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【閑話休題】



「・・・・・・」
「・・・おいクソチャイナ。起きろィ」
「・・・・・・」
「あ。あんなところに空飛ぶアンパンヒーローが」
「んなぁに!?何処ヨ?何処アルネ!?助けて、アソパソマーン!ここに腹を空かせた美少女がいますヨー」
「いますヨー、じゃねェよ。何空に向かって思いきし両手振ってやがんでィ。いい年して恥ずかしくねェのかィ?」
「羞恥心じゃ腹は膨らまないアル。何処にいるのー?アソパソマーン!」
「止めろ」

 すぱん、と頭を叩かれて首が傾く。遠慮のない力にいらっと来た。唇を尖らせて眼鏡越しに睨み上げれば、体操服姿の男は腰に手を当てて偉そうに胸を逸らした。今日の体育はサッカーだ。先ほどまで女子の歓声を二分していた内の一人は、相変わらずのポーカーフェイスで神楽を見下ろす。

「お前、見学とはいえ一応授業中だろィ。堂々と鼾かいて寝てんじゃねェよ」
「だって暇だったアル。お日様ポカポカ、風はそよそよ。体感温度は適温で、丁度良く背中には大きな木。絶好のシチュエーションアル」
「こっちが額に汗して運動してるっつうのに暢気なもんだねィ。羨ましくって涙が出ちまう」
「おう、泣け泣け。声嗄れるまで泣け青少年。そうして大人になっていくアル」
「お前誰だよ」

 呆れを隠さない眼差しを向けてきた沖田に肩を竦める。心地よいが少しだけ太陽が強すぎる。こんな日差しで運動すれば、神楽は倒れてしまうだろう。男女混合の授業で普段なら彼と対戦するが、今日の日差しは分が悪い。沖田とてそれくらい判ってるだろうに。

「とにかく。いつまでも寝てんじゃねェよ。今から俺が活躍する様子、しっかりと目に焼き付けな」

 びしり、と指を指した男に、人を指すなんて何事ネ頬を膨らます。怒る神楽を全く気にせず、沖田はさっさと背中を向けた。遠くなるそれがグランドに立つ頃、試合開始のホイッスルが鳴る。その音が消える前に、神楽の意識はまた沈んだ。

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