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角ルキで5題
国高的お題より
■1:なんか苦手だ
「おや。斑目三席じゃありませんか」
にこり、と釣り目がちの瞳を細めて上品な猫のように笑ったルキアに、一角はぎしりと動きを止める。
今日は非番なのか死覇装ではなく、臙脂に小花柄が描かれた小袖姿の彼女は、珍しく今日は一人だった。
「おう・・・阿散井の奴は?」
「さあ?あやつは仕事じゃないでしょうか」
こくりと首を傾げたルキアに、見えない角度で舌打した。
目の前の少女にぞっこん状態の彼がいれば、まだ何かが緩和されるのに、二人きりの空気の居心地の悪いこと。
一体彼女の何がここまで一角を居た堪れない気持ちにさせるのか判らないが、四方八方に視線を逸らしながら何を話せばいいのかと話題を模索する。
しかし朽木の令嬢であるルキアが好みそうな話題など一角も知る筈がなく、最終的にはこの場に居ない恋次に心の中で八つ当たりを始めた。
そんな一角の焦りを知っているのかいないのか。
絶対に気付いてる気がするが、貼り付けたままの笑顔を向けるルキアに冷や汗が流れ始めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が痛い。そして貼り付けた笑顔も痛い。
どうすればいい、何をすればいい、と焦れば焦るほど頭が真っ白になり考えは空回り。
「・・・あの、よ」
「はい」
「何か、用か?」
思い切って聞いてみる。
虚を前に戦うより余程覚悟を決めた質問に、ルキアは殊更笑顔を深めた。
「用は何もありません」
「ああ、そうかよ!!」
緊張していただけに、色々な意味で拍子抜けした。
その分苛立ちが募り、ふんと背を向け歩き出す。
何で苛立つかなんて、そんな理由は知りたくない。
■2:この頭は禿じゃねぇ!
「いい加減にしろよ、この腐れ幼馴染どもが」
現世の店に仲睦まじい幼馴染に、唾を飛ばして一角は怒鳴った。
この見た目も中身も凹凸コンビは、何故か無性に息が合う。
それは彼らが幼い頃を共に暮らしたからだろうし、きっともともとの価値観などが似ているのだろう。
片方は熱烈にもう片方に想いを抱いてるのを知っているが、想われる相手は欠片も自分を見せないので発展してるのかしていないのかすら判らない。
一角自体は恋だの愛だのに今は興味はないが、人の恋路を引っ掻き回すのは好きだった。
もっとも、目の前の二人組みは引っ掻き回す必要もないくらい前進がない子供だったが。
見た目はともかく中身の年齢が低い彼らは、何故か揃って一角に懐いている。
恋次は昔稽古をつけてやっていた師弟関係と、先輩後輩としての関係があるから判るが、ルキアは一体何なのだろう。
幼馴染が懐いているから釣られてしまっているのだろうか。
いや、もうそれはどうでもいいが、彼らの感性をどうにかして欲しい。
「だからこの頭はハゲじゃねぇ!剃ってんだよ!ブッちぎり迷走コンビが!」
唾を飛ばしても何を言われてるか判らないとばかりにきょとりとした顔をした幼馴染達は、不思議な生き物をみるように一角を眺めた。
その手に握られた物体にでかでかと書かれた文字に、全力で意を唱えさせてもらう。
「育毛剤なんて必要ねぇんだよ、俺には!」
■3:勝てない。オレより弱いくせに!
「それで?」
「それでって、だから・・・」
思わず言葉に詰まる。
何故か学校帰りに捕まって連れ込まれたゲームセンター。
UFOキャッチャーなるものをプレイさせられる一角は、何故こんなことをさせられるのか判らない。
気がつけば現世で使える貨幣がどんどんと消費され、すでに残りはワンコイン。
ちなみに隣で見ているだけの彼女の財布から中身を拝借するどころか、その姿すら見ていない。
何度考えてもこの状況が理解できず、首を傾げるどころじゃない。
やばいくらいに流されている。
大体、目の前のウサギのぬいぐるみなど一角は欲しくないのだ、そもそも。
チャッピーによく似た顔立ちのウサギは、一角の感性では可愛いといえない。
むしろ地味に不細工だと思う。
山積みになったウサギの大群の中の、さらに一番大きいサイズをとるのは無理に決まっている。
大体先ほどから引っ掛かるたびに、アームが揺れて落ちているではないか。
これはそもそも取れるようになっていないのだ。
不平不満を全力で訴えると、輝かしい笑顔を浮かべたルキアが一言仰った。
「それで?」
言い訳は終わりかと言外に問う彼女に、また言葉が詰まる。
結局何を言えばいいか判らず、視線を彷徨わせ見かけた店員を捕まえた。
「すんません、これ取れないんで移動してください」
取りやすい位置に移動したそれを、今度外したらどうすればいいのだろうと、過った不安は黙殺した。
■4:おや?私を誰だとお思いですか?
「それで、ここは何なんだ」
いかにも格式ばった手紙を受け取り、差出人の名前に嫌々渋々出かければ、指定の場所は貴族御用達と門前に書いてありそうな料亭だった。
同じように手紙を持ってぽかんと間抜け面を晒していた後輩を前に、帰ってしまおうかと踵を返せばえらい勢いで肩を掴まれた。
自分より余程体格のいい男は、捨てられた子犬のような眼差しで必死に見詰めてくる。
置いていくなと全力で訴えるヘタレに、心の底からドン引きしながら仕方なしに中に足を踏み入れた。
見た目も格式ばっているなら、中身も格式ばっていた。
正直着流しの一角と恋次は浮きに浮いている。
空気読めと屋敷全体から圧力をかけられている気がする。
擦れ違う女中は教育されているらしく何も言わずに視線を逸らすが、むしろ何か言われるより居た堪れない感じだった。
案内を断ったが、口で聞いただけでは確かに迷いそうだと記憶を掘り起こし歩を進めれば、母屋から渡る廊下が見つかり、離れへと続いている。
「おい・・・まさか、あれか?」
「あれだと思います」
今になってこの後輩が一人で行きたくないと思う気持ちが理解できた。
明らかに特別待遇なその場所から伝わる霊圧は肌にびんびん伝わってくる。
戦場なら喜んで刀を抜くが、挑むには分が悪い相手でもあった。
「何で朽木隊長が居るんだよ」
「ルキアが、隊長に頼んだそうです。現世で日頃世話になっている相手をもてなしたいって言ったらしいんすけど、そしたらここを貸切にしてくれたらしくって」
「・・・なるほど。やっぱ俺帰っていいか?」
「ここまで来てそれはないっす!」
「だってよ、朽木隊長の霊圧半端ないぞ!?お前、あれ怒ってんだろどう考えても!お前がルキアちゃんに手を出そうとしてんの気付いてんだろ!」
「可愛い後輩見捨てて逃げようったってそうは問屋がおろさねぇぞ!大体隊長のあれはルキアに近づく全ての男に等しく降り注ぐ怒りだ!あんたを連れてかなきゃ本気で俺が殺されるんだよ!」
「テメ、先輩売る気かコラ!」
「一人で千本桜喰らって堪るか!先輩だろうと師匠だろうと関係ねぇよ!道連れだ!」
ギャーギャーと喚いていたら、離れの扉がすっと開いてしずしずと人影が近づいた。
「・・・うるさいぞ、戯け者が」
着飾られたルキアは精巧な人形のように麗しかったが、笑顔に込められた棘はざくざく二人を抉った。
■5:正反対の二人。接点は一瞬
「考えてみたら、俺たちの接点てないに等しいんだよな」
誰かさんの髪の色を髣髴とさせる夕日に照らされた校庭を、並んで歩く三人を眺めながらぽつりと呟く。
放課後の教室はもう人の気配はほとんどせずに、一角が今居る教室も相方以外は帰ってしまった。
「どうしたのさ、今更」
「どうしたんだろうなぁ」
大小の影を作って帰る彼らは、じゃれ合う子犬のように近づき離れを繰り返す。
少しだけ意地の悪い顔で笑うルキアを真ん中に、左隣に口を窄めて憤る一護、右隣にそれを苦笑して宥める恋次と見事な凹凸を作り出している。
どちらの髪色が派手で目立つ存在らしく、声を掛けるものは居ない。
ルキアはこの学校で猫を被っているのだが、彼らの前では一切取り繕わない笑顔を浮かべていた。
心配そうな表情で周りが様子を伺っているなど気付いていないらしい。
それはそうだろう。
一見いかにも不良の一護と恋次に挟まれるルキアは品の良いお嬢さまにしか見えない。
実際は彼らに劣らぬほど言葉遣いは荒く男前な性格をしているが、見目だけでは判断がつかないだろう。
二人が怖くて間に入れないのか知らないが、結構な数の男が視線を向けていた。
「何て言うかさ、俺らって本来なら接点がねぇだろ」
「・・・誰と?」
「ルキアちゃんだよ。阿散井は四十年以上も追い続けた幼馴染で、一護は死神の力を分け与えた恩人。でも俺らは違う。俺と阿散井は師弟関係だ。俺と一護はダチだ。けど、俺とルキアちゃんは、接点なんかねぇよな」
「・・・・・・」
考えてみると不思議な関係だ。
一角が直接関係を持つのは恋次と一護なのに、いつの間にかルキアと二人で接する時間が増えていた。
ルキアは恋次の想い人だ。
何度死に掛けようと執念で追い続けた、馬鹿みたいに純粋な想いを捧げる相手だ。
ルキアは一護の恩人らしい。
家族を助けるために死神の力を譲渡してもらい、そして攫われたルキアを命がけで助けに来る程度に思い入れを持っている。
それが恋情か単なる恩義か、突っ込む気はないが特別には違いない。
だが、一角と親しい二人はルキアと繋がりがあっても、一角とルキアは不思議なほど繋がりがない。
友達の友達は友達と考える思考の持ち主ではないし、むしろそりゃ他人だと自分でも思う。
けれど、どうしてなのだろう。
偶に見せる寂しげな笑顔を放っておけない。
金持ち連中に囲まれ、取り繕った笑顔で佇む姿を放っておけない。
小生意気な笑顔で生意気そのものの意見を述べる小娘を、何だかんだで放っておけない。
純粋に可愛いなんて思えないし、特別な絆も持ってないのに、何故だか放っておけないのだ。
「上品なお嬢さまの相手なんて疲れるだけなのにな」
ぽつり、と呟いた声は、思ったより響いた。
理由は判らないし、判りたくなんてない。
現世に派遣されたという事項以外接点一つ見つけれない小娘を、ただ視線が追い続けた。
近くも遠くもないこの距離は、とても居心地が良いと認めたくなかった。
国高的お題より
■1:なんか苦手だ
「おや。斑目三席じゃありませんか」
にこり、と釣り目がちの瞳を細めて上品な猫のように笑ったルキアに、一角はぎしりと動きを止める。
今日は非番なのか死覇装ではなく、臙脂に小花柄が描かれた小袖姿の彼女は、珍しく今日は一人だった。
「おう・・・阿散井の奴は?」
「さあ?あやつは仕事じゃないでしょうか」
こくりと首を傾げたルキアに、見えない角度で舌打した。
目の前の少女にぞっこん状態の彼がいれば、まだ何かが緩和されるのに、二人きりの空気の居心地の悪いこと。
一体彼女の何がここまで一角を居た堪れない気持ちにさせるのか判らないが、四方八方に視線を逸らしながら何を話せばいいのかと話題を模索する。
しかし朽木の令嬢であるルキアが好みそうな話題など一角も知る筈がなく、最終的にはこの場に居ない恋次に心の中で八つ当たりを始めた。
そんな一角の焦りを知っているのかいないのか。
絶対に気付いてる気がするが、貼り付けたままの笑顔を向けるルキアに冷や汗が流れ始めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が痛い。そして貼り付けた笑顔も痛い。
どうすればいい、何をすればいい、と焦れば焦るほど頭が真っ白になり考えは空回り。
「・・・あの、よ」
「はい」
「何か、用か?」
思い切って聞いてみる。
虚を前に戦うより余程覚悟を決めた質問に、ルキアは殊更笑顔を深めた。
「用は何もありません」
「ああ、そうかよ!!」
緊張していただけに、色々な意味で拍子抜けした。
その分苛立ちが募り、ふんと背を向け歩き出す。
何で苛立つかなんて、そんな理由は知りたくない。
■2:この頭は禿じゃねぇ!
「いい加減にしろよ、この腐れ幼馴染どもが」
現世の店に仲睦まじい幼馴染に、唾を飛ばして一角は怒鳴った。
この見た目も中身も凹凸コンビは、何故か無性に息が合う。
それは彼らが幼い頃を共に暮らしたからだろうし、きっともともとの価値観などが似ているのだろう。
片方は熱烈にもう片方に想いを抱いてるのを知っているが、想われる相手は欠片も自分を見せないので発展してるのかしていないのかすら判らない。
一角自体は恋だの愛だのに今は興味はないが、人の恋路を引っ掻き回すのは好きだった。
もっとも、目の前の二人組みは引っ掻き回す必要もないくらい前進がない子供だったが。
見た目はともかく中身の年齢が低い彼らは、何故か揃って一角に懐いている。
恋次は昔稽古をつけてやっていた師弟関係と、先輩後輩としての関係があるから判るが、ルキアは一体何なのだろう。
幼馴染が懐いているから釣られてしまっているのだろうか。
いや、もうそれはどうでもいいが、彼らの感性をどうにかして欲しい。
「だからこの頭はハゲじゃねぇ!剃ってんだよ!ブッちぎり迷走コンビが!」
唾を飛ばしても何を言われてるか判らないとばかりにきょとりとした顔をした幼馴染達は、不思議な生き物をみるように一角を眺めた。
その手に握られた物体にでかでかと書かれた文字に、全力で意を唱えさせてもらう。
「育毛剤なんて必要ねぇんだよ、俺には!」
■3:勝てない。オレより弱いくせに!
「それで?」
「それでって、だから・・・」
思わず言葉に詰まる。
何故か学校帰りに捕まって連れ込まれたゲームセンター。
UFOキャッチャーなるものをプレイさせられる一角は、何故こんなことをさせられるのか判らない。
気がつけば現世で使える貨幣がどんどんと消費され、すでに残りはワンコイン。
ちなみに隣で見ているだけの彼女の財布から中身を拝借するどころか、その姿すら見ていない。
何度考えてもこの状況が理解できず、首を傾げるどころじゃない。
やばいくらいに流されている。
大体、目の前のウサギのぬいぐるみなど一角は欲しくないのだ、そもそも。
チャッピーによく似た顔立ちのウサギは、一角の感性では可愛いといえない。
むしろ地味に不細工だと思う。
山積みになったウサギの大群の中の、さらに一番大きいサイズをとるのは無理に決まっている。
大体先ほどから引っ掛かるたびに、アームが揺れて落ちているではないか。
これはそもそも取れるようになっていないのだ。
不平不満を全力で訴えると、輝かしい笑顔を浮かべたルキアが一言仰った。
「それで?」
言い訳は終わりかと言外に問う彼女に、また言葉が詰まる。
結局何を言えばいいか判らず、視線を彷徨わせ見かけた店員を捕まえた。
「すんません、これ取れないんで移動してください」
取りやすい位置に移動したそれを、今度外したらどうすればいいのだろうと、過った不安は黙殺した。
■4:おや?私を誰だとお思いですか?
「それで、ここは何なんだ」
いかにも格式ばった手紙を受け取り、差出人の名前に嫌々渋々出かければ、指定の場所は貴族御用達と門前に書いてありそうな料亭だった。
同じように手紙を持ってぽかんと間抜け面を晒していた後輩を前に、帰ってしまおうかと踵を返せばえらい勢いで肩を掴まれた。
自分より余程体格のいい男は、捨てられた子犬のような眼差しで必死に見詰めてくる。
置いていくなと全力で訴えるヘタレに、心の底からドン引きしながら仕方なしに中に足を踏み入れた。
見た目も格式ばっているなら、中身も格式ばっていた。
正直着流しの一角と恋次は浮きに浮いている。
空気読めと屋敷全体から圧力をかけられている気がする。
擦れ違う女中は教育されているらしく何も言わずに視線を逸らすが、むしろ何か言われるより居た堪れない感じだった。
案内を断ったが、口で聞いただけでは確かに迷いそうだと記憶を掘り起こし歩を進めれば、母屋から渡る廊下が見つかり、離れへと続いている。
「おい・・・まさか、あれか?」
「あれだと思います」
今になってこの後輩が一人で行きたくないと思う気持ちが理解できた。
明らかに特別待遇なその場所から伝わる霊圧は肌にびんびん伝わってくる。
戦場なら喜んで刀を抜くが、挑むには分が悪い相手でもあった。
「何で朽木隊長が居るんだよ」
「ルキアが、隊長に頼んだそうです。現世で日頃世話になっている相手をもてなしたいって言ったらしいんすけど、そしたらここを貸切にしてくれたらしくって」
「・・・なるほど。やっぱ俺帰っていいか?」
「ここまで来てそれはないっす!」
「だってよ、朽木隊長の霊圧半端ないぞ!?お前、あれ怒ってんだろどう考えても!お前がルキアちゃんに手を出そうとしてんの気付いてんだろ!」
「可愛い後輩見捨てて逃げようったってそうは問屋がおろさねぇぞ!大体隊長のあれはルキアに近づく全ての男に等しく降り注ぐ怒りだ!あんたを連れてかなきゃ本気で俺が殺されるんだよ!」
「テメ、先輩売る気かコラ!」
「一人で千本桜喰らって堪るか!先輩だろうと師匠だろうと関係ねぇよ!道連れだ!」
ギャーギャーと喚いていたら、離れの扉がすっと開いてしずしずと人影が近づいた。
「・・・うるさいぞ、戯け者が」
着飾られたルキアは精巧な人形のように麗しかったが、笑顔に込められた棘はざくざく二人を抉った。
■5:正反対の二人。接点は一瞬
「考えてみたら、俺たちの接点てないに等しいんだよな」
誰かさんの髪の色を髣髴とさせる夕日に照らされた校庭を、並んで歩く三人を眺めながらぽつりと呟く。
放課後の教室はもう人の気配はほとんどせずに、一角が今居る教室も相方以外は帰ってしまった。
「どうしたのさ、今更」
「どうしたんだろうなぁ」
大小の影を作って帰る彼らは、じゃれ合う子犬のように近づき離れを繰り返す。
少しだけ意地の悪い顔で笑うルキアを真ん中に、左隣に口を窄めて憤る一護、右隣にそれを苦笑して宥める恋次と見事な凹凸を作り出している。
どちらの髪色が派手で目立つ存在らしく、声を掛けるものは居ない。
ルキアはこの学校で猫を被っているのだが、彼らの前では一切取り繕わない笑顔を浮かべていた。
心配そうな表情で周りが様子を伺っているなど気付いていないらしい。
それはそうだろう。
一見いかにも不良の一護と恋次に挟まれるルキアは品の良いお嬢さまにしか見えない。
実際は彼らに劣らぬほど言葉遣いは荒く男前な性格をしているが、見目だけでは判断がつかないだろう。
二人が怖くて間に入れないのか知らないが、結構な数の男が視線を向けていた。
「何て言うかさ、俺らって本来なら接点がねぇだろ」
「・・・誰と?」
「ルキアちゃんだよ。阿散井は四十年以上も追い続けた幼馴染で、一護は死神の力を分け与えた恩人。でも俺らは違う。俺と阿散井は師弟関係だ。俺と一護はダチだ。けど、俺とルキアちゃんは、接点なんかねぇよな」
「・・・・・・」
考えてみると不思議な関係だ。
一角が直接関係を持つのは恋次と一護なのに、いつの間にかルキアと二人で接する時間が増えていた。
ルキアは恋次の想い人だ。
何度死に掛けようと執念で追い続けた、馬鹿みたいに純粋な想いを捧げる相手だ。
ルキアは一護の恩人らしい。
家族を助けるために死神の力を譲渡してもらい、そして攫われたルキアを命がけで助けに来る程度に思い入れを持っている。
それが恋情か単なる恩義か、突っ込む気はないが特別には違いない。
だが、一角と親しい二人はルキアと繋がりがあっても、一角とルキアは不思議なほど繋がりがない。
友達の友達は友達と考える思考の持ち主ではないし、むしろそりゃ他人だと自分でも思う。
けれど、どうしてなのだろう。
偶に見せる寂しげな笑顔を放っておけない。
金持ち連中に囲まれ、取り繕った笑顔で佇む姿を放っておけない。
小生意気な笑顔で生意気そのものの意見を述べる小娘を、何だかんだで放っておけない。
純粋に可愛いなんて思えないし、特別な絆も持ってないのに、何故だか放っておけないのだ。
「上品なお嬢さまの相手なんて疲れるだけなのにな」
ぽつり、と呟いた声は、思ったより響いた。
理由は判らないし、判りたくなんてない。
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