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■総悟→神楽
「っ!?」
いきなりの攻撃に、神楽は宙でトンボを切った。
人一人辛うじて通れる程度の狭い路地。草木も眠る丑三つ時に裏通りと呼ばれるこの道は、人気など皆無に等しい。だからこそ、驚いた。
「よぅ、チャイナ」
ちゃっと顔の前で軍人のように手を構えた沖田は、ニヤリと獲物を前に笑った。良く見知った端整な面立ちの金茶の髪の男を前に、心底嫌そうに神楽は息を吐く。
「・・・お前カヨ」
武装警察真選組でも随一と名高い刀の使い手。
サド王子と名高い沖田総悟は、神楽にとって天敵以外の何物でもない。
「そんな嫌そうな声をだすなよ。オレはお前に会えて嬉しいぜィ」
「私は嬉しくなんかないアル」
げっそりとした神楽に刀を突きつけ、笑った総悟に背を向けた。だが、その瞬間、神速の突きが神楽を掠める。
「・・・チっ。はずれですかィ」
「・・・・・・」
己の頬を伝う赤を見て、目を数度瞬かせる。自分の血など随分と久しぶりに見たような気がしてむしろ新鮮な気持ちになった。
くるりと体の向きを変え、へらへら笑う沖田をその空を切り取ったように澄んだ青い瞳に映す。
「どういうつもりアル?」
「ん?」
「私は、指名手配も何もされていない一般の市民ヨ。何いきなり刀突きつけてきてんだコラァ」
「何言ってやがる。高杉が兎を飼ってるなんて、今じゃ知らない人間を探す方が難しいくらいだ。兎を見つけたらすぐに始末する。これぞ、平和への架け橋なんでさぁ」
「片っ端から殺すアルか。カブトムシの時もそうだったけど、お前一見頭よさそうで馬鹿アルな」
「へっ。そう、誉めないでくれよ」
「誉めてないアル。──今日は、真選組は晋助たちを追ってるんじゃなかったのカ?」
「ああ・・・あの、陽動作戦ですかィ?オレは態々出かける気もなかったんでここでサボってたんでさぁ。そしたら、間抜けな兎がひょこひょこ迷い込んできたって寸法よ」
「・・・うわ、コイツ私のストーカーかヨ。最悪アル。真選組はストーカーの巣窟ネ」
「いやいや。ストーカーは近藤さんだけだィ。オレはさしずめ名探偵シャーロック・ホームズと言ったところだ」
「図々しいアル、このクソガキ。こんだけストーカーするってことは、コイツ絶対私の事好きアル。マジ、ウゼェ」
「そう言うなよ。折角お前を待ってたんだ。ちょっと位、相手をしてくれてもいいじゃねェか」
刀を一閃させながら告げる沖田は機嫌が良さそうだ。その常にない爽やかな笑顔に神楽の機嫌は下降の一途を辿っていく。
体に当たるすれすれを見切り、避けながら。
「これだから、ガキの相手は嫌ヨ。しつこい男は嫌われるアル」
肩を竦め、大げさなジェスチャーをしてみせた。真剣でのやり取りの中、随分な余裕と取れる態度に沖田の眉がすいっと上がる。
「大体、私を斬ったらお前が牢獄行きヨ。──私には、罪科が何もないのヨ」
神楽の言っていることは本当だ。手を下したであろうと想像できても、証拠を残すようなへまはしない。宇宙最強の戦闘種族の名は伊達じゃない。
だが、そんな神楽を見て、壮絶な笑みを沖田は浮かべた。
「そんなこと、オレには関係ありませんや」
「はぁ?」
「オレは斬りたい奴を斬る。・・・お前が誰かに取られる前に、オレがその首貰ってやるよ」
真剣な目に、少し驚いた。
浮かぶのは、混じり気ない狂気のみの執着。繰り返される斬撃を交わしつつ、神楽は深くため息をついた。
「・・・やっぱり、お前はストーカーヨ」
言い捨てると、それまでぶらりと無造作に持っているだけだった傘を一閃させた。ただの一振り。それだけで、沖田は簡単に吹っ飛んだ。
避けきれる訳はないのだ。天賦の才を持っているとはいえ所詮沖田は人間でしかない。戦うために存在する夜兎である自分とは、身体能力どころか筋肉を校正する組織からして、全くの別物なのだから。どれほど見た目が似ていても、神楽と沖田は全く別の生き物だ。
血反吐を吐き、片足を付いた沖田を見て神楽は笑った。
「私の首は、お前なんかにはやらないネ。お前は、変なことに使いそうだから嫌アル」
「・・・チっ。折角土方さんへの呪いのアイテムにしてやろうって言ってんのに」
「マヨラーへの呪いのアイテムなんて最悪ネ。やっぱり、お前は疫病神ヨ」
言い捨てると、躊躇も未練なく背を向けた。無防備な背中を晒す嘲りともつかぬ態度を取った神楽のその背に向け、持っていた刀を思い切りぶん投げる。これは卑怯な手立てではない。油断する方が悪いのだ。
「・・・・・・刀は、武士の魂なんダロ」
だが全力の力で持って投げられた刀は、ひょいと柄を捕まれ勢いを失くす。
返すアル。
無造作な言葉とともに投げ返されたそれは、沖田の足を地面へと縫い付けた。土をチーズかと思わせるくらいに呆気なく深々と刺さったそれに、さすがの沖田も苦悶の呻きを上げる。
「ぐァっ」
思わず声を出した沖田に、興ざめだとばかりに神楽は視線を送った。
「精々そこで横になってるといいネ。すぐにお仲間が迎えに来るヨ。──生きてたら、の話だけどな」
じゃあな、と言い捨てた神楽は、今度こそ振り返ることをしなかった。
「っ!?」
いきなりの攻撃に、神楽は宙でトンボを切った。
人一人辛うじて通れる程度の狭い路地。草木も眠る丑三つ時に裏通りと呼ばれるこの道は、人気など皆無に等しい。だからこそ、驚いた。
「よぅ、チャイナ」
ちゃっと顔の前で軍人のように手を構えた沖田は、ニヤリと獲物を前に笑った。良く見知った端整な面立ちの金茶の髪の男を前に、心底嫌そうに神楽は息を吐く。
「・・・お前カヨ」
武装警察真選組でも随一と名高い刀の使い手。
サド王子と名高い沖田総悟は、神楽にとって天敵以外の何物でもない。
「そんな嫌そうな声をだすなよ。オレはお前に会えて嬉しいぜィ」
「私は嬉しくなんかないアル」
げっそりとした神楽に刀を突きつけ、笑った総悟に背を向けた。だが、その瞬間、神速の突きが神楽を掠める。
「・・・チっ。はずれですかィ」
「・・・・・・」
己の頬を伝う赤を見て、目を数度瞬かせる。自分の血など随分と久しぶりに見たような気がしてむしろ新鮮な気持ちになった。
くるりと体の向きを変え、へらへら笑う沖田をその空を切り取ったように澄んだ青い瞳に映す。
「どういうつもりアル?」
「ん?」
「私は、指名手配も何もされていない一般の市民ヨ。何いきなり刀突きつけてきてんだコラァ」
「何言ってやがる。高杉が兎を飼ってるなんて、今じゃ知らない人間を探す方が難しいくらいだ。兎を見つけたらすぐに始末する。これぞ、平和への架け橋なんでさぁ」
「片っ端から殺すアルか。カブトムシの時もそうだったけど、お前一見頭よさそうで馬鹿アルな」
「へっ。そう、誉めないでくれよ」
「誉めてないアル。──今日は、真選組は晋助たちを追ってるんじゃなかったのカ?」
「ああ・・・あの、陽動作戦ですかィ?オレは態々出かける気もなかったんでここでサボってたんでさぁ。そしたら、間抜けな兎がひょこひょこ迷い込んできたって寸法よ」
「・・・うわ、コイツ私のストーカーかヨ。最悪アル。真選組はストーカーの巣窟ネ」
「いやいや。ストーカーは近藤さんだけだィ。オレはさしずめ名探偵シャーロック・ホームズと言ったところだ」
「図々しいアル、このクソガキ。こんだけストーカーするってことは、コイツ絶対私の事好きアル。マジ、ウゼェ」
「そう言うなよ。折角お前を待ってたんだ。ちょっと位、相手をしてくれてもいいじゃねェか」
刀を一閃させながら告げる沖田は機嫌が良さそうだ。その常にない爽やかな笑顔に神楽の機嫌は下降の一途を辿っていく。
体に当たるすれすれを見切り、避けながら。
「これだから、ガキの相手は嫌ヨ。しつこい男は嫌われるアル」
肩を竦め、大げさなジェスチャーをしてみせた。真剣でのやり取りの中、随分な余裕と取れる態度に沖田の眉がすいっと上がる。
「大体、私を斬ったらお前が牢獄行きヨ。──私には、罪科が何もないのヨ」
神楽の言っていることは本当だ。手を下したであろうと想像できても、証拠を残すようなへまはしない。宇宙最強の戦闘種族の名は伊達じゃない。
だが、そんな神楽を見て、壮絶な笑みを沖田は浮かべた。
「そんなこと、オレには関係ありませんや」
「はぁ?」
「オレは斬りたい奴を斬る。・・・お前が誰かに取られる前に、オレがその首貰ってやるよ」
真剣な目に、少し驚いた。
浮かぶのは、混じり気ない狂気のみの執着。繰り返される斬撃を交わしつつ、神楽は深くため息をついた。
「・・・やっぱり、お前はストーカーヨ」
言い捨てると、それまでぶらりと無造作に持っているだけだった傘を一閃させた。ただの一振り。それだけで、沖田は簡単に吹っ飛んだ。
避けきれる訳はないのだ。天賦の才を持っているとはいえ所詮沖田は人間でしかない。戦うために存在する夜兎である自分とは、身体能力どころか筋肉を校正する組織からして、全くの別物なのだから。どれほど見た目が似ていても、神楽と沖田は全く別の生き物だ。
血反吐を吐き、片足を付いた沖田を見て神楽は笑った。
「私の首は、お前なんかにはやらないネ。お前は、変なことに使いそうだから嫌アル」
「・・・チっ。折角土方さんへの呪いのアイテムにしてやろうって言ってんのに」
「マヨラーへの呪いのアイテムなんて最悪ネ。やっぱり、お前は疫病神ヨ」
言い捨てると、躊躇も未練なく背を向けた。無防備な背中を晒す嘲りともつかぬ態度を取った神楽のその背に向け、持っていた刀を思い切りぶん投げる。これは卑怯な手立てではない。油断する方が悪いのだ。
「・・・・・・刀は、武士の魂なんダロ」
だが全力の力で持って投げられた刀は、ひょいと柄を捕まれ勢いを失くす。
返すアル。
無造作な言葉とともに投げ返されたそれは、沖田の足を地面へと縫い付けた。土をチーズかと思わせるくらいに呆気なく深々と刺さったそれに、さすがの沖田も苦悶の呻きを上げる。
「ぐァっ」
思わず声を出した沖田に、興ざめだとばかりに神楽は視線を送った。
「精々そこで横になってるといいネ。すぐにお仲間が迎えに来るヨ。──生きてたら、の話だけどな」
じゃあな、と言い捨てた神楽は、今度こそ振り返ることをしなかった。
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