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*ルフィたちが海賊王になった後の設定です。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
海賊王の船は、今日もマイペースに波を乗り越え自由気ままに進んでいく。
風に押されて波にたゆたい穏やかなまでにのんびりと。
しかしながら、残念なことにゆったりとした空気は、甲板の上で睨み合う女性達のお陰で全てが台無しになっていた。
肩や夜を紡いだ黒髪を持つ、気位の高い美貌の海賊女帝。
肩や夏をイメージさせるオレンジ色の髪をした、キュートで計算高い泥棒猫。
そしてそんな二人の対決を間に挟まれたまま笑顔で見守る、誰よりも食えないオリエンタルな悪魔の子。
種類は違うが美女三人が揃い火花を散らしている(若干一名は見学か参戦か良く判らないが)彼女達を見下ろすゾロは、展望台でいつも通りに鍛錬中だ。
片手でダンベル運動をしつつ眺める光景は、うんざりするほど回数を重ねていた。
それこそまだ自分たちがルーキーと呼ばれる時分から繰り返されてきている。
いい加減に学習しろよと突っ込んでやりたいが、その後の仕打ちが面倒なのでやらない。
以前ナミ相手に忠告したら鬱陶しくも小一時間愚痴と説教の間の話を延々と垂れ流され、ロビンに何とかしろと言ったら無理ねとさらりと流された。ちなみにその後懇切丁寧に無理な理由まで説明してくれやはり時間をとられた。
その一件があって以来なるべく関わりを持たないようにしてる。
なので今あの場に普通に馴染んでいるルフィと、喜び勇んで回転しているグル眉野郎と、パンツを見せてもらおうとして甲板に沈みこんだブルックにはある種の尊敬を抱く。
底抜けの馬鹿だ。
「ゾロー。そろそろメシだって」
「んあ?」
「何見てんだ?」
「ああ・・・あいつらだよ。ほれ」
ちょこちょこと寄って来たチョッパーをひょいと掴み上げると頭の上に乗せる。
両手一杯に握ったワタアメは、九蛇海賊団からの戦利品に違いない。
年を経ても彼は未だに可愛いままだ。大きさだってトナカイの形になってる時のサイズは変わらないままで、未だに癖ですぐに担ぎ上げてしまう。
もっとも、本人も慣れているので今更抵抗もしない。
実年齢を考慮すればそろそろ止めなければならないと思うのだが、癖になってしまっているらしく中々止められなかった。
「ルフィたちだ」
「おう」
「なぁゾロ」
「ん?」
「いっつもナミと九蛇の女帝は喧嘩してるけど、一体なんで喧嘩してるんだ?いっつも見てるロビンに聞いても教えてくれねえし、ウソップとフランキーは肩を竦めただけだし、ブルックとサンジは恨めしいと羨ましいを交互に訴えてハンカチを噛んでたぞ」
「ああ、最後の二人は病気だな。駄目に利く薬作ってやれ」
「え?」
「それか女狂いが治る薬。出来るか?」
「う、うん。頑張る」
素直に頷いたチョッパーの頭を撫でてやる。
ちなみにどちらの薬も結構前から開発中だが、未だに完成に到っていない。
実験台になっている人間が欠片も変わらないのだから、完成はまだ遠そうだ。最も彼らから駄目を取ったら何が残るか、ゾロには甚だ疑問ではあったけれど。
「ゾロ」
「あん?」
「ゾロなら判るか?あの二人が喧嘩してる理由」
「・・・・・・」
「二人ともルフィが居なければ無視し合うだけなのに、間にルフィが入ると喧嘩するんだ。ハンコックなんて見下げすぎて見上げてるし、ナミは血管ぶちきれそうだ」
そこまでいってたらもう一息だろうに。
自力で解決できないとは、中々どうして奥手なもんだ。
恋愛関係にこの上なく鈍いチョッパーは、少し純粋培養で育てすぎたかもしれない。
性欲が感じられないのは、元の種が違うからだろうか。
そうであれば教えるのは難しいな、と考えながらゾロはゆっくりと口を開いた。
「あれはな、陣取り合戦みたいなもんだ」
「陣取り合戦?」
「そうだ。・・・ま、お前にもその内わかんだろ」
ぽんぽんと頭を撫でてやれば、可愛い顔を渋く歪めてチョッパーが首を捻った。
こんな彼がいつか恋愛の機微とか肉体関係において悩む日も来るのだろうか。
それはまだ遠そうだと若干失礼な考えを持ちつつ、窓から下を見下ろす。
女の間に挟まれたルフィは、けれど普段通りの自然体だった。
身構えることもせず、気を使うこともない。
麦藁帽子の後ろで手を組み、しししと聞こえてきそうな全開の笑みを浮かべている。
目の前での美女二人が何で争っているか、それに気づかぬルフィではない。
彼が自分に向けられる好意を間違えることはないし、あれは鼻が利くとか勘が良いとかのレベルではなく本能だろう。
ナミたちがどう思ってるか知らないが、ルフィは判っていてああなのだとゾロは知っていた。
───ゾロのルフィは、底抜けにずるい男だから。
「お前は、ルフィみたいな男に惹かれるなよ」
「どうしたんだ急に?」
「いーや。もっと楽な人生だってあるだろうよって言ってるだけだ」
「?ゾロが言ってる意味、よく判んねぇぞ。それにおれルフィが大好きだからな」
眉間の皺を深めたトナカイは、少し機嫌を損ねたらしい。
むっと唇を尖らせて小さな蹄でゾロの頭を叩く。
「くくっ・・・そうだな。悪い、悪い」
怒るチョッパーを宥めつつ、階下に行くため足を進める。
自分は死んでもルフィについていく気でいるが、さて、彼の覚悟はいかほどなのだろう。
どちらにせよ、あの我侭で独占欲が強い海賊王が、自分の宝を簡単に手放すわけないかと小さく笑った。
甲板に着くまでに女の戦いに決着がついていれば良いと、ミステリアスな考古学者に期待をかける。
「今日の昼飯何だって?」
「肉だぞ、肉ー!」
船長の物まねをした船医が、いつか大人になるんだろうなと微笑ましく思ったある日の午後。
海賊王。
そう呼ばれる男が率いる海賊団にはずば抜けた金額を持つ賞金首の幹部たちが勢ぞろいしている。
個性的で、強くて、勇敢で、信念を持っている。
誰もかもが一級品の腕を持ち、若くして名声と富を手に入れた。
海賊王の船は、今日もマイペースに波を乗り越え自由気ままに進んでいく。
風に押されて波にたゆたい穏やかなまでにのんびりと。
しかしながら、残念なことにゆったりとした空気は、甲板の上で睨み合う女性達のお陰で全てが台無しになっていた。
肩や夜を紡いだ黒髪を持つ、気位の高い美貌の海賊女帝。
肩や夏をイメージさせるオレンジ色の髪をした、キュートで計算高い泥棒猫。
そしてそんな二人の対決を間に挟まれたまま笑顔で見守る、誰よりも食えないオリエンタルな悪魔の子。
種類は違うが美女三人が揃い火花を散らしている(若干一名は見学か参戦か良く判らないが)彼女達を見下ろすゾロは、展望台でいつも通りに鍛錬中だ。
片手でダンベル運動をしつつ眺める光景は、うんざりするほど回数を重ねていた。
それこそまだ自分たちがルーキーと呼ばれる時分から繰り返されてきている。
いい加減に学習しろよと突っ込んでやりたいが、その後の仕打ちが面倒なのでやらない。
以前ナミ相手に忠告したら鬱陶しくも小一時間愚痴と説教の間の話を延々と垂れ流され、ロビンに何とかしろと言ったら無理ねとさらりと流された。ちなみにその後懇切丁寧に無理な理由まで説明してくれやはり時間をとられた。
その一件があって以来なるべく関わりを持たないようにしてる。
なので今あの場に普通に馴染んでいるルフィと、喜び勇んで回転しているグル眉野郎と、パンツを見せてもらおうとして甲板に沈みこんだブルックにはある種の尊敬を抱く。
底抜けの馬鹿だ。
「ゾロー。そろそろメシだって」
「んあ?」
「何見てんだ?」
「ああ・・・あいつらだよ。ほれ」
ちょこちょこと寄って来たチョッパーをひょいと掴み上げると頭の上に乗せる。
両手一杯に握ったワタアメは、九蛇海賊団からの戦利品に違いない。
年を経ても彼は未だに可愛いままだ。大きさだってトナカイの形になってる時のサイズは変わらないままで、未だに癖ですぐに担ぎ上げてしまう。
もっとも、本人も慣れているので今更抵抗もしない。
実年齢を考慮すればそろそろ止めなければならないと思うのだが、癖になってしまっているらしく中々止められなかった。
「ルフィたちだ」
「おう」
「なぁゾロ」
「ん?」
「いっつもナミと九蛇の女帝は喧嘩してるけど、一体なんで喧嘩してるんだ?いっつも見てるロビンに聞いても教えてくれねえし、ウソップとフランキーは肩を竦めただけだし、ブルックとサンジは恨めしいと羨ましいを交互に訴えてハンカチを噛んでたぞ」
「ああ、最後の二人は病気だな。駄目に利く薬作ってやれ」
「え?」
「それか女狂いが治る薬。出来るか?」
「う、うん。頑張る」
素直に頷いたチョッパーの頭を撫でてやる。
ちなみにどちらの薬も結構前から開発中だが、未だに完成に到っていない。
実験台になっている人間が欠片も変わらないのだから、完成はまだ遠そうだ。最も彼らから駄目を取ったら何が残るか、ゾロには甚だ疑問ではあったけれど。
「ゾロ」
「あん?」
「ゾロなら判るか?あの二人が喧嘩してる理由」
「・・・・・・」
「二人ともルフィが居なければ無視し合うだけなのに、間にルフィが入ると喧嘩するんだ。ハンコックなんて見下げすぎて見上げてるし、ナミは血管ぶちきれそうだ」
そこまでいってたらもう一息だろうに。
自力で解決できないとは、中々どうして奥手なもんだ。
恋愛関係にこの上なく鈍いチョッパーは、少し純粋培養で育てすぎたかもしれない。
性欲が感じられないのは、元の種が違うからだろうか。
そうであれば教えるのは難しいな、と考えながらゾロはゆっくりと口を開いた。
「あれはな、陣取り合戦みたいなもんだ」
「陣取り合戦?」
「そうだ。・・・ま、お前にもその内わかんだろ」
ぽんぽんと頭を撫でてやれば、可愛い顔を渋く歪めてチョッパーが首を捻った。
こんな彼がいつか恋愛の機微とか肉体関係において悩む日も来るのだろうか。
それはまだ遠そうだと若干失礼な考えを持ちつつ、窓から下を見下ろす。
女の間に挟まれたルフィは、けれど普段通りの自然体だった。
身構えることもせず、気を使うこともない。
麦藁帽子の後ろで手を組み、しししと聞こえてきそうな全開の笑みを浮かべている。
目の前での美女二人が何で争っているか、それに気づかぬルフィではない。
彼が自分に向けられる好意を間違えることはないし、あれは鼻が利くとか勘が良いとかのレベルではなく本能だろう。
ナミたちがどう思ってるか知らないが、ルフィは判っていてああなのだとゾロは知っていた。
───ゾロのルフィは、底抜けにずるい男だから。
「お前は、ルフィみたいな男に惹かれるなよ」
「どうしたんだ急に?」
「いーや。もっと楽な人生だってあるだろうよって言ってるだけだ」
「?ゾロが言ってる意味、よく判んねぇぞ。それにおれルフィが大好きだからな」
眉間の皺を深めたトナカイは、少し機嫌を損ねたらしい。
むっと唇を尖らせて小さな蹄でゾロの頭を叩く。
「くくっ・・・そうだな。悪い、悪い」
怒るチョッパーを宥めつつ、階下に行くため足を進める。
自分は死んでもルフィについていく気でいるが、さて、彼の覚悟はいかほどなのだろう。
どちらにせよ、あの我侭で独占欲が強い海賊王が、自分の宝を簡単に手放すわけないかと小さく笑った。
甲板に着くまでに女の戦いに決着がついていれば良いと、ミステリアスな考古学者に期待をかける。
「今日の昼飯何だって?」
「肉だぞ、肉ー!」
船長の物まねをした船医が、いつか大人になるんだろうなと微笑ましく思ったある日の午後。
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