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真夏の太陽の暑さに負けて、琉夏はぐったりと体を傾ける。
三人で遊びに来たボーリングはとても楽しかったが、それ以上に体力を消費した。
別に琉夏は体力値が少ないわけではないが、暑さが苦手だった。
生まれた環境が影響しているのかもしれない。
外に出た瞬間どっと吹き出る汗をぐいっと拭う。
少し長めの髪が鬱陶しく、小さく舌打ちをした。
三人分のお金を託された琥一が会計を担っているが、まだ暫く出て来そうにない。
やはりもう少し待てばよかったと、早計に外に出た自分の浅知恵を怨んだが今更戻るのも億劫だった。
隣にいる冬姫が、眩しい日差しを避けるように手を翳して太陽を見る。
大きな瞳が眇められ、ぷくりと美味しそうな唇から『あつい』と漏れた。
その言葉に少し笑う。
一切汗を掻いてなく涼しげに見えても、やはり冬姫も暑いらしい。
今日はプリントTシャツにショートパンツと涼しげな格好だが、風も吹いていなければむしろ肌を露出させた分だけ暑いのかもしれない。
すらりと伸びる白く長い足と存在を主張する胸に視線を留める男を睨み払ってから、所有を主張するように腕を伸ばして背中に覆い被さった。
「暑い」
「・・・私も暑い。琉夏君が抱きつくから余計に暑くなった」
「でも、髪を結んでるから俺よりも涼しそうに見える」
「髪?・・・ああ、そうか。琉夏君結構長いもんねえ」
腕の中に素直に納まったままの冬姫は、首を上げて下から琉夏の顔を覗きこむと眉を寄せた。
唇に手を当て思案すると、にこり、と徐に微笑む。
無防備な笑顔に内心で怯んでいると、するりと腕の中から逃げられ唇を尖らせた。
だがそんな琉夏の気持ちなど気にせず近くにあったベンチに向かった彼女は、ここに座ってと指を指す。
そして鞄を探るとワンポイントの小花がついたゴムと櫛を手にとってにこりと微笑んだ。
それを見て冬姫が何をしたいか察した琉夏は、促されるままにベンチに座る。
待ち構えていた小さな手が、するりと自分の髪へと手を通し擽ったさに首を竦めた。
「動かないの」
「はーい」
器用に動く手は手早く琉夏の髪を纏めていく。
「・・・おい。何してんだ」
「あ、琥一くん。おかえりー」
「おう。んで?人に会計を任せたお前らは往来の中何してんだ?」
「琉夏君が暑い暑いって言うから髪を結んでるの。・・・ほら、出来た」
「・・・・・」
背後の会話の後、琥一が無言になった。
首筋は先程より随分と涼しくなり、首だけ向けておかえりと笑うと、何処か複雑な表情で眉を寄せる。
「お前、それはねぇだろう」
「え?そう?可愛くない?」
「コイツ、一応男子高校生だぞ?それなのに小花のついたヘアゴムって」
「えー?いいじゃん。俺には似合ってるでしょ」
「似合ってるから微妙なんだよ」
苦虫を噛み潰したような顔でうんざりと呟く琥一に、冬姫と顔を見合わせるとくすくすと笑う。
「でもこれ冬姫とおそろいだし」
「あぁん?」
低い声で唸った琥一が冬姫を見る。
きっと視線の先にはこれと色違いの花柄のゴムが映っているだろう。
琥一は人の外見には些か鈍い部分があるので、きっと気づかなかったに違いない。
「サンキュ、冬姫」
「どういたしまして」
涼しくなったのとお揃いの品で自分を飾っているのとが合わさり上機嫌になった琉夏は、元気良くベンチから立ち上がった。
こちらを鋭い眼差しで見詰める琥一にも、へらりと笑いかける。
帰るまでに、この存外に独占欲が強い兄の言をかわし、ヘアゴムを手に入れる理由を作らなきゃと脳をフル回転させた。
三人で遊びに来たボーリングはとても楽しかったが、それ以上に体力を消費した。
別に琉夏は体力値が少ないわけではないが、暑さが苦手だった。
生まれた環境が影響しているのかもしれない。
外に出た瞬間どっと吹き出る汗をぐいっと拭う。
少し長めの髪が鬱陶しく、小さく舌打ちをした。
三人分のお金を託された琥一が会計を担っているが、まだ暫く出て来そうにない。
やはりもう少し待てばよかったと、早計に外に出た自分の浅知恵を怨んだが今更戻るのも億劫だった。
隣にいる冬姫が、眩しい日差しを避けるように手を翳して太陽を見る。
大きな瞳が眇められ、ぷくりと美味しそうな唇から『あつい』と漏れた。
その言葉に少し笑う。
一切汗を掻いてなく涼しげに見えても、やはり冬姫も暑いらしい。
今日はプリントTシャツにショートパンツと涼しげな格好だが、風も吹いていなければむしろ肌を露出させた分だけ暑いのかもしれない。
すらりと伸びる白く長い足と存在を主張する胸に視線を留める男を睨み払ってから、所有を主張するように腕を伸ばして背中に覆い被さった。
「暑い」
「・・・私も暑い。琉夏君が抱きつくから余計に暑くなった」
「でも、髪を結んでるから俺よりも涼しそうに見える」
「髪?・・・ああ、そうか。琉夏君結構長いもんねえ」
腕の中に素直に納まったままの冬姫は、首を上げて下から琉夏の顔を覗きこむと眉を寄せた。
唇に手を当て思案すると、にこり、と徐に微笑む。
無防備な笑顔に内心で怯んでいると、するりと腕の中から逃げられ唇を尖らせた。
だがそんな琉夏の気持ちなど気にせず近くにあったベンチに向かった彼女は、ここに座ってと指を指す。
そして鞄を探るとワンポイントの小花がついたゴムと櫛を手にとってにこりと微笑んだ。
それを見て冬姫が何をしたいか察した琉夏は、促されるままにベンチに座る。
待ち構えていた小さな手が、するりと自分の髪へと手を通し擽ったさに首を竦めた。
「動かないの」
「はーい」
器用に動く手は手早く琉夏の髪を纏めていく。
「・・・おい。何してんだ」
「あ、琥一くん。おかえりー」
「おう。んで?人に会計を任せたお前らは往来の中何してんだ?」
「琉夏君が暑い暑いって言うから髪を結んでるの。・・・ほら、出来た」
「・・・・・」
背後の会話の後、琥一が無言になった。
首筋は先程より随分と涼しくなり、首だけ向けておかえりと笑うと、何処か複雑な表情で眉を寄せる。
「お前、それはねぇだろう」
「え?そう?可愛くない?」
「コイツ、一応男子高校生だぞ?それなのに小花のついたヘアゴムって」
「えー?いいじゃん。俺には似合ってるでしょ」
「似合ってるから微妙なんだよ」
苦虫を噛み潰したような顔でうんざりと呟く琥一に、冬姫と顔を見合わせるとくすくすと笑う。
「でもこれ冬姫とおそろいだし」
「あぁん?」
低い声で唸った琥一が冬姫を見る。
きっと視線の先にはこれと色違いの花柄のゴムが映っているだろう。
琥一は人の外見には些か鈍い部分があるので、きっと気づかなかったに違いない。
「サンキュ、冬姫」
「どういたしまして」
涼しくなったのとお揃いの品で自分を飾っているのとが合わさり上機嫌になった琉夏は、元気良くベンチから立ち上がった。
こちらを鋭い眼差しで見詰める琥一にも、へらりと笑いかける。
帰るまでに、この存外に独占欲が強い兄の言をかわし、ヘアゴムを手に入れる理由を作らなきゃと脳をフル回転させた。
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