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静かに集中し、ただ一点を見詰める。
狙うは中心。そこに固く尖った先端を突き刺せば琥一の勝利だ。
ちらり、と視線をやれば悔しそうに黒目がちの瞳を潤ませた冬姫が、琥一をじっと睨み上げていた。
恨めしそうな、拗ねたような眼差しを送るが、彼女に抵抗する術はない。
何と愉しい状況なのだろう。
知らず知らず口角がゆるりと持ち上がれば、小動物みたいにびくりと体を小さく震わせた。
「悪いな。俺の勝ちだ」
しかしながら勝利を確信し狙い定め投擲したダーツの矢は、狙いよりやや左にそれたがまずまずの場所に突き刺さった。
「よしっ!」
「やったね、琉夏君!」
琥一の狙いが僅かに甘かったことに、琉夏と冬姫は歓声を上げて手を打ち鳴らす。
随分な反応だと思ったが、まぁそれも仕方ないと余裕の表情で考えた。
三人の中で最近密かにブームのダーツ。
そのままするんじゃ面白くないと賭けを始めたのはいつからだったか。ああ、確か二ヶ月ほど前だ。
発端はいつも通り琉夏で、『今日勝った奴が夕食のメニューを決めて敗者二人は勝者にご飯を奢る』と提案したのだが、これがまた中々にいいアイディアだった。
元々冬姫も琉夏も琥一もダーツの腕はほぼ平行線なのだが、最近特についてるらしい琥一が今日で五連勝をかけていた。
先回は焼肉、前々回はステーキ、その前はアメリカンハンバーグと肉が一日おきくらいで続いている。
悔しそうに胸焼けを起こしながらも肉を平らげる二人を見るのは結構愉しい。
むきになった二人から勝負を挑まれるのにも慣れたし、その上で勝利するときの快感といったらない。
「お前ら、言っとくが俺にはもう一回チャンスがあるんだぜ?」
「ふふん。大丈夫。今日は秘策があるんだよな、冬姫」
「うん。もう私達は負けないもんね。それで勝ったらデザートバイキングに繰り出すんだもんね」
「くくくっ・・・俺に勝ったらデザートバイキングだろうが、ケーキバイキングだろうが何処にでも付き合ってやるよ」
「言ったな?その台詞、覚えておけよ」
「そうそう。後で泣き事言っても遅いからね」
にたり、と性質の悪い顔で二人は笑みを交わす。
何か企んでいるのは丸判りだったが、敢えて無視を通すことにした。
所詮は負け犬の遠吠えだ。
HIGHSCOREのゲームを自分たちルールに改変したのだが、連続投擲は琥一に合っていたらしい。
集中力は持続しすいすいと的に当たる。
今日勝ったら肉屋のカレーにしようかと肉食獣らしいことを考えながら構えに入った。
するとその瞬間、すすす、と冬姫が進み出て琥一の視界に入る場所に移動する。
余程暴騰しなければ矢は当たらないだろうが、一体なんだ?と訝しげに眉を顰める。
だがそれでも何をするわけでもなかったので、当たるなよ、と一言忠告を設けてから再び構えに入った。
曲げた腕を伸ばすイメージで投擲フォームへと入ろうとしたその瞬間。
「お色気アタック」
気の抜けた声と共に、冬姫がスカートの裾をチラリと捲り上げた。
「!!!?」
声ならぬ声が悲鳴となって迸る。
今日の冬姫の格好は、琉夏好みのガーリックな女の子らしい衣装だ。
女の服の種類など判らぬ琥一から見ても、一見すると大人しそうな清楚なイメージが浮かぶ可愛らしい格好。
そのいかにも可愛らしいフレアスカートを、よりにもよって腿の辺りまでたくし上げたのだ。
目を僅かに伏せた妖艶な眼差しに、ちろりと唇を舐めた赤い舌。
白い肌が薄暗い照明に艶かしく写り、しらず喉がごくりと鳴った。
ダーツの矢がすっぽ抜けた瞬間に、やられたと悟る。
行く先を見守らずとも大した場所に飛んでいないだろう矢に、頭を抱えて蹲った。
そんな琥一を傍目に、暢気で馬鹿な二人が両手を合わせて勝利!と喜びの声を上げている。
そう言えば、彼らの点数は今日は同点だった。
と言う事は、食べたくもないバイキングに連れて行かれた挙句、琥一が二人分金を払わなければいけない。
最悪だ、と重いため息を吐き出せば、いつの間にか近寄ってきていたシュールな弟が嬉しそうににこりと笑った。
「やーい。コウのスケベ」
「・・・うるせぇ。お前だって同じ立場ならこうなってんだろうが」
「いや、俺はコウみたいに視線は外さない。ガン見する」
「最悪だな」
「健全な男ですから」
「───他の野郎に見られなかったか?」
「当然。見られたら減る」
こくこくと頷く弟に、はあと重いため息を吐き出す。
今日のゲーム代を笑顔で支払いに行った彼女が戻ってきたら、まず説教だ。
それによりどれだけの効果が得られるか判らないが、やらないよりはマシだろう。
否、マシだと信じたい。
疼く下半身を叱咤して立ち上がる。
目に焼きついた鮮烈な白は、当分忘れられそうになかった。
狙うは中心。そこに固く尖った先端を突き刺せば琥一の勝利だ。
ちらり、と視線をやれば悔しそうに黒目がちの瞳を潤ませた冬姫が、琥一をじっと睨み上げていた。
恨めしそうな、拗ねたような眼差しを送るが、彼女に抵抗する術はない。
何と愉しい状況なのだろう。
知らず知らず口角がゆるりと持ち上がれば、小動物みたいにびくりと体を小さく震わせた。
「悪いな。俺の勝ちだ」
しかしながら勝利を確信し狙い定め投擲したダーツの矢は、狙いよりやや左にそれたがまずまずの場所に突き刺さった。
「よしっ!」
「やったね、琉夏君!」
琥一の狙いが僅かに甘かったことに、琉夏と冬姫は歓声を上げて手を打ち鳴らす。
随分な反応だと思ったが、まぁそれも仕方ないと余裕の表情で考えた。
三人の中で最近密かにブームのダーツ。
そのままするんじゃ面白くないと賭けを始めたのはいつからだったか。ああ、確か二ヶ月ほど前だ。
発端はいつも通り琉夏で、『今日勝った奴が夕食のメニューを決めて敗者二人は勝者にご飯を奢る』と提案したのだが、これがまた中々にいいアイディアだった。
元々冬姫も琉夏も琥一もダーツの腕はほぼ平行線なのだが、最近特についてるらしい琥一が今日で五連勝をかけていた。
先回は焼肉、前々回はステーキ、その前はアメリカンハンバーグと肉が一日おきくらいで続いている。
悔しそうに胸焼けを起こしながらも肉を平らげる二人を見るのは結構愉しい。
むきになった二人から勝負を挑まれるのにも慣れたし、その上で勝利するときの快感といったらない。
「お前ら、言っとくが俺にはもう一回チャンスがあるんだぜ?」
「ふふん。大丈夫。今日は秘策があるんだよな、冬姫」
「うん。もう私達は負けないもんね。それで勝ったらデザートバイキングに繰り出すんだもんね」
「くくくっ・・・俺に勝ったらデザートバイキングだろうが、ケーキバイキングだろうが何処にでも付き合ってやるよ」
「言ったな?その台詞、覚えておけよ」
「そうそう。後で泣き事言っても遅いからね」
にたり、と性質の悪い顔で二人は笑みを交わす。
何か企んでいるのは丸判りだったが、敢えて無視を通すことにした。
所詮は負け犬の遠吠えだ。
HIGHSCOREのゲームを自分たちルールに改変したのだが、連続投擲は琥一に合っていたらしい。
集中力は持続しすいすいと的に当たる。
今日勝ったら肉屋のカレーにしようかと肉食獣らしいことを考えながら構えに入った。
するとその瞬間、すすす、と冬姫が進み出て琥一の視界に入る場所に移動する。
余程暴騰しなければ矢は当たらないだろうが、一体なんだ?と訝しげに眉を顰める。
だがそれでも何をするわけでもなかったので、当たるなよ、と一言忠告を設けてから再び構えに入った。
曲げた腕を伸ばすイメージで投擲フォームへと入ろうとしたその瞬間。
「お色気アタック」
気の抜けた声と共に、冬姫がスカートの裾をチラリと捲り上げた。
「!!!?」
声ならぬ声が悲鳴となって迸る。
今日の冬姫の格好は、琉夏好みのガーリックな女の子らしい衣装だ。
女の服の種類など判らぬ琥一から見ても、一見すると大人しそうな清楚なイメージが浮かぶ可愛らしい格好。
そのいかにも可愛らしいフレアスカートを、よりにもよって腿の辺りまでたくし上げたのだ。
目を僅かに伏せた妖艶な眼差しに、ちろりと唇を舐めた赤い舌。
白い肌が薄暗い照明に艶かしく写り、しらず喉がごくりと鳴った。
ダーツの矢がすっぽ抜けた瞬間に、やられたと悟る。
行く先を見守らずとも大した場所に飛んでいないだろう矢に、頭を抱えて蹲った。
そんな琥一を傍目に、暢気で馬鹿な二人が両手を合わせて勝利!と喜びの声を上げている。
そう言えば、彼らの点数は今日は同点だった。
と言う事は、食べたくもないバイキングに連れて行かれた挙句、琥一が二人分金を払わなければいけない。
最悪だ、と重いため息を吐き出せば、いつの間にか近寄ってきていたシュールな弟が嬉しそうににこりと笑った。
「やーい。コウのスケベ」
「・・・うるせぇ。お前だって同じ立場ならこうなってんだろうが」
「いや、俺はコウみたいに視線は外さない。ガン見する」
「最悪だな」
「健全な男ですから」
「───他の野郎に見られなかったか?」
「当然。見られたら減る」
こくこくと頷く弟に、はあと重いため息を吐き出す。
今日のゲーム代を笑顔で支払いに行った彼女が戻ってきたら、まず説教だ。
それによりどれだけの効果が得られるか判らないが、やらないよりはマシだろう。
否、マシだと信じたい。
疼く下半身を叱咤して立ち上がる。
目に焼きついた鮮烈な白は、当分忘れられそうになかった。
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