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ただいま、と響いた声に、将臣は敏感に反応した。
少し前まではお昼寝の時間に目が覚める、なんてなかったのに。
「・・・・・・」
目を擦りつつむっと唇を尖らす。
隣を見れば、寝つきがよく寝起きが悪い望美がすうすうと気持ち良さそうに眠っている。
無邪気で可愛らしい寝顔を晒す彼女の隣には、いつも通り望美の居る方向へ体を向けてしっかりと彼女の手を握り寝息を立てる弟の姿。
望美が大好きな譲は、望美と一緒に出来るお昼寝タイムも大好きだ。
共に過ごせない時には泣き叫び、ちょっとした騒動になるが、代わりにこの時間さえ過ごせば機嫌よくいる。
単純だと思うけれど、そんな単純さは嫌いじゃなかった。
望美を共有するのは好きじゃないが弟だけは許せる。
───だが、言い換えれば。弟以外は許せない。
こちらに近づいてくる足音に敏感に反応すると、布団を巻くり立ち上がる。
そして部屋唯一の入り口へと足を向けると、ひょいとジャンプしてノブを捻った。
廊下へ顔を出しきょろきょろと当たりを見渡し、見つけた人物に眉をきりきり吊り上げると、素早く部屋の外へ出てドアを閉めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
向かって来た人物を睨み上げれば、相手は情けなく眉を下げた。
「・・・どいてくれないか、将臣」
「やだ」
「何故だ」
「おれが、のんにリズにいちゃんをあわせたくないから」
「どうして」
「のん、リズにいちゃんがいると、すぐそっちにいっちまうもん。いつもはおれとずっといっしょなのに」
「・・・」
「のんはおれのだぞ!にいちゃんのじゃねえ!」
肩を怒らせ威嚇する。
傍から見れば子猫が毛を逆立てるのに等しい光景だが、本人は到って本気だ。
本気だからこそ困り果て、リズヴァーンは眉尻を下げる。
「私は、将臣から望美を奪うつもりはない」
「そんなのしってる。・・・しってるから、いやなんだろ!」
それは子供じみた執着欲。
自分のものを取られたくないと、単純に訴えている。
「のんは、おれとゆずるのだ」
こんなに本気で訴えているのに、何も言い返さないリズヴァーンが嫌いだ。
彼だって望美を必要としてるのに、将臣は気がついていた。
リズヴァーンはいい人だ。
優しく丁寧で嘘を吐かない誠実な人。
そんなの判ってる。
でも将臣の中の嫌な感情が納まらないのだ。
本当は、こんなの嫌なのに。
視界がぼやけ始め、唇を噛んで俯いた。
慰めるように頭に大きな手が置かれ、ゆっくりと頭が撫でられる。
それを黙って享受するのが将臣にとって精一杯だった。
本当は、将臣だってリズヴァーンが好きだった。
少し前まではお昼寝の時間に目が覚める、なんてなかったのに。
「・・・・・・」
目を擦りつつむっと唇を尖らす。
隣を見れば、寝つきがよく寝起きが悪い望美がすうすうと気持ち良さそうに眠っている。
無邪気で可愛らしい寝顔を晒す彼女の隣には、いつも通り望美の居る方向へ体を向けてしっかりと彼女の手を握り寝息を立てる弟の姿。
望美が大好きな譲は、望美と一緒に出来るお昼寝タイムも大好きだ。
共に過ごせない時には泣き叫び、ちょっとした騒動になるが、代わりにこの時間さえ過ごせば機嫌よくいる。
単純だと思うけれど、そんな単純さは嫌いじゃなかった。
望美を共有するのは好きじゃないが弟だけは許せる。
───だが、言い換えれば。弟以外は許せない。
こちらに近づいてくる足音に敏感に反応すると、布団を巻くり立ち上がる。
そして部屋唯一の入り口へと足を向けると、ひょいとジャンプしてノブを捻った。
廊下へ顔を出しきょろきょろと当たりを見渡し、見つけた人物に眉をきりきり吊り上げると、素早く部屋の外へ出てドアを閉めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
向かって来た人物を睨み上げれば、相手は情けなく眉を下げた。
「・・・どいてくれないか、将臣」
「やだ」
「何故だ」
「おれが、のんにリズにいちゃんをあわせたくないから」
「どうして」
「のん、リズにいちゃんがいると、すぐそっちにいっちまうもん。いつもはおれとずっといっしょなのに」
「・・・」
「のんはおれのだぞ!にいちゃんのじゃねえ!」
肩を怒らせ威嚇する。
傍から見れば子猫が毛を逆立てるのに等しい光景だが、本人は到って本気だ。
本気だからこそ困り果て、リズヴァーンは眉尻を下げる。
「私は、将臣から望美を奪うつもりはない」
「そんなのしってる。・・・しってるから、いやなんだろ!」
それは子供じみた執着欲。
自分のものを取られたくないと、単純に訴えている。
「のんは、おれとゆずるのだ」
こんなに本気で訴えているのに、何も言い返さないリズヴァーンが嫌いだ。
彼だって望美を必要としてるのに、将臣は気がついていた。
リズヴァーンはいい人だ。
優しく丁寧で嘘を吐かない誠実な人。
そんなの判ってる。
でも将臣の中の嫌な感情が納まらないのだ。
本当は、こんなの嫌なのに。
視界がぼやけ始め、唇を噛んで俯いた。
慰めるように頭に大きな手が置かれ、ゆっくりと頭が撫でられる。
それを黙って享受するのが将臣にとって精一杯だった。
本当は、将臣だってリズヴァーンが好きだった。
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