場で保護する真似は、ルキアの矜持をへし折る真似は出来ない。
だが日常生活は仕方がないと思わないか。
何せ一度自分から手放した経験がある相手だ。
色々とトラウマが出来ているし、出来るなら現世にいる有袋類のように持ち歩きたいのだ。
それは仕方がない事ではないか。
「・・・・・・それ、本人に言うなよ」
「・・・お主、絶対に引かれるぞ。主じゃなかったらわしらも関わりたくないな」
至極真っ当な訴えなのに、相棒は冷たい眼差しを向けてきた。
ああ、でも見てくれ。
現世を一人歩きさせると、変な野郎がついて歩いてるんだ!
■2.どれだけ心配したと思ってる【修兵→ルキア】
現世で怪我をしたと聞き、四番隊に駆け込めば。
何故かそこの七席と一緒に、ほんわかな空気を出して談笑する少女の姿。
いつもどおり凛と背筋を伸ばし、椅子の上で微笑む姿は上品そのもの。
こちらが連絡を受けてどれだけ肝を冷やしたかなど、一切合財判っていない。
不安で早くなる鼓動を宥めるのにどれだけ苦労したとか、やりかけの仕事を部下に押し付けてきたとか、途中にあった部下のスクープに目を瞑ったとか、色々と代償はあったのに、ルキアはよりにもよって別の男と笑っている。
冷えていた心に熱が加わり、一気に過熱され火が広がる。
この場で怒り狂ったとしても、絶対に責められる謂れはないはずだ。
■3.こういう時は俺に頼れと言っただろう!【一角→ルキア】
傷つき、血を垂らしながらも強情に立ち上がる背中に舌打した。
敵の力量は明らかにルキアの上手を行き、彼女では勝つのは難しいだろう。
剣風で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられてもまだ立とうとするルキアに、堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減、助けくらい呼べ!」
眼前に迫った鋭い爪を見据え苛立ちをぶつける。
霊圧を開放し始解した相棒を構えれば、荒い息を吐きながら彼女が立ち上がったが気配で知れた。
「足手まといだ。大人しくしてろ」
叫ぶのではなく、冷静な声を響かせれば、気配はびくりと震え大人しくなった。
霊圧が弱まる。意識を失ったらしい。
やっと大人しくなった少女に視線を向ければ、綺麗な黒髪を散らしぐったりと床に倒れ伏す姿を視界に捉えた。
なんて強情なお姫様だと内心で呟き斬魄刀を振るえば、苛立ちに誘発されたように虚が消えた。
■4.俺を困らせたいとしか思えないな【浮竹→ルキア】
いつの間にか自分の腕の中で眠るルキアに、浮竹は瞬きを繰り返す。
一瞬やってしまったかと思ったが、どう思い出そうとしても如何わしい記憶は欠片も出てこない。
酒も飲んでないし、何より今はまだ昼時。
朝眠った記憶があるので、何もしていないはずだと判断する。
熱に浮かされて何かしたのかとも思ったが、意識が朦朧とする中で何かするのは無理だろう。
「・・・可愛いなぁ」
答えが出ない疑問はさっさと脇に寄せると、白い頬を指先で突付く。
普段のルキアならすぐさま離れてしまうだろうに、眠って無防備になった彼女はすやすやと寝息を立てるだけ。
そう言えば、とふと思い出す。
昔膝の上にルキアを抱えた副官が、羨ましくてしかたなかった。
どんな感じなのだろうと幾度も想像したものだったが。
「こんな感じか」
何とも表現し難い擽ったさに、年がいなく悶えてしまいそうだ。
胸の奥が暖かく、それでいて悪戯心でうずうずとする。
このままでは我慢し切れそうにない自分に、早く目を覚ませと心の内だけでささやいた。
■5.この先もお前から目が離せそうにない【一護→ルキア】
「だから!お前はちっとは考えろって言ってるだろ!!」
窓から入り込んできた死神の姿に、いきり立って訴える。
だがワンピースの裾が捲れ上がるのも気にせず表情を崩さないルキアは、きょとんとした眼差しを向けてきた。
足元で興奮して鼻血を噴出しそうなコンが叫んでいるのを、むぎゅっとその白い足で踏みにじり部屋に押し入る。
その仕草には羞恥の欠片もなく、男として意識されていないのか、それともただ単に羞恥心が欠落しているのかと頭が痛くなってきた。
前者であればプライドが刺激されるし、後者であれば色々な意味で問題だ。
こちとら若い女の生足に釘付けになる年頃なのだ。
好いた女相手なら尚のことなのに、目の前の死神はそんな一護の繊細な心など微塵も理解してくれない。
いや、理解されたらされたで困るのだけれども。
「女なんだから男の前で足を見せるな!」
裏返った声で叫べば、ふんと鼻で笑われた。
この余裕を絶対に崩してやると誓いながら、他の男の前では絶対させるかと独占欲まるだして考えた。
--お題サイト:確かに恋だったさまより--
■1.俺の目の届く範囲にいてくれ【恋次→ルキア】
昔より過保護になった気がする。
否、それは気がするだけではなく、実際にそうなのだろう。
同じ死神として戦いの場で保護する真似は、ルキアの矜持をへし折る真似は出来ない。
だが日常生活は仕方がないと思わないか。
何せ一度自分から手放した経験がある相手だ。
色々とトラウマが出来ているし、出来るなら現世にいる有袋類のように持ち歩きたいのだ。
それは仕方がない事ではないか。
「・・・・・・それ、本人に言うなよ」
「・・・お主、絶対に引かれるぞ。主じゃなかったらわしらも関わりたくないな」
至極真っ当な訴えなのに、相棒は冷たい眼差しを向けてきた。
ああ、でも見てくれ。
現世を一人歩きさせると、変な野郎がついて歩いてるんだ!
■2.どれだけ心配したと思ってる【修兵→ルキア】
現世で怪我をしたと聞き、四番隊に駆け込めば。
何故かそこの七席と一緒に、ほんわかな空気を出して談笑する少女の姿。
いつもどおり凛と背筋を伸ばし、椅子の上で微笑む姿は上品そのもの。
こちらが連絡を受けてどれだけ肝を冷やしたかなど、一切合財判っていない。
不安で早くなる鼓動を宥めるのにどれだけ苦労したとか、やりかけの仕事を部下に押し付けてきたとか、途中にあった部下のスクープに目を瞑ったとか、色々と代償はあったのに、ルキアはよりにもよって別の男と笑っている。
冷えていた心に熱が加わり、一気に過熱され火が広がる。
この場で怒り狂ったとしても、絶対に責められる謂れはないはずだ。
■3.こういう時は俺に頼れと言っただろう!【一角→ルキア】
傷つき、血を垂らしながらも強情に立ち上がる背中に舌打した。
敵の力量は明らかにルキアの上手を行き、彼女では勝つのは難しいだろう。
剣風で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられてもまだ立とうとするルキアに、堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減、助けくらい呼べ!」
眼前に迫った鋭い爪を見据え苛立ちをぶつける。
霊圧を開放し始解した相棒を構えれば、荒い息を吐きながら彼女が立ち上がったが気配で知れた。
「足手まといだ。大人しくしてろ」
叫ぶのではなく、冷静な声を響かせれば、気配はびくりと震え大人しくなった。
霊圧が弱まる。意識を失ったらしい。
やっと大人しくなった少女に視線を向ければ、綺麗な黒髪を散らしぐったりと床に倒れ伏す姿を視界に捉えた。
なんて強情なお姫様だと内心で呟き斬魄刀を振るえば、苛立ちに誘発されたように虚が消えた。
■4.俺を困らせたいとしか思えないな【浮竹→ルキア】
いつの間にか自分の腕の中で眠るルキアに、浮竹は瞬きを繰り返す。
一瞬やってしまったかと思ったが、どう思い出そうとしても如何わしい記憶は欠片も出てこない。
酒も飲んでないし、何より今はまだ昼時。
朝眠った記憶があるので、何もしていないはずだと判断する。
熱に浮かされて何かしたのかとも思ったが、意識が朦朧とする中で何かするのは無理だろう。
「・・・可愛いなぁ」
答えが出ない疑問はさっさと脇に寄せると、白い頬を指先で突付く。
普段のルキアならすぐさま離れてしまうだろうに、眠って無防備になった彼女はすやすやと寝息を立てるだけ。
そう言えば、とふと思い出す。
昔膝の上にルキアを抱えた副官が、羨ましくてしかたなかった。
どんな感じなのだろうと幾度も想像したものだったが。
「こんな感じか」
何とも表現し難い擽ったさに、年がいなく悶えてしまいそうだ。
胸の奥が暖かく、それでいて悪戯心でうずうずとする。
このままでは我慢し切れそうにない自分に、早く目を覚ませと心の内だけでささやいた。
■5.この先もお前から目が離せそうにない【一護→ルキア】
「だから!お前はちっとは考えろって言ってるだろ!!」
窓から入り込んできた死神の姿に、いきり立って訴える。
だがワンピースの裾が捲れ上がるのも気にせず表情を崩さないルキアは、きょとんとした眼差しを向けてきた。
足元で興奮して鼻血を噴出しそうなコンが叫んでいるのを、むぎゅっとその白い足で踏みにじり部屋に押し入る。
その仕草には羞恥の欠片もなく、男として意識されていないのか、それともただ単に羞恥心が欠落しているのかと頭が痛くなってきた。
前者であればプライドが刺激されるし、後者であれば色々な意味で問題だ。
こちとら若い女の生足に釘付けになる年頃なのだ。
好いた女相手なら尚のことなのに、目の前の死神はそんな一護の繊細な心など微塵も理解してくれない。
いや、理解されたらされたで困るのだけれども。
「女なんだから男の前で足を見せるな!」
裏返った声で叫べば、ふんと鼻で笑われた。
この余裕を絶対に崩してやると誓いながら、他の男の前では絶対させるかと独占欲まるだして考えた。
お猫様のすすめ10のお題
--お題サイト:お題配布処-ふにふにさま-より--
■1.ふてぶてしいやつ!【土方&神楽】
「だから酢昆布十年分上納しろって言ってんだろうが、コノヤロー」
「だから何で俺がお前に酢昆布上納しなきゃなんねぇんだって言ってんだろが!」
可愛い顔をこの上なく歪めた神楽に、身長差があるのに何故か見下した眼差しを向けられびしりと額に青筋が浮く。
彼女との付き合いも(認めたくないが)随分と長いものになりつつあるが、育ての親が悪いのか、それとも元々素養があったのか、顔に似合わずチンピラ並にメンチを切っている。
鬼の副長と呼ばれる自分相手に随分と肝が据わっているが、感心する気は微塵もない。
どころかこれほどむかつく相手も中々おらず、どS王子と、天パの銀髪くらいしか思いつかない。
神楽の場合、思春期から銀髪のところで過ごしていたために悪影響を受け過ぎたのだろう。
彼女の罪は最小だ。そう考えねば今すぐにでも女相手に抜刀してしまいそうで、唇を噛み締め何とか怒りを押し殺そうとする。
しかしそんな土方の努力を嘲笑うように口を三日月形にした神楽は、益々憎たらしい顔つきになった。
「おうおうおう、お巡りさんの癖に庶民相手に抜刀する気アルか?か弱い女子供相手に刀向ける気アルか?市民の血税で生きてるお前らが市民に手を上げる気アルか~?」
その巻き舌の腹立たしさと言ったらない。
小奇麗な顔で騙されがちだが、目の前の少女は可愛さなど欠片も持ち合わせていない。
ほとんど表情を動かさないくせに、こんな時ばかり厭らしさを交えた笑みを浮かべ詰め寄る姿はチンピラ以上に性質が悪い。
元々短い土方の堪忍袋の緒は、ぶちっと切れた。
そう、それはもう修復不可能な具合に、ぶっちりと。
「んだと、テメェ!その性根叩き直してやるからそこに直れ!!大体税金払ってねぇお前に血税どうのこうの言う権利があると思ってんのか!!ふざけんな!か弱い女子供?んな愛らしい区分に収まるつもりか、お前はよぉ!!」
絶叫すれば少しだけすっきりした気がした。
しかし次の瞬間、ざっと音を立てて血の気が下がる。
ここは駄菓子屋の前。ついでに言えば、公共の道の真ん中。
歩く市民の視線と、こちらをちらちらと見ながら囁かれる言葉が痛い。
何が痛いって、聞こえるか聞こえないかで耳に入る『ロリコン』とか『アダルトチルドレン』とか『変質者』とか地味な悪口が心に刺さる。
しまった、と思っても後の祭り。
目の前に視線を戻せば、先ほどまでの小憎らしい笑顔など嘘だったように、にこり、と子供らしい無邪気な笑みを浮かべた神楽の姿。
「この場で『ロリコン趣味のヘンタイに犯されるー!助けてお巡りさーん!』と叫ばれたくなければ、さっさと酢昆布上納するヨロシ、大串君」
「・・・大串君じゃねぇ」
がくり、と項垂れながら敗北宣言に近い呟きを漏らせば、どS王子並に綺麗な顔をした少女は満足そうに頷いた。
■2.可愛くないなぁ、お前【銀時&神楽】
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「ん~何だ、神楽?」
腕の中から見上げる蒼い瞳を見つめれば、無表情で銀時の視線を受け止めた少女は僅かに眉を顰める。
だがその程度で今の銀時のテンションは下がらない。
珍しくマダオの奢りで屋台で好き放題酒を飲んだ。
おでんは美味しく、酔いはほどいい。
気分はふわふわと昂揚し、世界は自分を中心に回っていると断言できる。
腕の中の神楽は黙っていれば人形のように愛らしく、擦り寄れば大好きな糖分と似た甘い香がした。
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「何だ~?」
普段は見せないが、銀時はこれでいて神楽を可愛がっていた。
どれくらい可愛がっているかというと、目の中に入れてランダバを踊られても平気なくらいに可愛がっていた。
素直じゃない性質からそれを口にする気はないが、大事で可愛い娘だし、変な虫がつかないよう気を張っている。
特に真選組に居るマヨラーだとかドS王子とかあいつらは駄目だ。
町のナンパ野郎と違って中身を知りつつ神楽の傍に居るのが腹が立つ。
その点でいけばよっちゃんや新八も危ないが、やつらは子供だから除外してもいい。
数年後に何か行動を起こそうとしたら、男の大事な部分をちょん切る覚悟で今を楽しめと嘲笑ってやっておく。
他にももろもろの男の顔を脳裏に浮かべながら徐々に不機嫌になっていくと、また腕の中から呼びかけられた。
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「んー?どした?」
自分でも甘ったるいと思う声。
けれど羞恥心も理性もかっとんでいる今なら平気だ。
好きなだけ甘やかし、好きなだけ甘えてもどうせ何もかも酒の所為。
明日になれば全て忘れる。
今は泡沫の夢に等しい。
だから腕の中の少女を可愛がっても、何の罪にもなりはしない。
酔っ払いの理屈を展開する銀時に、神楽がにっこり微笑んだ。
花も恥らう微笑みは、身内の贔屓目なしに可愛らしい。
桃色の唇が持ち上がり、夢見るような眼差しが向けられる。
「酒臭ぇんだよ、この酔っ払いが」
一転して凄まじく蔑みの表情を向けられ、思わず体が凍りついた。
動けずにいる銀時を睥睨し、ぺっと痰を吐いた彼女はさっさと自分の部屋に戻っていった。
■3.なんで逃げるの【沖田&神楽】
「追ってくんなヨ、このドS野郎!」
「逃げると追いたくなるのが人間の本能だろ。追われたくないなら逃げんじゃねぇよ」
「ふざけるなアル!お前とは極力関わるなって銀ちゃんに言われてるネ!」
「旦那に?馬鹿だな、チャイナ。言いつけは破るためにあるんだぜぃ」
「私もお前と関わりたくないネ!よってお前の提案は却下アル!」
凄まじい勢いで走る背中を追いかける。
緋色のチャイナ服に、青の番傘。蒼の髪留めに靡く桃色の髪。
全てが沖田の闘争心を掻き立て、獲物を追う獣のように全身が躍動する。
加減抜きで全力で走っているのにその距離は一向に縮まらず、むしろ徐々に開いている事実に自然と唇が弧を描く。
強い獲物は好きだ───いたぶり甲斐があるなら尚更。
「待てよ、チャイナ!」
「絶対に嫌アル!」
今日も彼らは全力で生きている。
■4.ご主人様と遊んでよ・・・【近藤&神楽】
「なぁ、チャイナさん。もうちょっとこっちに来てもいいんじゃないか?」
「嫌アル。無理アル」
「嫌はともかく無理ってどういうこと?ねぇ、それはちょっと酷くない?」
「無理アル。お前という存在そのものが無理アル」
「え?何か存在から否定?俺っていう存在から拒否?」
あっさりと放たれた言葉にがくりと肩を落とす。
非番なので町を散策し妙の姿を探していたのだが、声をかけてきた子供にたかられること早一時間。
そろそろ財布の中身もつきそうで、近藤のライフゲージもつきそうだ。
近藤の奢りで十杯目のカキ氷をかき込んでいる彼女の胃は底なしだ。
牛丼、酢昆布、おにぎりと続き、素晴らしい食いっぷりだ。
元来子供好きの近藤は、ついつい強請られるままに与えてしまったが、これはやりすぎかもしれない。
人慣れぬ子猫のような彼女と仲良くなろうと考えたのがいけなかった。
妙が可愛がる妹分としてだけではなく、近藤は神楽を可愛いと思う。
素直じゃない素振りでいるが心根は酷く真っ直ぐで、そんなところを自分の部下達が気に入ってるのは知っていた。
親交を深めようと始めから邪心があったのがいけないのだろうか。
一定距離からこちらに近づかない少女に、それでも近藤の脂は下がった。
「チャイナさん、おでんは好きか?」
「好きアル!」
真選組一諦めの悪い男の挑戦は続く。
■5.お気に召しませんでしたか【桂&神楽】
「ヅラぁ!!」
「む?何だ、リーダー」
「何だじゃないアル!お前、舐めてんのかコルァ!」
叫び声と同時に、顔に熱い何かが強襲する。
熱さも相当だが、口にした瞬間喉が焼けるように熱くなり、思わず地面に転がりながら慌ててそれを振り払った。
「あつつつつつつ!そして辛っ!!」
激からカレーは名に違わず桂の喉を焼き、胃の中を灼熱地獄と変えた。
胃の中でカレーの精がタンゴを踊っている。
情熱的に踵を踏み鳴らし、胃の中で荒れ狂っていた。
あまりの苦しさに水を探すが、命の水は目の前で神楽に飲み干された。
砂漠で水を失った旅人のように絶望に陥る桂を見下し、神楽は静かに断言した。
「カレーは激からじゃなく甘口、もしくは中辛だって言ってんだろうがコノヤロー!カレー好きイエローとして己のアイデンティティを失ってんじゃないアル!!」
見た目は小さいが器は大きいリーダーの言葉に、桂はその場で平伏した。
■6.ねだる時だけ、甘い声【新八&神楽】
「新八、お願い」
こんな時だけ自分の愛らしい容貌を思い切り利用する悪魔に、新八は冷静を保とうと眼鏡のつるを指先で押し上げる。
しかし悪魔は魅了の力を自覚しており、逃げに入ったのを察知すると益々媚びた眼差しを送ってきた。
「ねぇ、新八」
「・・・駄目」
「お願いヨ」
「駄目って言ったら、駄目」
「一生のお願いアル」
「それ、先週も聞いた」
「今度こそ本当ネ!新八の手伝いもちゃんとするし、酔っ払った銀ちゃんも布団で寝かすアル。だからお願いヨ!」
「・・・手伝いはともかく、銀さんは放っといていいよ。どうせ風邪引かないし」
さくさくとスーパーの中で特売品を物色しながら告げれば、ぷっと河豚のように頬を膨らました神楽が通路に割り込んできた。
仕方なしに視線を向けると、蒼の瞳がじっと見詰めてくる。
黙っていれば文句なしに可愛い神楽にぐぅと喉がなった。
「お願いヨ、新八」
「・・・もう、今度で最後だからね」
「ありがとうアル!」
仏頂面から満面の笑みへとぱっと表情を変化させ、神楽はお菓子コーナーへと走っていく。
そこにあるのは、お徳用酢昆布セットだ。
神楽曰く、通常の味と梅昆布味とセットで通常価格と数十円しか違わぬ最高の贅沢品らしい。
二百円にも満たないそれを最高の贅沢と言い切る今の生活に涙しないわけでもないが、彼女のエンゲル係数は半端ないのでもうしばらくは我慢して欲しい。
そう、新八がもっとお金を稼いで、贅沢とは何たるかを教えれるようになるまで。
そんな将来が来るまで一緒にいられたらいいのにと望む自分を自覚しないまま、タイムセールスに向け準備運動を始めた彼が、無自覚の想いを自覚するのはそう遠くはないだろう。
■7.上等な毛並み、上等な根性【お妙&神楽】
血統書付きの猫のようだ、と彼女を表現したのは仕事先の同僚だった。
癖一つない桃色の髪。
日に焼けない白すぎる肌。
空と海を混ぜた蒼い瞳。
つんと上を向く形の良い鼻に、ぷくりとした桜色の唇。
大きい目には長い睫毛が存在を主張し、華奢な体つきは触れれば折れそうで庇護欲を誘う。
体つきは小さいのに、相反して存在感は大きい。
きっとそれは、彼女自身がいつだって背筋を伸ばして生きているからで、その心が折れずに強い美しいものだからだろう。
無防備に家の縁側で大福を貪る神楽の髪に手を伸ばし、さらり、と撫ぜる。
すると他の誰にだって警戒心を強めるはずの彼女は、妙に向かって瞳を向けると小首を傾げただけでそのまま行為を享受した。
黙ってされるがままになる少女に、にこりと微笑む。
子供ではあるが矜持の高い彼女がされるがままになる相手など、片手で数えれる程度だろう。
はっきりと口にするより判りやすい好意のあり方に、胸の奥がぽっと暖かくなる。
好きと口にされるよりずっと、この信頼は妙に充足感と満足感を与えた。
「どうしたアルか、姐御」
「髪の毛が跳ねていたから直したのよ。女の子なんだから身だしなみに気をつけなきゃ駄目よ、神楽ちゃん。己を磨き、将来的に食虫植物にひきつけられるように群がる男たちを手玉に取るのは、いい女の特権よ。そのためにも努力は惜しんじゃ駄目」
「はーい。判ったアル」
妙の言葉に何の疑いも持たず、神楽はこくりと頷いた。
素直な様子に気分を良くし、飼い猫の毛並みを整えるように丁寧に髪を抄く。
子猫が母親に甘えるように、この子も喉を鳴らさないかと密かに考えた昼下がり。
■8.生傷が絶えない【高杉&神楽】
「堕ちちまえば早いんだよ」
そう言って哂えば、まるで虫けらを見るような眼差しを向けられた。
嫌悪と憎悪が混じる視線は子供が向けるには迫力がありすぎて、背筋を走る興奮に気分が昂揚する。
絶滅寸前の戦闘種族夜兎の娘。
小作りで愛らしい顔にも、抜けるような肌の色にも、抱き潰したくなる華奢な体にも興味はない。
ただその小さな体が抱える闇にこそ、高杉は興味を持っていた。
闇に愛され陽に拒絶された生き物は、夜に躍動してこそ美しい。
白い肌は赤い、紅い血に濡れてこそ映えるもの。
蒼い瞳は月夜に輝いてこそ煌くもの。
全てを開放し暴れる兔はいかほどのものだろうか。
兔と名に付くくせに、牙も鋭く爪もある。
凶暴性を胸奥に秘め、いつまで獣を飼いならす気なのだろうか。
白い肌は繊細な見目とは違い、傷つけても傷つけてもすぐに皮膚が再生する。
再生されたばかりの肌は薄桃色で、糸のような傷跡が幾つも幾つも浮かび上がる。
腕を突っ込んで穴を開けてもきっと放っておけば再生が始まるのだろう。
夜兎とはそういう生き物で、だからこそ刹那を生きるために戦いに興じるのだ。
「ぶっ壊れちまえば楽なのによ。お前の中の獣は、飼い殺すには勿体ねぇ」
「関係ないネ。私は戦うと決めたアル。一人にならないために、私は私と戦うネ」
子供が言うにしては随分な台詞だ。
だが喜怒哀楽全ての感情をこそぎ落とした女が告げるには、酷く婀娜っぽいものと映った。
くつり、と喉が震える。
邪気がなさそうに見える瞳に、闇を植えつけたらとても愉快だろうに。
■9.とっておきの可愛い顔【星海坊主&神楽】
「・・・いい顔、してるよなぁ」
星屑を散りばめた闇の中、飛んでいく鉄屑の中で受け取った手紙に添付された写真を見て星海坊主は瞳を和ました。
そこに居るのはエイリアンハンターとして絶大の信頼を得る最強の男ではなく、可愛い娘を思う一人の父親。
いつの間にか父親が思うよりも大きくなっていた娘は、生まれた星を飛び出して勝手に地球に止まり木を作っていた。
いつか飛び立つ束の間の居場所だと嘯いて、酷く安堵した安らいだ顔で笑った。
本当ならその居場所は他の誰かではなく父親の自分が提供しなくてはいけないものだったのに、与えてやれなかった父親を詰るでもなく神楽はただそこに居た。
守ってやりたいと願っていた。
殺したくないと恐怖した。
しかし娘は、そんな父親の思惑など空の彼方に蹴っ飛ばし、自分の生き方を押し通した。
兄にも自分にも似なかった娘。
神楽は誰よりも強く、魂が綺麗な子供だった。
「父親として、妬けちまうな神楽ちゃん」
笑顔でピースサインをする彼女の脇には万事屋の男たち。
自分が贈った緋色のチャイナドレスを纏う少女は、両脇の男たちに腕を絡め全開の笑顔を咲かせていた。
その笑顔は、雨ばかり降るあの星では、滅多に見られない特別なものだった。
■10.そろそろ機嫌直してくれませんか【定春&神楽】
「きゅーん」
公園のベンチの上で体育座りをする主に湿った鼻を押し付ける。
いつもだったら笑顔で相手をしてくれるはずなのに、何の反応もしないで主はそこにいた。
晴れた日には傘を差すくせに、雨の中ただ濡れる主に、自分もびしょ濡れになりながらぱしりと尻尾を振る。
水溜りが泥を跳ねたが、真っ白な毛並みを汚しても気にならなかった。
自分とお揃いで真っ白な肌をしている主は、目と鼻と頬を真っ赤に染めて声を殺して泣いている。
雨の雫に混じって零れる涙に気付いたのは、ぺろりと舐めた先が塩辛かったから。
嗚咽を殺し泣き顔を隠さず、雨を顔で受けながら空を見上げる主は、悲しい事に美しかった。
「わんわん」
「・・・・・・定春、帰るヨロシ」
「わん」
「定春」
「わんわん!!」
言葉が伝わらないのがもどかしい。
何故自分は犬の言葉しか話せないのだろう。
主は兔でも人語を操る。
どうして自分は駄目なのだろう。
幾ら吼えても言葉は伝わらない。
だから代わりにぺろりと頬をひと舐めすれば、塩気がもっと濃くなった。
「わん!」
冷たくなった体がこれ以上冷えないよう寄り添えば、遠慮がちに回された腕が首を抱いた。
--お題サイト:お題配布処-ふにふにさま-より--
■1.ふてぶてしいやつ!【土方&神楽】
「だから酢昆布十年分上納しろって言ってんだろうが、コノヤロー」
「だから何で俺がお前に酢昆布上納しなきゃなんねぇんだって言ってんだろが!」
可愛い顔をこの上なく歪めた神楽に、身長差があるのに何故か見下した眼差しを向けられびしりと額に青筋が浮く。
彼女との付き合いも(認めたくないが)随分と長いものになりつつあるが、育ての親が悪いのか、それとも元々素養があったのか、顔に似合わずチンピラ並にメンチを切っている。
鬼の副長と呼ばれる自分相手に随分と肝が据わっているが、感心する気は微塵もない。
どころかこれほどむかつく相手も中々おらず、どS王子と、天パの銀髪くらいしか思いつかない。
神楽の場合、思春期から銀髪のところで過ごしていたために悪影響を受け過ぎたのだろう。
彼女の罪は最小だ。そう考えねば今すぐにでも女相手に抜刀してしまいそうで、唇を噛み締め何とか怒りを押し殺そうとする。
しかしそんな土方の努力を嘲笑うように口を三日月形にした神楽は、益々憎たらしい顔つきになった。
「おうおうおう、お巡りさんの癖に庶民相手に抜刀する気アルか?か弱い女子供相手に刀向ける気アルか?市民の血税で生きてるお前らが市民に手を上げる気アルか~?」
その巻き舌の腹立たしさと言ったらない。
小奇麗な顔で騙されがちだが、目の前の少女は可愛さなど欠片も持ち合わせていない。
ほとんど表情を動かさないくせに、こんな時ばかり厭らしさを交えた笑みを浮かべ詰め寄る姿はチンピラ以上に性質が悪い。
元々短い土方の堪忍袋の緒は、ぶちっと切れた。
そう、それはもう修復不可能な具合に、ぶっちりと。
「んだと、テメェ!その性根叩き直してやるからそこに直れ!!大体税金払ってねぇお前に血税どうのこうの言う権利があると思ってんのか!!ふざけんな!か弱い女子供?んな愛らしい区分に収まるつもりか、お前はよぉ!!」
絶叫すれば少しだけすっきりした気がした。
しかし次の瞬間、ざっと音を立てて血の気が下がる。
ここは駄菓子屋の前。ついでに言えば、公共の道の真ん中。
歩く市民の視線と、こちらをちらちらと見ながら囁かれる言葉が痛い。
何が痛いって、聞こえるか聞こえないかで耳に入る『ロリコン』とか『アダルトチルドレン』とか『変質者』とか地味な悪口が心に刺さる。
しまった、と思っても後の祭り。
目の前に視線を戻せば、先ほどまでの小憎らしい笑顔など嘘だったように、にこり、と子供らしい無邪気な笑みを浮かべた神楽の姿。
「この場で『ロリコン趣味のヘンタイに犯されるー!助けてお巡りさーん!』と叫ばれたくなければ、さっさと酢昆布上納するヨロシ、大串君」
「・・・大串君じゃねぇ」
がくり、と項垂れながら敗北宣言に近い呟きを漏らせば、どS王子並に綺麗な顔をした少女は満足そうに頷いた。
■2.可愛くないなぁ、お前【銀時&神楽】
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「ん~何だ、神楽?」
腕の中から見上げる蒼い瞳を見つめれば、無表情で銀時の視線を受け止めた少女は僅かに眉を顰める。
だがその程度で今の銀時のテンションは下がらない。
珍しくマダオの奢りで屋台で好き放題酒を飲んだ。
おでんは美味しく、酔いはほどいい。
気分はふわふわと昂揚し、世界は自分を中心に回っていると断言できる。
腕の中の神楽は黙っていれば人形のように愛らしく、擦り寄れば大好きな糖分と似た甘い香がした。
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「何だ~?」
普段は見せないが、銀時はこれでいて神楽を可愛がっていた。
どれくらい可愛がっているかというと、目の中に入れてランダバを踊られても平気なくらいに可愛がっていた。
素直じゃない性質からそれを口にする気はないが、大事で可愛い娘だし、変な虫がつかないよう気を張っている。
特に真選組に居るマヨラーだとかドS王子とかあいつらは駄目だ。
町のナンパ野郎と違って中身を知りつつ神楽の傍に居るのが腹が立つ。
その点でいけばよっちゃんや新八も危ないが、やつらは子供だから除外してもいい。
数年後に何か行動を起こそうとしたら、男の大事な部分をちょん切る覚悟で今を楽しめと嘲笑ってやっておく。
他にももろもろの男の顔を脳裏に浮かべながら徐々に不機嫌になっていくと、また腕の中から呼びかけられた。
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「んー?どした?」
自分でも甘ったるいと思う声。
けれど羞恥心も理性もかっとんでいる今なら平気だ。
好きなだけ甘やかし、好きなだけ甘えてもどうせ何もかも酒の所為。
明日になれば全て忘れる。
今は泡沫の夢に等しい。
だから腕の中の少女を可愛がっても、何の罪にもなりはしない。
酔っ払いの理屈を展開する銀時に、神楽がにっこり微笑んだ。
花も恥らう微笑みは、身内の贔屓目なしに可愛らしい。
桃色の唇が持ち上がり、夢見るような眼差しが向けられる。
「酒臭ぇんだよ、この酔っ払いが」
一転して凄まじく蔑みの表情を向けられ、思わず体が凍りついた。
動けずにいる銀時を睥睨し、ぺっと痰を吐いた彼女はさっさと自分の部屋に戻っていった。
■3.なんで逃げるの【沖田&神楽】
「追ってくんなヨ、このドS野郎!」
「逃げると追いたくなるのが人間の本能だろ。追われたくないなら逃げんじゃねぇよ」
「ふざけるなアル!お前とは極力関わるなって銀ちゃんに言われてるネ!」
「旦那に?馬鹿だな、チャイナ。言いつけは破るためにあるんだぜぃ」
「私もお前と関わりたくないネ!よってお前の提案は却下アル!」
凄まじい勢いで走る背中を追いかける。
緋色のチャイナ服に、青の番傘。蒼の髪留めに靡く桃色の髪。
全てが沖田の闘争心を掻き立て、獲物を追う獣のように全身が躍動する。
加減抜きで全力で走っているのにその距離は一向に縮まらず、むしろ徐々に開いている事実に自然と唇が弧を描く。
強い獲物は好きだ───いたぶり甲斐があるなら尚更。
「待てよ、チャイナ!」
「絶対に嫌アル!」
今日も彼らは全力で生きている。
■4.ご主人様と遊んでよ・・・【近藤&神楽】
「なぁ、チャイナさん。もうちょっとこっちに来てもいいんじゃないか?」
「嫌アル。無理アル」
「嫌はともかく無理ってどういうこと?ねぇ、それはちょっと酷くない?」
「無理アル。お前という存在そのものが無理アル」
「え?何か存在から否定?俺っていう存在から拒否?」
あっさりと放たれた言葉にがくりと肩を落とす。
非番なので町を散策し妙の姿を探していたのだが、声をかけてきた子供にたかられること早一時間。
そろそろ財布の中身もつきそうで、近藤のライフゲージもつきそうだ。
近藤の奢りで十杯目のカキ氷をかき込んでいる彼女の胃は底なしだ。
牛丼、酢昆布、おにぎりと続き、素晴らしい食いっぷりだ。
元来子供好きの近藤は、ついつい強請られるままに与えてしまったが、これはやりすぎかもしれない。
人慣れぬ子猫のような彼女と仲良くなろうと考えたのがいけなかった。
妙が可愛がる妹分としてだけではなく、近藤は神楽を可愛いと思う。
素直じゃない素振りでいるが心根は酷く真っ直ぐで、そんなところを自分の部下達が気に入ってるのは知っていた。
親交を深めようと始めから邪心があったのがいけないのだろうか。
一定距離からこちらに近づかない少女に、それでも近藤の脂は下がった。
「チャイナさん、おでんは好きか?」
「好きアル!」
真選組一諦めの悪い男の挑戦は続く。
■5.お気に召しませんでしたか【桂&神楽】
「ヅラぁ!!」
「む?何だ、リーダー」
「何だじゃないアル!お前、舐めてんのかコルァ!」
叫び声と同時に、顔に熱い何かが強襲する。
熱さも相当だが、口にした瞬間喉が焼けるように熱くなり、思わず地面に転がりながら慌ててそれを振り払った。
「あつつつつつつ!そして辛っ!!」
激からカレーは名に違わず桂の喉を焼き、胃の中を灼熱地獄と変えた。
胃の中でカレーの精がタンゴを踊っている。
情熱的に踵を踏み鳴らし、胃の中で荒れ狂っていた。
あまりの苦しさに水を探すが、命の水は目の前で神楽に飲み干された。
砂漠で水を失った旅人のように絶望に陥る桂を見下し、神楽は静かに断言した。
「カレーは激からじゃなく甘口、もしくは中辛だって言ってんだろうがコノヤロー!カレー好きイエローとして己のアイデンティティを失ってんじゃないアル!!」
見た目は小さいが器は大きいリーダーの言葉に、桂はその場で平伏した。
■6.ねだる時だけ、甘い声【新八&神楽】
「新八、お願い」
こんな時だけ自分の愛らしい容貌を思い切り利用する悪魔に、新八は冷静を保とうと眼鏡のつるを指先で押し上げる。
しかし悪魔は魅了の力を自覚しており、逃げに入ったのを察知すると益々媚びた眼差しを送ってきた。
「ねぇ、新八」
「・・・駄目」
「お願いヨ」
「駄目って言ったら、駄目」
「一生のお願いアル」
「それ、先週も聞いた」
「今度こそ本当ネ!新八の手伝いもちゃんとするし、酔っ払った銀ちゃんも布団で寝かすアル。だからお願いヨ!」
「・・・手伝いはともかく、銀さんは放っといていいよ。どうせ風邪引かないし」
さくさくとスーパーの中で特売品を物色しながら告げれば、ぷっと河豚のように頬を膨らました神楽が通路に割り込んできた。
仕方なしに視線を向けると、蒼の瞳がじっと見詰めてくる。
黙っていれば文句なしに可愛い神楽にぐぅと喉がなった。
「お願いヨ、新八」
「・・・もう、今度で最後だからね」
「ありがとうアル!」
仏頂面から満面の笑みへとぱっと表情を変化させ、神楽はお菓子コーナーへと走っていく。
そこにあるのは、お徳用酢昆布セットだ。
神楽曰く、通常の味と梅昆布味とセットで通常価格と数十円しか違わぬ最高の贅沢品らしい。
二百円にも満たないそれを最高の贅沢と言い切る今の生活に涙しないわけでもないが、彼女のエンゲル係数は半端ないのでもうしばらくは我慢して欲しい。
そう、新八がもっとお金を稼いで、贅沢とは何たるかを教えれるようになるまで。
そんな将来が来るまで一緒にいられたらいいのにと望む自分を自覚しないまま、タイムセールスに向け準備運動を始めた彼が、無自覚の想いを自覚するのはそう遠くはないだろう。
■7.上等な毛並み、上等な根性【お妙&神楽】
血統書付きの猫のようだ、と彼女を表現したのは仕事先の同僚だった。
癖一つない桃色の髪。
日に焼けない白すぎる肌。
空と海を混ぜた蒼い瞳。
つんと上を向く形の良い鼻に、ぷくりとした桜色の唇。
大きい目には長い睫毛が存在を主張し、華奢な体つきは触れれば折れそうで庇護欲を誘う。
体つきは小さいのに、相反して存在感は大きい。
きっとそれは、彼女自身がいつだって背筋を伸ばして生きているからで、その心が折れずに強い美しいものだからだろう。
無防備に家の縁側で大福を貪る神楽の髪に手を伸ばし、さらり、と撫ぜる。
すると他の誰にだって警戒心を強めるはずの彼女は、妙に向かって瞳を向けると小首を傾げただけでそのまま行為を享受した。
黙ってされるがままになる少女に、にこりと微笑む。
子供ではあるが矜持の高い彼女がされるがままになる相手など、片手で数えれる程度だろう。
はっきりと口にするより判りやすい好意のあり方に、胸の奥がぽっと暖かくなる。
好きと口にされるよりずっと、この信頼は妙に充足感と満足感を与えた。
「どうしたアルか、姐御」
「髪の毛が跳ねていたから直したのよ。女の子なんだから身だしなみに気をつけなきゃ駄目よ、神楽ちゃん。己を磨き、将来的に食虫植物にひきつけられるように群がる男たちを手玉に取るのは、いい女の特権よ。そのためにも努力は惜しんじゃ駄目」
「はーい。判ったアル」
妙の言葉に何の疑いも持たず、神楽はこくりと頷いた。
素直な様子に気分を良くし、飼い猫の毛並みを整えるように丁寧に髪を抄く。
子猫が母親に甘えるように、この子も喉を鳴らさないかと密かに考えた昼下がり。
■8.生傷が絶えない【高杉&神楽】
「堕ちちまえば早いんだよ」
そう言って哂えば、まるで虫けらを見るような眼差しを向けられた。
嫌悪と憎悪が混じる視線は子供が向けるには迫力がありすぎて、背筋を走る興奮に気分が昂揚する。
絶滅寸前の戦闘種族夜兎の娘。
小作りで愛らしい顔にも、抜けるような肌の色にも、抱き潰したくなる華奢な体にも興味はない。
ただその小さな体が抱える闇にこそ、高杉は興味を持っていた。
闇に愛され陽に拒絶された生き物は、夜に躍動してこそ美しい。
白い肌は赤い、紅い血に濡れてこそ映えるもの。
蒼い瞳は月夜に輝いてこそ煌くもの。
全てを開放し暴れる兔はいかほどのものだろうか。
兔と名に付くくせに、牙も鋭く爪もある。
凶暴性を胸奥に秘め、いつまで獣を飼いならす気なのだろうか。
白い肌は繊細な見目とは違い、傷つけても傷つけてもすぐに皮膚が再生する。
再生されたばかりの肌は薄桃色で、糸のような傷跡が幾つも幾つも浮かび上がる。
腕を突っ込んで穴を開けてもきっと放っておけば再生が始まるのだろう。
夜兎とはそういう生き物で、だからこそ刹那を生きるために戦いに興じるのだ。
「ぶっ壊れちまえば楽なのによ。お前の中の獣は、飼い殺すには勿体ねぇ」
「関係ないネ。私は戦うと決めたアル。一人にならないために、私は私と戦うネ」
子供が言うにしては随分な台詞だ。
だが喜怒哀楽全ての感情をこそぎ落とした女が告げるには、酷く婀娜っぽいものと映った。
くつり、と喉が震える。
邪気がなさそうに見える瞳に、闇を植えつけたらとても愉快だろうに。
■9.とっておきの可愛い顔【星海坊主&神楽】
「・・・いい顔、してるよなぁ」
星屑を散りばめた闇の中、飛んでいく鉄屑の中で受け取った手紙に添付された写真を見て星海坊主は瞳を和ました。
そこに居るのはエイリアンハンターとして絶大の信頼を得る最強の男ではなく、可愛い娘を思う一人の父親。
いつの間にか父親が思うよりも大きくなっていた娘は、生まれた星を飛び出して勝手に地球に止まり木を作っていた。
いつか飛び立つ束の間の居場所だと嘯いて、酷く安堵した安らいだ顔で笑った。
本当ならその居場所は他の誰かではなく父親の自分が提供しなくてはいけないものだったのに、与えてやれなかった父親を詰るでもなく神楽はただそこに居た。
守ってやりたいと願っていた。
殺したくないと恐怖した。
しかし娘は、そんな父親の思惑など空の彼方に蹴っ飛ばし、自分の生き方を押し通した。
兄にも自分にも似なかった娘。
神楽は誰よりも強く、魂が綺麗な子供だった。
「父親として、妬けちまうな神楽ちゃん」
笑顔でピースサインをする彼女の脇には万事屋の男たち。
自分が贈った緋色のチャイナドレスを纏う少女は、両脇の男たちに腕を絡め全開の笑顔を咲かせていた。
その笑顔は、雨ばかり降るあの星では、滅多に見られない特別なものだった。
■10.そろそろ機嫌直してくれませんか【定春&神楽】
「きゅーん」
公園のベンチの上で体育座りをする主に湿った鼻を押し付ける。
いつもだったら笑顔で相手をしてくれるはずなのに、何の反応もしないで主はそこにいた。
晴れた日には傘を差すくせに、雨の中ただ濡れる主に、自分もびしょ濡れになりながらぱしりと尻尾を振る。
水溜りが泥を跳ねたが、真っ白な毛並みを汚しても気にならなかった。
自分とお揃いで真っ白な肌をしている主は、目と鼻と頬を真っ赤に染めて声を殺して泣いている。
雨の雫に混じって零れる涙に気付いたのは、ぺろりと舐めた先が塩辛かったから。
嗚咽を殺し泣き顔を隠さず、雨を顔で受けながら空を見上げる主は、悲しい事に美しかった。
「わんわん」
「・・・・・・定春、帰るヨロシ」
「わん」
「定春」
「わんわん!!」
言葉が伝わらないのがもどかしい。
何故自分は犬の言葉しか話せないのだろう。
主は兔でも人語を操る。
どうして自分は駄目なのだろう。
幾ら吼えても言葉は伝わらない。
だから代わりにぺろりと頬をひと舐めすれば、塩気がもっと濃くなった。
「わん!」
冷たくなった体がこれ以上冷えないよう寄り添えば、遠慮がちに回された腕が首を抱いた。
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