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今日も今日とて絶好のサボり日和。
心地よい太陽の元、腕枕をしてまどろんでいたら目を見開いた先には可愛らしいパンダのワンポイントパンツがあった。
思わず瞬きを繰り返し、目を眇めて注視する。


「・・・お前、何やってんだよぃ」
「何って、マルコの観察?」
「何で疑問系?」
「いやぁ、何となく」


しししっと独特の笑みを浮かべた少女は、丸見えのパンツを隠すことなく、堂々とした態度でそこに居た。
別に見たかったわけでもないが、見続けるのもあれな気がして、ため息混じりに瞼を閉じる。


「どうした?」
「どうしたじゃねぇよぃ。お前、パンツが丸見えだ」
「パンツ?何だ、悩殺されちまったか?」
「・・・パンダパンツが厚かましいこと言ってんじゃねぇよぃ。俺を悩殺したきゃ、赤の紐パンスケスケレースでも穿いて来い」
「具体的だな。しかも、親父入ってる」
「お前よりは親父だ」


丸見えだと忠告したにも関わらず、ぶらぶらと足を振る子供に深く息を吐く。
見てしまったことが知れたらこっちが命の危険を伴うのに、それを知ってか知らずか随分と無邪気な様子だ。
年頃の女ならもう少し恥じらいを覚えた方がいいだろうが、年よりも精神年齢が低いのだから仕方ない。
注意するのも面倒だが、ここで放置しておくのも出来ず仕方なしに瞼を閉じたまま口を開く。


「降りて来い。そんなとこに居たらエースが心配する」
「えー?でも、今この場にエース居ねぇぞ」
「俺がチクるって言ってんだよぃ」
「そりゃ卑怯だぞ、マルコ」


文句を言いながらも、給水塔から飛び降りた気配に、マルコは再び瞼を開けた。
本当なら飛び降りるのもどうかと思うが、少しは妥協しないと本格的に臍を曲げるので無言を通す。
代わりに眉根を寄せ渋い顔をして見せたが、太陽のように笑う彼女に意思は伝わらなかった。


「お前、こんなとこで何やってんだ?」
「しししッ、マルコと同じだ。今の授業は数学だからな、サボり!」
「数学。お前、確か数学は担任のスモーカーじゃねぇのかよぃ?」
「おう!ケムリン、細かくてうるせぇからな。宿題忘れたし、授業出るの止めた」
「・・・そりゃお前が悪いだろうが。宿題くらいちゃんとやれ」
「ええー?こんなとこでサボってるマルコに言われたくねぇな」


エースにならわかるけどな。
そう言って笑ったルフィに、納得だな、とマルコも頷く。
確かにこんなところでサボりを決め込んでいるマルコが言っても説得力はないだろう。
しかしながら。


「おれはお前ほど馬鹿じゃねぇからいいんだよぃ。お前は下から数えた方が早いが、おれは上からの方が早い」
「ま、確かにそうだなー」


さりげなく貶されたのにケラケラと笑って流すルフィに肩を竦める。
こんなところが彼女のいいところだと知っているが、同時に短所だと知っている。
良くも悪くもザルの目が粗いのがルフィだった。


「それで?おれに何か用か?」
「用はねぇ!」
「・・・ああ、そうかぃ」
「でも、エースの最近の様子が聞きてぇ」
「そりゃ結局用があるんじゃねぇかぃ」
「そうだな。で、エースはどうだ?最近、不安定になったりしてねぇか?」


黒々とした瞳で自分を覗き込む少女に、マルコは幾度かになるため息を落とす。
ザルの目が粗いくせに直観力があるルフィは、やはりエースの妹だった。

拍手[17回]

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>>ぴよりん様

こんばんは、ぴよりん様!
いつも感想ありがとうございますw

どこでも一緒、漸くひと段落出来ました。
立派な十代目になるために旅立ったウーノさんに、獄寺君号泣です。
もう涙で瞳が落ちちゃうんではないかと言うくらいに泣きまくりです(笑)
黙っていればいいのに自分の罪も大告白です。ちなみに彼はあれは犯罪じゃないと言い切ります(大笑)
この後オマケが一話あり、その後にウーノさん視点の一週間を書いてみますねw
拝啓、は相変わらず勇者君はマイペースです。マイマイペースで進んでいて、伽羅ちゃんはふんと鼻で嘲笑っています。
食事の席は微妙なものですが、梅香の予定通りにことは進んでますw
そして不定期更新予定の新連載のあれにも感想ありがとうございますw
コウくんにしてはストーカー気味っぽい番長ですが、笑ってくださって嬉しいです。
彼は見た目とても強面ですが、藍ちゃんにゾッコンフォーリンラブ(死語)です。
憐れなほど報われない片想いをしています。
しかも自分の行動に誰も突っ込みを入れてくれないので、何がおかしいのかさっぱり理解してません。
鮮やかな勘違い野郎です。でも一途ですw
藍ちゃんは自称根暗ですが、周りから見たら物静かな美少女なんです★
自認と見解の相違ですねw
彼女の会話は基本脳内なので滅多に声が発せられることはありません。
故に葵くん勘違いしたのですが、お前はポジティブすぎだろう!?という感じでやや憐れです。
彼女の理想の女の子は自分と正反対な元気っ子ですが、いつか目の前に現れるといいですよねw
でもその前に親戚の男とか、ワンコ系の後輩とか出す予定なので、彼女の野望達成はまだ先になりそうですw
暫くは休載予定ですので、拝啓・・・に一区切りついたらまた書きはじめたいですw

これからも頑張りますので、是非また遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!!

拍手[1回]

自室に篭ったブラッドは、部屋から見える夜空に一つため息を吐く。
つい一年ほど前の自分が今の自分を見たのなら、鼻で笑っているだろう。
誰かに振り回される人生など考えたこともなく、誰かに執着する自分など想像したこともなかったのに。

先日購入したばかりの紅茶を一口口に含む。
味も香りも最高級品のはずなのに、いつものように紅茶に酔えないのはきっとあのネガティブな少女の顔が離れないからだ。
いつだってブラッドに対して胸を張っていた彼女が見せた脆さは、未だに記憶に新しい。

別に何か特別なことをしていたわけじゃない。
いつものように彼女を誘い、午後のお茶会としゃれ込んでいただけだ。
普通に話し普通に紅茶を飲み、普通に過ごしていたはずなのに、気がつけば彼女は泣いていた。
何が切欠だったか未だに判らない。
それでも何かが切欠で、ブラッドの向こうに『誰か』を見たアリスは涙腺を崩壊させた。
それが酷く苛立たしく───とても胸糞悪い。


「・・・どうして彼女なのだろうな」


答えのない問いかけ。
理由が判るのなら、ブラッドだって知りたい。
だが何故か判らないが惹きつけられるのだ。
心が、魂が、彼女が欲しいと訴える。

それはまるで呪いにも似た想い。
捕らえられ囚われ、そして執着を抱いた。
自分でも気付かなかったが、ブラッドは束縛したいタイプだったらしい。
アリスが他の何も見ないように目を塞ぎ、自分の領域でずっと暮らして欲しい。
笑うのも泣くのもブラッドに関して以外は赦せない。

これは恋なんて生易しい感情ではない。
だから可哀想だがアリスには諦めてもらうしかない。
どうしたってブラッドが諦める気はないのだから、この手に堕ちて来てもらうしかない。

静かに空を見上げていれば、ノックの後に腹心が姿を現した。


「ブラッド、頼まれてた調べもん終わったぜ」
「そうか」
「なぁ、ブラッド。アリス、大丈夫かな?あれから一度も顔見せてくんねえし、向こうに行っても会ってくれねぇ」
「さてな。だが待つのも飽きた。そろそろ行動に移す」
「ってことはアリスに会えるのか?」
「ああ、そうだ。アリスとてそろそろ私の『顔』が見たいだろうしな」


皮肉を込めて呟けば、エリオットは不思議そうな顔をしてウサギ耳を動かした。
何を調査させたか知っているだろうに、その理由までは教えていないのでブラッドがいらついている理由が判らないのだろう。
暫く瞬きを繰り返していたが、一つ頷くとからりとした笑顔を浮かべた。


「んじゃ、俺はアリスのためににんじんケーキを用意してもらってくるぜ!出発が決まったら教えてくれよ」
「ああ。私の分は用意しなくていいからな。お前とアリスの分を増やしなさい。いいか、くれぐれも私の分は必要ない」
「ブラッド・・・お前ってなんていい奴なんだ!大丈夫だ!遠慮しなくてもブラッドの分もきっちりと用意させるからな!」
「おい、エリオット!私はいらないと・・・ッ」


先走り気味なエリオットを静止しようと伸ばされた手は、虚しくも宙を掴むだけだった。

拍手[27回]

「皆来て!大変ッ!ナミさんが、酷い熱を・・・!」


船に響いた叫びに、クルーたちは慌てて集まった。
ナミの体に手を添えて真剣な顔をするビビに、ぐったりとした体で倒れこんでいるナミ。
どう見ても尋常じゃない姿にルフィは目を細める。


「ゾロ!」
「・・・おう」


一声で何が言いたいか理解したゾロがナミの体を持ち上げる。


「サンジ、ベッドの用意を」
「ッ、ナミさんに不埒なことしたら蹴り殺すからな、クソ野郎!」


叫びながらも体を翻したサンジは、ルフィの言葉に従い寝室へ消える。
その様子を確認してから、ルフィはゾロの腕の中に入るナミを見た。

頬は真っ赤に紅潮し、呼吸は荒い。汗を掻いているが酷く寒そうだ。
一瞥しただけで状態が最悪なのを見てとり小さく舌打ちした。


「どうだ」
「・・・最悪だな。こうなることは考えておくべきだった。お前ら、”偉大なる航路”初めてだもんな」
「それが何か関係あるのか?」
「多分気候の変化による体調異常だと思うが、判断しがたい。お前はどう思う、ビビ?」
「私もそう思う。”偉大なる航路”に入った船乗りが必ずぶつかるという壁の一つ。それが異常気候による熱病よ。名を上げた海賊ですらこれにあい突然死亡するなんてざらにある話よ」
「まぁ、これも素人判断だな。ちょっとした油断が死を招く。それが”偉大なる航路”だ。この間入り口付近にある支部に来たじいちゃんに薬貰っとくんだったな」



麦藁帽子を落として眉根を寄せたルフィは、深くため息を吐き出した。
ルフィ自身は海軍に入ってから幾度も足を踏み入れていたため、仲間への気遣いが甘くなっていた。
ゾロを促し前を歩かせながらビビに視線をやると、僅かな希望を込めて口を開く。


「お前、医療の知識は?」
「少し齧ったくらいで専門は・・・。ルフィさんは?」
「おれも応急手当くらいしか判んねえ。医者を引き摺ってでも連れてくるんだったな。素人のあさはかな判断ほどやばいもんはねぇってのに」


前を歩く背中を眺め、黒髪を掻き毟った。
しっかりとした船医がいる船ですら人死には耐えない。
それなのに、仲間を預かる立場に居ながら、自分は一体何をしていたのか。


「取り敢えずは、寝かせて置くしかねぇな。その間に船を進めて島を探す。それが一番確実だろう」
「そうね。私もそれが一番良いと思う」
「すまねぇな、お前も焦ってんのに」
「ううん。まずはナミさんの体調が先決よ。アラバスタもここのところは均衡状態が続いているみたいだし───大丈夫」


僅かに俯き自身に言い聞かせるように呟く少女に、ルフィは目を細めた。
こぼれそうになったため息は、息を吸い込んで深呼吸に変えた。

拍手[16回]

>>にじくま様

こんばんは、にじくま様!
感想をありがとうございますw

今回はリクエストを頂いた上での創作だったのですが、気に入ってくださって嬉しいです!
完全に海賊団関係ない人の話だからどうかと思いましたが、感想をいただけほっと一息です。
この話のルフィは、優しいようでいてかなり酷い男ですよね。
一生かけても辿り着けるかどうか判らない、むしと辿り着けない可能性が高い場所で悠然と笑って待っているんです。
『お前は此処に来るんだろ?おれが居る場所まで上って来いよ』と、ゆったりと構えて立っています。
彼が手を差し伸べたのは一度きり。
その一度が彼女の魂への束縛へ変わりました。

本来なら得れるはずだった幸せ、その全てを捨てての行動は、憎しみでも憧れでも原理はとても似ています。
所謂執着がこの話の根本に置いたものだったのですが、ちゃんと表現できているかは不安です。
この先どれだけ突っ走っても、どれだけの男に言い寄られても、彼女は一人だけしか見えません。
それって幸せか不幸か本人以外にわからない厳しく切ない想いですよね。
でも、ルフィが男前に書けてたらよかったですw

これからも頑張りますので、お時間ございましたら是非また遊びにいらして下さいw
Web拍手、ありがとうございました!!

拍手[0回]

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